《機械・制御》〈パワーエレクトロニクス〉[H23:問3] 三相ブリッジ整流回路に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

図はサイリスタを用いた三相ブリッジ整流回路を示す。入力交流電源の電圧は三相対称正弦波で,線間電圧\(V_{\mathrm {ab}}\)の波高値を\(V_{\mathrm {m}}\)とする。制御遅れ角\(\alpha \)で運転していて,直流回路のインダクタンスは十分に大きく直流電源\(I_{\mathrm {d}}\)は一定とする。重なり角,回路の損失などは無視できるものとし,次の問に答えよ。

(1) \(a\)相に流れる線電流\(i_{\mathrm {a}}\)の実効値を\(I\)とする。\(I_{\mathrm {d}}\)を用いて,\(I\)を示せ。

(2) 皮相電力を求めるには電流の実効値が必要である。\(V_{\mathrm {m}}\)と\(I_{\mathrm {d}}\)を用いて,三相皮相電力\(S\)を示せ。

(3) この整流回路の入力における基本波力率を\(\cos \varphi _{1}\)とする。\(\alpha\)を用いて,\(\cos \varphi _{1}\)を示せ。

(4) この整流回路において\(a\)相に流れる線電流\(i_{\mathrm {a}}\)の基本波実効値は\(\displaystyle \frac {\sqrt 6}{\pi }I_{\mathrm {d}}\)である。\(V_{\mathrm {m}}\)と\(I_{\mathrm {d}}\)と\(\alpha \)を用いて,三相有効電力\(P\)を示せ。

(5) この整流回路の入力における総合力率を\(\lambda \)とする。\(\alpha \)を用いて,\(\lambda \)を示せ。

【ワンポイント解説】

パワーエレクトロニクスの問題は図1のグラフが即座に描けるもしくは頭の中に入っていないと解けません。本問も図1が描ければそれほど計算は難しくはないので,確実に図1が思い出せるようにしておきましょう。

【解答】

(1)
図1より\(a\)相に流れる線電流\(i_{\mathrm {a}}\)の実効値\(I\)は
\[
\begin{eqnarray}
I&=&\sqrt {\frac {1}{\pi }\int ^{\pi }_{0}i^{2}_{\mathrm {a}}d\theta } \\[ 5pt ] &=&\sqrt {\frac {1}{\pi }\int ^{\frac {2\pi}{3} +\alpha }_{\alpha }I^{2}_{\mathrm {d}}d\theta } \\[ 5pt ] &=&\sqrt {\frac {I^{2}_{\mathrm {d}}}{\pi }\left[ \theta \right] ^{\frac {2\pi }{3}+\alpha }_{\alpha }} \\[ 5pt ] &=&\sqrt {\frac {2}{3}} I_{\mathrm {d}}
\end{eqnarray}
\] と求められる。

(2)
皮相電力\(S\)は線間電圧実効値\(V\)と線電流実効値\(I\)を用いて,\(S=\sqrt {3} VI\)で求められる。
ここで,\(\displaystyle V=\frac {V_{\mathrm {m}}}{\sqrt {2}}\)であり\(\displaystyle I=\sqrt {\frac {2}{3}} I_{\mathrm {d}}\)であるから,
\[
\begin{eqnarray}
S&=&\sqrt {3} VI \\[ 5pt ] &=&\sqrt {3} \cdot \frac {V_{\mathrm {m}}}{\sqrt {2}} \cdot \sqrt {\frac {2}{3}} I_{\mathrm {d}} \\[ 5pt ] &=&V_{\mathrm {m}}I_{\mathrm {d}}
\end{eqnarray}
\] と求められる。

(3)
図1の通り,相電圧\(e_{\mathrm {a}}\)と相電流\(i_{\mathrm {a}}\)の位相差は\(\alpha \)であり,\(i_{\mathrm {a}}\)が\(\alpha \)遅れている。
また,力率\(\cos \varphi _{1}\)の\(\varphi _{1}\)は,\(V\)と\(I\)の位相差であり,これは相電圧\(e_{\mathrm {a}}\)と相電流\(i_{\mathrm {a}}\)の位相差と一致する。よって,
\[
\cos \varphi _{1}=\cos \alpha
\] となる。

(4)
三相有効電力\(P\)は基本波電圧実効値\(\displaystyle V=\frac {V_{\mathrm {m}}}{\sqrt {2}}\)と基本波電流実効値\(I_{\mathrm {e}}\)を用いて,
\[
P=\sqrt {3} VI_{\mathrm {e}}\cos \varphi _{1}
\] となる。題意より,基本波実効値\(I_{\mathrm {e}}=\frac {6}{\pi }I_{\mathrm {d}}\)であるから,
\[
\begin{eqnarray}
P&=&\sqrt {3} VI_{\mathrm {e}}\cos \varphi _{1} \\[ 5pt ] &=&\sqrt {3} \cdot \frac {V_{\mathrm {m}}}{\sqrt {2}}\cdot I_{\mathrm {e}}\cos \alpha \\[ 5pt ] &=&\frac {6}{\pi }I_{\mathrm {d}} \\[ 5pt ] &=&\frac {3V_{\mathrm {m}}I_{\mathrm {d}}}{\pi }\cos \alpha
\end{eqnarray}
\] と求められる。

(5)
総合力率\(\displaystyle \lambda =\frac {P}{S}\)であるから,
\[
\lambda =\frac {\frac {3V_{\mathrm {m}}I_{\mathrm {d}}}{\pi }\cos \alpha }{V_{\mathrm {m}}I_{\mathrm {d}}}=\frac {3}{\pi }\cos \alpha
\] となる。



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