《電力》〈送電〉[H19:問5]送電線ケーブルの構造と各部名称に関する空欄穴埋問題

1 【問題】
2 【ワンポイント解説】
3 【解答】

【問題】

【難易度】★★★☆☆（普通）

次の文章は，送電線ケーブルを構成する各部の機能に関する記述である。文中の$ \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ $に当てはまる語句を記述用紙の解答欄に記入しなさい。

地中送電線には，$ \ \mathrm {OF} \ $（油入），$ \ \mathrm {CV} \ $（架橋ポリエチレン絶縁）等のケーブルが使われているが，この中で$ \ \mathrm {CV} \ $ケーブルは$ \ \mathrm {OF} \ $ケーブルに比べ施工や保守管理が容易なことから，$ \ 1960 \ $年代後半以降使用が拡大している。
図は$ \ \mathrm {OF} \ $，$ \ \mathrm {CV} \ $の単心ケーブルで超高圧用の代表的な断面を示しており，中心の導体の周囲に絶縁体を配置している。この他，図中で外周にある$ \ \mathrm {A} \ $は$ \ \fbox {　（１）　} \ $で，電食と化学腐食等の対策の役目をしている。$ \ \mathrm {B} \ $は$ \ \fbox {　（２）　} \ $であり，絶縁体の保護，内部の絶縁油の密封のほか絶縁油の圧力に耐えたり，湿気が絶縁体に侵入するのを防止する機能や，故障電流の帰路などの機能を持たせている。$ \ \mathrm {B} \ $の材料としては，$ \ \fbox {　（３）　} \ $，$ \ \fbox {　（４）　} \ $，ステンレスなどを使っているが，$ \ \fbox {　（３）　} \ $は化学的に安定しているものの機械的強度に劣ることから，近年は，機械的強度や経済性を考慮して$ \ \fbox {　（４）　} \ $の採用が増えている。

$ \ \mathrm {B} \ $の内側で絶縁体の外側の$ \ \mathrm {C} \ $は，電気的特性の安定性向上のための$ \ \fbox {　（５）　} \ $である。

【ワンポイント解説】

送電線ケーブルの構造に関する問題です。
ケーブルの構造でしかも導体や絶縁体ではなく外側の層の構造を問うのは少し厳しい印象もありますが，$ \ 1 \ $種受験生のレベルを考えた上での出題かと思います。
近年は$ \ \mathrm {CV} \ $ケーブルがメインですので，$ \ \mathrm {CV} \ $ケーブルを基本として理解しておけば良いでしょう。

1.$ \ \mathrm {CV} \ $ケーブルの特徴
$ \ \mathrm {CV} \ $ケーブルの特徴のうち，$ \ \mathrm {OF} \ $ケーブルと比較した特徴は以下の通りとなります。

①絶縁体に架橋ポリエチレンを使用し，$ \ \mathrm {OF} \ $ケーブルのように絶縁油を使用しないため，給油設備を必要とせず，火災のリスクも少ない。

②連続使用時の最高許容温度が$ \ 90 \ $℃と高いので，許容電流が大きくなり，送電容量が大きくなる。

③誘電正接$ \ \mathrm {tan} \delta \ $（誘電正接）や比誘電率が小さいため誘電体損失や充電電流が小さくなる。

④絶縁体自体を薄くでき軽量であるため，取り回しが良い。

⑤耐薬品性，耐摩耗性，耐衝撃性に優れる。

⑥水分が含まれると水トリーと呼ばれる樹枝状に絶縁劣化する現象が発生する。