《機械・制御》〈回転機〉[H23:問2] 三相同期発電機に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

図は三相星形接続の円筒形同期発電機のベクトル図である。この図を参照して,次の問に答えよ。ただし,図の電圧,電流およびリアクタンスの記号は定格皮相電力基準の単位法で表した大きさを示している。また,電機子抵抗による電圧降下や磁気飽和は無視するものとする。

(1) 電圧変動率\(〔%〕\)の算出式を図に記載された記号を用いて示せ。

(2) 図から,\(E_{0}\),\(\delta \),\(\phi \)を用いて,\(I_{\mathrm {a}}X_{\mathrm {s}}\)および\(V\)を表す式を導出せよ。

(3) 定格皮相電力\(120000\mathrm {kV\cdot A}\),定格電圧\(13.8\mathrm {kV}\),同期リアクタンス\(1.8 \mathrm {p.u.}\)の三相同期発電機について,無負荷状態で端子電圧が\(1.3 \mathrm {p.u.}\)になるように界磁電流を調整して,界磁電流をそのままに保って三相平衡負荷を発電機端子に接続したところ,発電機の負荷角(内部相差角)は\(30°\)で力率\(0.9\)であった。この運転状態における電機子電流\(〔\mathrm {p.u.}〕\)および端子電圧\(〔\mathrm {p.u.}〕\)を求めよ。

(4) \(E_{0}\),\(V\),\(\delta \),\(X_{\mathrm {s}} \)を用いて,発電機出力\(P\)を表す式を単位法にて導出せよ。

(5) 上記(4)で導出した式を用いて,上記(3)の状態における発電機出力\(P〔\mathrm {kW}〕\)を求めよ。

【ワンポイント解説】

(1),(2)は非常に簡単な問題で,(3)以降もそれほど難解な問題はありません。(3)の問題文で\(E_{0}=1.3〔\mathrm {p.u.}〕\)が読み解けるかがこの問題のカギとなりそうです。

【解答】

(1)
電圧変動率\(\varepsilon \)とすると,電圧変動率の定義から下記のように求められる。
\[
\varepsilon =\frac {E_{0}-V}{V}\times 100〔%〕
\]

(2)
設問の図を図1のように補助線を引く。
図1より,線分\(cd\)の長さは,
\[
cd=E_{0}\sin \delta =I_{\mathrm {a}}X_{\mathrm {s}}\cos \phi
\] となるから,\(I_{\mathrm {a}}X_{\mathrm {s}}\)について整理すると,
\[
I_{\mathrm {a}}X_{\mathrm {s}}=E_{0} \frac {\sin \delta }{\cos \phi }
\] となる。また,線分\(\mathrm {oa}\)の長さは,
\[
\mathrm {oa}=E_{0}\cos \left( \delta +\phi \right) =V\cos \phi
\] となるから,\(V\)について整理すると,
\[
V=E_{0}\frac {\cos \left( \delta +\phi \right) }{\cos \phi}
\]

(3)
(2)解答より,
\[
I_{\mathrm {a}}X_{\mathrm {s}}=E_{0} \frac {\sin \delta }{\cos \phi }
\] であるから,電機子電流\(I_{\mathrm {a}}\)は,
\[
I_{\mathrm {a}}=\frac {E_{0}\sin \delta }{X_{\mathrm {s}}\cos \phi }
\] となる。題意より,\(X_{\mathrm {s}}=1.8〔\mathrm {p.u.}〕\),\(E_{0}=1.3〔\mathrm {p.u.}〕\),\(\cos \phi =0.9 \),\(\delta =30° \)を代入すると,
\[
I_{\mathrm {a}}=\frac {1.3\sin 30° }{1.8\times 0.9}≒0.401〔\mathrm {p.u.}〕
\] となる。また,\(V\)は下記のように整理できる。
\[
V=E_{0}\frac {\cos \left( \delta +\phi \right) }{\cos \phi}=E_{0}\frac {\cos \delta \cos \phi – \sin \delta \sin \phi }{\cos \phi}
\] ここで,同様に各値を代入すると,
\[
V=1.3 \times \frac {\cos 30° \times 0.9 – \sin 30° \times \sqrt {1-0.9^{2}} }{0.9}≒0.811〔\mathrm {p.u.}〕
\] となる。

(4)
単位法において発電機出力\(P\)は,
\[
P=VI_{a}\cos \phi
\] であるから,この式に\(I_{\mathrm {a}}=\frac {E_{0}\sin \delta }{X_{\mathrm {s}}\cos \phi }\)を代入すると,
\[
P=V\frac {E_{0}\sin \delta }{X_{\mathrm {s}}\cos \phi }\cos \phi =\frac {VE_{0}\sin \delta }{X_{\mathrm {s}}}
\] となる。

(5)
(4)で導出した式に各値を代入すると,
\[
P=\frac {VE_{0}\sin \delta }{X_{\mathrm {s}}}=\frac {0.8110 \times 1.3 \sin 30° }{1.8}≒0.2929〔\mathrm {p.u.}〕
\] となるので,定格皮相電力が\(120000\mathrm {kV\cdot A}\)であるから,
\[
P=0.2929 \times 120000 ≒ 35100〔\mathrm {kW}〕
\] と求められる。



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