《電力・管理》〈火力〉[R07:問1]再熱サイクル汽力発電プラントの効率に関する論説・計算問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

図に示すような,再熱サイクル汽力発電プラントがある。\( \ h_{i} \ \)は図中の\( \ 1\sim 6 \ \)の各点での単位質量当たりの蒸気・給水の熱量を表している。次の各問に答えよ。ただし,プラント内には一定質量の蒸気・給水が循環しているものとする。

(1) 再熱サイクルを採用する目的を\( \ 100 \ \)字程度以内で述べよ。

(2) ボイラから与えられる単位質量当たりの熱量を,\( \ h_{1} \sim h_{6} \ \)の内の必要なものを用いて表せ。

(3) \( \ h_{1} \sim h_{6} \ \)が次の値であるとき,熱サイクル全体としての熱効率\( \ \eta \ \)を求めよ。
\[
\begin{eqnarray}
h_{1} &=&140 \ \mathrm {kJ / kg},h_{2} =150 \ \mathrm {kJ / kg},h_{3}=3 \ 300 \ \mathrm {kJ / kg} \\[ 5pt ] h_{4} &=&2 \ 700 \ \mathrm {kJ / kg},h_{5} =2 \ 900 \ \mathrm {kJ / kg},h_{6} =2 \ 000 \ \mathrm {kJ / kg} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

再熱サイクル汽力発電プラントの効率に関する問題です。
汽力発電がボイラで蒸気を作りタービンを回すという基本を押さえていれば十分に完答を狙える問題です。熱効率向上対策は火力発電における最重要事項となりますので,本問と直接関係がない他の効率に関しても理解しておきましょう。
平成24年電力管理問1に再生サイクルに関する類題も出題されていますので,合わせて学習しておくことをお勧めします。

1.ランキンサイクルの効率
汽力発電所の基本サイクルとなるランキンサイクルは図1に示すようなフローとなります。
ランキンサイクルの効率\( \ \eta \ \)は,ボイラで得た熱量に対するタービンでの仕事量で定義され,蒸気の一部を給水ポンプの駆動蒸気に使用する場合,図の各エンタルピー\( \ h_{1}\sim h_{4} \ \)を用いて表すと,
\[
\begin{eqnarray}
\eta &=&\frac {\left( h_{3}-h_{4}\right) -\left( h_{2}-h_{1}\right)}{h_{3}-h_{2}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。実際の汽力発電所では再熱・再生サイクルがありもう少し複雑になりますが,ボイラで得た熱量に対するタービンでの仕事量という基本は同じです。

2.汽力発電所における熱効率向上対策
主な汽力発電所の熱効率向上対策としては以下の方法があります。
① タービン入口蒸気を高温・高圧にします。ただし,材料の耐熱温度があるため,コストメリットを考え設計することになります。
② 復水器真空度を高くします。ただし,海水温度見合いとなるため,コントロールすることは難しいです。
③ 再熱サイクルで高圧タービンから出た湿り飽和蒸気を再熱器で加熱し,中低圧タービンに送ります。
④ 再生サイクルでタービンから抽気として蒸気の一部を取り出し,給水加熱器で給水を加熱します。
⑤ 節炭器でボイラの燃焼ガスで給水を予熱します。
⑥ 空気予熱器でボイラの燃焼ガスと燃焼用空気を熱交換します。
⑦ 排ガス温度を下げます。ただし,排ガス温度を下げすぎると煙突内部で腐食が発生してしまう可能性があります。
⑧ 燃焼空気量を抑えて燃焼温度を上昇させます。ただし,空気量が不十分だと不完全燃焼となり効率は下がり,一酸化炭素が発生します。


【解答】

(1)再熱サイクルを採用する目的
(ポイント)
・ワンポイント解説「2.汽力発電所における熱効率向上対策」の通り,熱効率向上の目的があります。
・再熱器で加熱することで,中低圧タービンを通過する蒸気の乾き度が向上し,特に最下段の羽根の水滴による腐食・侵食を防止することができます。

(試験センター解答例)
高圧タービンで膨張した蒸気は水滴を含む湿り蒸気になり,蒸気タービンの羽根を腐食・浸食させることがあるため,蒸気をボイラに戻して加熱し,湿り度を低下させる。また,蒸気を加熱することで,低圧タービンの熱効率を向上させる。

(2)ボイラから与えられる単位質量当たりの熱量
ボイラから与えられる熱量\( \ Q_{\mathrm {i}} \ \mathrm {[kJ / kg]} \ \)は過熱器側と再熱器側の\( \ 2 \ \)回となるため,
\[
\begin{eqnarray}
Q_{\mathrm {i}} &=&\left( h_{3}-h_{2}\right) +\left( h_{5}-h_{4}\right) \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

(3)熱サイクル全体としての熱効率\( \ \eta \ \)
タービンでの仕事\( \ Q_{\mathrm {o}} \ \mathrm {[kJ / kg]} \ \)は高圧タービンと低圧タービンの\( \ 2 \ \)回となり,さらに蒸気の一部のエネルギーが給水ポンプで使用されるため,
\[
\begin{eqnarray}
Q_{\mathrm {o}} &=&\left( h_{3}-h_{4}\right) +\left( h_{5}-h_{6}\right) -\left( h_{2}-h_{1}\right) \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。したがって,熱サイクル全体の熱効率\( \ \eta \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
\eta &=&\frac {Q_{\mathrm {o}}}{Q_{\mathrm {i}}} \\[ 5pt ] &=&\frac {\left( h_{3}-h_{4}\right) +\left( h_{5}-h_{6}\right) -\left( h_{2}-h_{1}\right) }{\left( h_{3}-h_{2}\right) +\left( h_{5}-h_{4}\right) } \\[ 5pt ] &=&\frac {\left( 3 \ 300-2 \ 700\right) +\left( 2 \ 900-2 \ 000\right) -\left( 150-140\right)}{\left( 3 \ 300-150\right) +\left( 2 \ 900-2 \ 700\right) } \\[ 5pt ] &≒&0.445 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。



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