《電力》〈配電〉[R03:問4]配電系統のスポットネットワーク方式に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,配電系統のスポットネットワーク方式に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

スポットネットワーク方式は,\( \ 22 \ \mathrm {kV}~33 \ \mathrm {kV} \ \)の同一変電所から標準\( \ 3 \ \)回線の配電線により\( \ \fbox {  (1)  } \ \)で需要家に電力供給を行う方式である。この方式は,供給信頼度が高く,都市部の高層ビルや大工場などのように極めて高度に集中化した大容量負荷部に適用するもので,その他の配電方式と比べて,電圧低下,\( \ \fbox {  (2)  } \ \)などが少ないことが特徴として挙げられる。

また,\( \ 1 \ \)回線の配電線又はネットワーク変圧器が事故停止しても,残りの変圧器の過負荷運転で最大需要電力を供給できるよう変圧器容量を選定している。ここで,変圧器の過負荷耐量としては,経済性を考慮して少なくとも定格容量の\( \ \fbox {  (3)  } \ \)倍とすれば,最大負荷状態でも年間数回までであれば各回\( \ 8 \ \)時間程度の連続運転により,健全な設備から無停電で供給を継続することができる。

この方式では,ネットワークプロテクタが必要であり,一般的に遮断器,ヒューズ及び保護リレーから構成されており,次の三つの特性をもっている。
・\( \ \fbox {  (4)  } \ \)遮断特性
・\( \ \fbox {  (5)  } \ \)投入特性
・過電圧投入特性(差電圧投入特性)

〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 電力損失     &(ロ)& 高電圧     &(ハ)& 常時並列 \\[ 5pt ] &(ニ)& 常用予備切替         &(ホ)& ループ潮流         &(ヘ)& 逆電力 \\[ 5pt ] &(ト)& 1.5     &(チ)& 1.3     &(リ)& 逆電流 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 差電流     &(ル)& 無電圧     &(ヲ)& 常時直列 \\[ 5pt ] &(ワ)& 電流変動     &(カ)& 逆相電圧     &(ヨ)& 1.1 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

スポットネットワーク方式に関する問題です。
毎年のようにどこかで出題されている印象で,\( \ 1 \ \)種においても数年に\( \ 1 \ \)回程度は出題されているイメージでしたが,直近での類題は平成24年問4でした。
このようにしばらく出題されていないなぁという問題が出題されることがあるので,少し古めの過去問も取り組んでおくようにしましょう。

1.スポットネットワーク方式
スポットネットワーク方式は図1のような系統で構成され,以下のような特徴があります。
①信頼性が高い。
②常時稼働率を高めることができる。
③電圧変動率が小さい。
④負荷増設が容易。
⑤ネットワーク母線に高信頼度が求められる。
⑥プロテクタ遮断器でやや複雑なインタロック回路を構成する必要がある。

2.ネットワークプロテクタの特性
ネットワークプロテクタには以下の\( \ 3 \ \)つの特性があります。
①逆電力遮断特性
 \( \ 1 \ \)回線が停電したときに,他の健全な回線からネットワーク母線を介して回り込み逆流するのを防止するため遮断する特性
②無電圧投入特性
 配電線及びネットワーク母線がともに無電圧(停電)状態であるとき,配電側が先に復旧し,ネットワーク遮断器の変圧器側が充電されると投入する特性
③過電圧(差電圧)投入特性
 \( \ 1 \ \)回線が停止し,遮断器が開放されている状態で変圧器の二次側が復旧されたとき,変圧器側からネットワーク母線側へ電流が流れる状態であるとき投入する特性

【解答】

(1)解答:ハ
題意より解答候補は,(ハ)常時並列,(ニ)常用予備切替,(ヲ)常時直列,等になると思います。
ワンポイント解説「1.スポットネットワーク方式」図1の通り,スポットネットワーク方式は配電線より常時並列で需要家に電力供給を行う方式です。

(2)解答:イ
題意より解答候補は,(イ)電力損失,(ホ)ループ潮流,(ワ)電流変動,等になると思います。
スポットネットワーク方式は,一般的な樹枝状方式等の配電方式と比べて電圧低下や電力損失を少ないという特徴があります。

(3)解答:チ
題意より解答候補は,(ト)\( \ 1.5 \ \),(チ)\( \ 1.3 \ \),(ワ)\( \ 1.1 \ \),になると思います。
ネットワーク変圧器の容量に関しては,一般に定格容量の\( \ 1.3 \ \)倍で\( \ 8 \ \)時間運転を行うとして容量を計算します。
知識問題なので知っているかどうかの問題ですが,本空欄がわからない場合も問題文に「過負荷耐量」となっていることから\( \ 1.5 \ \)倍はないと考えて予想するようにしましょう。

(4)解答:ヘ
題意より解答候補は,(ロ)高電圧,(ヘ)逆電力,(リ)逆電流,(ヌ)差電流,(ル)無電圧,(カ)逆相電圧,等になると思います。
ワンポイント解説「2.ネットワークプロテクタの特性」の通り,ネットワークプロテクタにはネットワーク母線からの逆流を防止するため逆電力遮断特性というものがあります。

(5)解答:ル
題意より解答候補は,(ロ)高電圧,(ヘ)逆電力,(リ)逆電流,(ヌ)差電流,(ル)無電圧,(カ)逆相電圧,等になると思います。
ワンポイント解説「2.ネットワークプロテクタの特性」の通り,ネットワークプロテクタには配電線及びネットワーク母線がともに無電圧であるときに配電側が先に復旧し,ネットワーク遮断器の変圧器側が充電されると投入する無電圧投入特性というものがあります。



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