【電卓の使い方①】電卓のメモリ機能で複雑な計算を素早くこなそう

複雑な計算を電卓\( \ 1 \ \)回でこなそう

このページでは,電卓のメモリ機能を使って,複雑な計算を電卓\( \ 1 \ \)回で行う技を紹介します。
メモリ機能は,馴染みのない方も多いかと思いますが,便利なのでぜひ覚えてください。

なお,【電卓の使い方②】にて,グランドトータル機能と,税率機能を使った円周率計算のテクニックも紹介します。

このページを読めば,これらの計算が電卓\( \ 1 \ \)回で可能です。

・\( \ \displaystyle \frac {6 \ 600}{\sqrt{3}} \ \)

・\( \ \displaystyle \frac {10.5 \times 9}{ 10.5+9 } \ \)

・\( \ \displaystyle \frac {101}{631.6} + \displaystyle \frac {101}{15 \times 10^3} \ \)

・\( \ \sqrt{420^2+200^2} \ \)

・\( \ \sqrt{2^2-0.75^2} \ \)

・\( \ \sqrt{1-0.8^2} \ \)

・\( \ \displaystyle \frac {200}{\sqrt{4^2+3^2}} \ \)

※電卓によって使用するキーが異なります。お持ちの電卓でご確認ください。

はじめに

電卓で\( \ 2 \ \)乗,ルート,逆数を計算する方法はご存じでしょうか?
心配な方は,指数⑤のページをご覧ください。

このページでは,これらの知識は知っているものとして解説します。

メモリ機能を使う前に

メモリ機能を使う前には,必ず電卓のディスプレイを確認してください。
もしも小さい\( \ \mathrm {M} \ \)の文字が表示されていたら,すでにメモリに数値が記録されています。

そのときは,クリアキー(\( \ \mathrm {CE} \ \)や\( \ \mathrm {C} \ \)),オールクリアキー(\( \ \mathrm {AC} \ \)など),メモリクリアキー(\( \ \mathrm {MC} \ \))などを押して,小さい\( \ \mathrm {M} \ \)の文字をなくしてください。

※電卓によって,メモリクリアキーは(\( \ \mathrm {CM} \ \)),メモリリコールキーは(\( \ \mathrm {RM} \ \))となっています。

※電卓によって,メモリリコールとメモリクリアが一つのキー(\( \ \mathrm {MRC} \ \))になっています。その場合は\( \ 2 \ \)回押すと,メモリが消去できます。

※以降で,[\( \ \ \)]は電卓のキーを打つという意味,≪\( \ \ \)≫は電卓のディスプレイに表示されるという意味です。

では,はじめます。

解説の流れとして,まず正解の数値をお教えします。
この解説を読みながら,一緒に電卓を打っていき,その数値になれば正解ということです。

\( \ \displaystyle \frac {a}{\sqrt{b}} \ \)を電卓で一気に計算する方法

始めはメモリ機能を使わないこちらの計算で,ルートを復習しましょう。

・\( \ \displaystyle \frac {200}{\sqrt{3}} \ \)

答えは\( \ 115.47…\ \)です。

電卓の打ち方は,[\( \ 200 \ \)][\( \ ÷ \ \)][\( \ 3 \ \)][\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)][\( \ = \ \)]です。

これで,≪\( \ 115.47… \ \)≫と表示されます。

注意点は\( \ 2 \ \)つです。

①\( \ \sqrt{3} \ \)は読むときは「ルート\( \ 3\ \)」ですが,電卓では[\( \ 3 \ \)]を押してから[\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)]を押します。

②[\( \ 200 \ \)][\( \ ÷ \ \)][\( \ 3 \ \)][\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)]まで押した段階で表示されるのは,ただの\( \ \sqrt{3} \ \)の値(\( \ 1.732… \ \))です。最後に[\( \ = \ \)]を押すのを忘れないでください。試験本番で焦っていると忘れがちです。

\( \ \displaystyle \frac {a \times b}{a+b} \ \)を計算する方法

こちらもメモリ機能は使いません。逆数を復習しましょう。

・\( \ \displaystyle \frac {2 \times 3}{ 2+3 } \ \)

答えは\( \ \displaystyle \frac {2 \times 3}{ 2+3 } = \displaystyle \frac {6}{5} = 1.2\ \)です。

逆数は,[\( \ ÷ \ \)][\( \ = \ \)]または[\( \ ÷ \ \)][\( \ ÷ \ \)][\( \ = \ \)][\( \ = \ \)]でしたね(お忘れの方は,指数⑤をご覧ください)。

このように,計算の順序を入れ替えて考えましょう。

\( \ \displaystyle \frac {1}{2+3} \times 2 \times 3 \ \)

つまり,①\( \ 2+3 \ \)を計算して,②逆数にして,③\( \ 2 \times 3 \ \)をかける,ということです。

したがって,電卓の打ち方は,
[\( \ 2 \ \)][\( \ + \ \)][\( \ 3 \ \)][\( \ = \ \)][\( \ ÷ \ \)]([\( \ ÷ \ \)])[\( \ = \ \)]([\( \ = \ \)])[\( \ × \ \)][\( \ 2 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ 3 \ \)][\( \ = \ \)]
となります。

これで,≪\( \ 1.2 \ \)≫と表示されます。

\( \ \displaystyle \frac {a}{b} + \displaystyle \frac {c}{d} \ \)を電卓で一気に計算する方法

ここからはメモリ機能を使用します。

・\( \ \displaystyle \frac {2}{3} + \displaystyle \frac {4}{5} \ \)

答えは≪\( \ 1.466… \ \)≫です。

まず,\( \ \displaystyle \frac {2}{3} \ \)を計算したいので[\( \ 2 \ \)][\( \ ÷ \ \)][\( \ 3 \ \)]と押し,続けて[\( \ \mathrm {M+} \ \)]を押します。

画面には,≪\( \ 0.666… \ \)≫に加えて,小さい文字で≪\( \ \mathrm {M} \ \)≫と表示されます。これは,メモリ機能に何かしらの数値が入っているよ,という意味です。

これで,メモリに\( \ \displaystyle \frac {2}{3} \ \)のプラスの値が記憶されました。

※[\( \ 2 \ \)][\( \ ÷ \ \)][\( \ 3 \ \)]の後,[\( \ = \ \)]は押す必要がありません。[\( \ \mathrm {M+} \ \)]キーが[\( \ = \ \)]の役割も兼ねるからです。ただ,押しても問題ありませんので,好みに合わせてください。

次に,\( \ \displaystyle \frac {4}{5} \ \)を計算したいので[\( \ 4 \ \)][\( \ ÷ \ \)][\( \ 5 \ \)]と押し,続けて[\( \ \mathrm {M+} \ \)]を押します。

画面には,≪\( \ 0.8 \ \)≫と表示されます。

これで,メモリには\( \ \displaystyle \frac {4}{5} \ \)のプラスの値も記憶されました。

つまり,現在のメモリには,\( \ \displaystyle \frac {2}{3} \ \)のプラスの値と,\( \ \displaystyle \frac {4}{5} \ \)のプラスの値が記録されているわけです。

ここで,メモリリコールキー([\( \ \mathrm {MR} \ \)])を押すと,プラスの\( \ \displaystyle \frac {2}{3} \ \)とプラスの\( \ \displaystyle \frac {4}{5} \ \)が足し算されて,≪\( \ 1.466… \ \)≫が表示されます。

まとめると,\( \ \displaystyle \frac {2}{3} + \displaystyle \frac {4}{5} \ \)を電卓で一気に計算するには,

[\( \ 2 \ \)][\( \ ÷ \ \)][\( \ 3 \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ 4 \ \)][\( \ ÷ \ \)][\( \ 5 \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ \mathrm {MR} \ \)]

となります。

※電卓によっては,メモリリコールとメモリクリアが一つのキー(\( \ \mathrm {MRC} \ \))になっています。その場合は\( 1 \)回押すと,メモリリコールが実行できます。\( 2 \)回押すとメモリが消去されてしまうので,ご注意ください。

\( \ \sqrt{a^2+b^2} \ \)を電卓で一気に計算する方法

・\( \ \sqrt{2^2+3^2} \ \)

答えは\( \ \sqrt{2^2+3^2} = \sqrt{4+9} = \sqrt{13} =3.605… \ \)です。

これを電卓で一気にやってみましょう。

まず\( \ 2^2 \ \)をしたいので[\( \ 2 \ \)][\( \ × \ \)]と押し,続けて[\( \ \mathrm {M+} \ \)]を押します。画面には,≪\( \ 4 \ \)≫に加えて,小さい文字で≪\( \ \mathrm {M} \ \)≫と表示されます。これで,メモリに\( \ 2^2 \ \)のプラスの値が記憶されました。

※この場合も,[\( \ 2 \ \)][\( \ × \ \)]の後に[\( \ = \ \)]は押す必要がありません。

次に,\( \ 3^2 \ \)をしたいので[\( \ 3 \ \)][\( \ × \ \)]と押し,続けて[\( \ \mathrm {M+} \ \)]を押します。画面には,≪\( \ 9 \ \)≫が表示されました。これで,電卓のメモリには,\( \ 3^2 \ \)のプラスの値も,記憶されました。

ここで,[\( \ \mathrm {MR} \ \)]を押すと,プラスの\( \ 2^2 \ \)とプラスの\( \ 3^2 \ \)が足し算されて,
\( \ 13 \ \)が表示されます。

これのルートを知りたいわけですから,[\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)]を押します。

≪\( \ 3.605… \ \)≫と表示されるはずですが,いかがでしょうか?

まとめると,\( \ \sqrt{2^2+3^2} \ \)を電卓で一気に計算するには,

[\( \ 2 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ 3 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ \mathrm {MR} \ \)][\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)]
となります。

\( \ \sqrt{a^2-b^2} \ \)を電卓で一気に計算する方法

足し算の場合とほぼ同じです。

・\( \ \sqrt{3^2-2^2} \ \)

答えは\( \ \sqrt{3^2-2^2} = \sqrt{9-4} = \sqrt{5} = 2.236… \ \)です。

これを電卓で一気にやってみましょう。

まず\( \ 3^2 \ \)をしたいので[\( \ 3 \ \)][\( \ × \ \)]と押し,続けて[\( \ \mathrm {M+} \ \)]を押します。
これで,メモリに\( \ 3^2 \ \)のプラスの値が記憶されました。

次に,\( \ 2^2 \ \)をしたいので[\( \ 2 \ \)][\( \ × \ \)]と押します。ここで,引き算をしたいのですから[\( \ \mathrm {M+} \ \)]ではなく[\( \ \mathrm {M-} \ \)]を押します。これで,電卓のメモリには,\( \ 2^2 \ \)のマイナスの値が,記憶されました。

つまり,現在のメモリには,\( \ 3^2 \ \)のプラスの値と,\( \ 2^2 \ \)のマイナスの値が記録されているわけです。

ここで,[\( \ \mathrm {MR} \ \)]を押すと,プラスの\( \ 3^2 \ \)と,マイナスの\( \ 2^2 \ \)が足し算されます。

つまり,”\( \ 3^2\ \)から\( \ 2^2\ \)を引き算する”ではなく,
“プラスの\( \ 3^2\ \)とマイナスの\( \ 2^2\ \)を足し算する”と考えるのです。

\( \ 3^2-2^2=9-4=5\ \)です。
これのルートを知りたいわけですから,[\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)]を押します。

≪\( \ 2.236… \ \)≫と表示されるはずですが,いかがでしょうか?

まとめると,\( \ \sqrt{3^2-2^2} \ \)を電卓で一気に計算するには,

[\( \ 3 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ 2 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M-} \ \)][\( \ \mathrm {MR} \ \)][\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)]

となります。

\( \ \displaystyle \frac {c}{\sqrt{a^2+b^2}} \ \)を電卓で一気に計算する方法

・\( \ \displaystyle \frac {10}{\sqrt{2^2+3^2}} \ \)

分母に\( \ 2 \ \)乗やルートが入り,かつ分子が\( \ 1 \ \)ではない計算です。

答えは\( \ 2.773… \ \)です。

このように計算の順序を入れ替えて考えましょう。

\( \ \displaystyle \frac {1}{\sqrt{2^2+3^2}} \times 10 \ \)

計算の順序は,①\( \ \sqrt{2^2+3^2} \ \)を計算して,②逆数にして,③\( \ 10 \ \)をかける,というものです。

①\( \ \sqrt{2^2+3^2} \ \)を計算
すでに解説した通り,
[\( \ 2 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ 3 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ \mathrm {MR} \ \)][\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)]
です。

②逆数にする
続けて[\( \ ÷ \ \)]([\( \ ÷ \ \)])[\( \ = \ \)]([\( \ = \ \)])と押します。

③\( \ 10 \ \)をかける
続けて[\( \ × \ \)][\( \ 10 \ \)][\( \ = \ \)]です。

これで,答えは≪\( \ 2.773… \ \)≫です。

【練習問題】

電卓を使って次の値を求めよ。

\( (1) \) \( \ \displaystyle \frac {6 \ 600}{\sqrt{3}} \ \)

\( (2) \) \( \ \displaystyle \frac {10.5 \times 9}{ 10.5+9 } \ \)

\( (3) \) \( \ \displaystyle \frac {101}{631.6} + \displaystyle \frac {101}{15 \times 10^3} \ \)

\( (4) \) \( \ \sqrt{420^2+200^2} \ \)

\( (5) \) \( \ \sqrt{2^2-0.75^2} \ \)

\( (6) \) \( \ \sqrt{23.09^2-20^2} \ \)

\( (7) \) \( \ \sqrt{1-0.8^2} \ \)

\( (8) \) \( \ \sqrt{1-0.95^2} \ \)

\( (9) \) \( \ \displaystyle \frac {200}{\sqrt{4^2+3^2}} \ \)

【解答】(クリックして表示)

\( (1) \) \( \ \displaystyle \frac {6 \ 600}{\sqrt{3}} =3810.5… \ \)
[\( \ 6 \ 600 \ \)][\( \ ÷ \ \)][\( \ 3 \ \)][\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)][\( \ = \ \)]

\( (2) \) \( \ \displaystyle \frac {10.5 \times 9}{ 10.5+9 } =4.846…\ \)

[\( \ 10.5 \ \)][\( \ + \ \)][\( \ 9 \ \)][\( \ ÷ \ \)]([\( \ ÷ \ \)])[\( \ = \ \)]([\( \ = \ \)])[\( \ × \ \)][\( \ 10.5 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ 9 \ \)][\( \ = \ \)]

\( (3) \) \( \ \displaystyle \frac {101}{631.6} + \displaystyle \frac {101}{15 \times 10^3}=0.166… \ \)

[\( \ 101 \ \)][\( \ ÷ \ \)][\( \ 631.6 \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ 101 \ \)][\( \ ÷ \ \)][\( \ 15 \ \)][\( \ ÷ \ \)][\( \ 1 \ 000 \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ \mathrm {MR} \ \)]

\( (4) \) \( \ \sqrt{420^2+200^2}=465.188… \ \)
[\( \ 420 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ 200 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ \mathrm {MR} \ \)][\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)]

\( (5) \) \( \ \sqrt{2^2-0.75^2}=1.854… \ \)
[\( \ 2 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ 0.75 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M-} \ \)][\( \ \mathrm {MR} \ \)][\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)]

\( (6) \) \( \ \sqrt{23.09^2-20^2}=11.538… \ \)
[\( \ 23.09 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ 20 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M-} \ \)][\( \ \mathrm {MR} \ \)][\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)]

\( (7) \) \( \ \sqrt{1-0.8^2}=0.6 \ \)
[\( \ 1 \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ 0.8 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M-} \ \)][\( \ \mathrm {MR} \ \)][\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)]

\( (8) \) \( \ \sqrt{1-0.95^2}=0.312… \ \)
[\( \ 1 \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ 0.95 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M-} \ \)][\( \ \mathrm {MR} \ \)][\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)]

\( (9) \) \( \ \displaystyle \frac {200}{\sqrt{4^2+3^2}}=40 \ \)

①\( \ \sqrt{4^2+3^2} \ \)を計算
[\( \ 4 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ 3 \ \)][\( \ × \ \)][\( \ \mathrm {M+} \ \)][\( \ \mathrm {MR} \ \)][\( \ \sqrt{ \ \ } \ \)]
です。

②逆数にする
続けて[\( \ ÷ \ \)]([\( \ ÷ \ \)])[\( \ = \ \)]([\( \ = \ \)])と押します。

③\( \ 200 \ \)をかける
続けて[\( \ × \ \)][\( \ 200 \ \)][\( \ = \ \)]です。