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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
次の文章は,電力需要の分析に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
a 時々刻々変動する負荷の特性を表すために,横軸に時間(日・週・旬・月・年)を,縦軸に需要電力をとって表示した曲線がよく使用される。この他に,日・週・旬・月・年を対象とする期間の電力需要について,その発生した時間とは無関係に大きい順に並び替えた曲線のことを\( \ \fbox { (1) } \ \)といい,負荷の特性を分析・調査するために使用される。
b 需要率は,最大需要電力の\( \ \fbox { (2) } \ \)に対する割合であり,過負荷使用の場合を除き,一般に\( \ 1 \ \)より小さい値となる。
c 供給する電力量が一定の場合,最大需要電力が大きいほど負荷率が低下して\( \ \fbox { (3) } \ \)は低くなる。
d 需要家\( \ \mathrm {A} \ \),需要家\( \ \mathrm {B} \ \)及び需要家\( \ \mathrm {C} \ \)の三つの需要家に電力を供給している。それぞれの最大需要電力は\( \ 940 \ \mathrm {kW} \ \),\( \ 1 \ 180 \ \mathrm {kW} \ \),\( \ 1 \ 540 \ \mathrm {kW} \ \)である。需要家\( \ \mathrm {A} \ \)の年間使用電力量が\( \ 4 \ 900 \ \mathrm {MW\cdot h} \ \)であるとき,その年負荷率は\( \ \fbox { (4) } \ % \ \)である。また,三つの需要家相互間の不等率が\( \ 1.20 \ \)であるとき,合成最大需要電力は\( \ \fbox { (5) } \ \mathrm {kW} \ \)である。ただし,\( \ 1 \ \)年は\( \ 365 \ \)日,需要家\( \ \mathrm {A} \ \),需要家\( \ \mathrm {B} \ \)及び需要家\( \ \mathrm {C} \ \)の力率はいずれも\( \ 1.0 \ \)とする。
〔問7の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 3 \ 050 &(ロ)& 59.5 &(ハ)& 45.8 \\[ 5pt ]
&(ニ)& 負荷頻度曲線 &(ホ)& 設備利用率 &(ヘ)& 契約電力 \\[ 5pt ]
&(ト)& 負荷持続曲線 &(チ)& 電力コスト &(リ)& 負荷曲線 \\[ 5pt ]
&(ヌ)& 全設備容量 &(ル)& ピーク供給力 &(ヲ)& 1 \ 460 \\[ 5pt ]
&(ワ)& 平均電力 &(カ)& 19.1 &(ヨ)& 4 \ 390 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
電力需給の需要率、負荷率及び不等率に関する問題です。本問の内容は頻出問題の一つであり,二次試験にも出題されるような問題となりますので,3つの基本公式は確実に理解しておくようにしましょう。
1.需要率,不等率,負荷率の定義
①需要率
\[
\begin{eqnarray}
需要率&=&\frac {最大需要電力}{設備容量}\times 100 [%] \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
②不等率(常に1以上となる)
\[
\begin{eqnarray}
不等率&=&\frac {各最大需要電力の和}{合成した最大需要電力} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
③負荷率
\[
\begin{eqnarray}
負荷率&=&\frac {平均需要電力}{最大需要電力}\times 100 [%] \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【解答】
(1)解答:ト
題意より,解答候補は(ニ)負荷頻度曲線,(ト)負荷持続曲線,(リ)負荷曲線,となると思います。その一文前の「横軸に時間(日・週・旬・月・年)を,縦軸に需要電力をとって表示した曲線」が負荷曲線,今回の出題内容である「電力需要について,その発生した時間とは無関係に大きい順に並び替えた曲線」が負荷持続曲線となります。
(2)解答:ヌ
題意より,解答候補は(ヘ)契約電力,(ヌ)全設備容量,(ワ)平均電力,となると思います。ワンポイント解説「1.需要率,不等率,負荷率の定義」の通り,需要率は最大需要電力の全設備容量に対する割合となります。
(3)解答:ホ
題意より,解答候補は(ホ)設備利用率,(チ)電力コスト,(ル)ピーク供給力,となると思います。供給する電力量が一定の場合,最大需要電力が大きいほど負荷率が低下し,設備を有効的に利用することができません。したがって,設備利用率となります。
(4)解答:ロ
需要家\( \ \mathrm {A} \ \)の年間使用電力量が\( \ 4 \ 900 \ \mathrm {MW\cdot h} \ \)であるから,年間平均電力\( \ P_{\mathrm {A}} \ \mathrm {kW} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
P_{\mathrm {A}}&=&\frac {4900\times 10^{3}}{365\times 24} \\[ 5pt ]
&≒&559.36 \ \mathrm {[kW]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
であるから,ワンポイント解説「1.需要率,不等率,負荷率の定義」より,年負荷率は,
\[
\begin{eqnarray}
負荷率&=&\frac {平均需要電力}{最大需要電力}\times 100 \\[ 5pt ]
&=&\frac {559.36}{940}\times 100 \\[ 5pt ]
&≒&59.5 \ \mathrm {[%]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
と求められる。
(5)解答:イ
ワンポイント解説「1.需要率,不等率,負荷率の定義」より,不等率は,
\[
\begin{eqnarray}
不等率&=&\frac {各最大需要電力の和}{合成最大需要電力} \\[ 5pt ]
1.2&=&\frac {940+1180+1540}{合成した最大需要電力} \\[ 5pt ]
合成最大需要電力&=&\frac {940+1180+1540}{1.2} \\[ 5pt ]
&=&3050 \ \mathrm {[kW]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
と求められる。