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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
次の文章は,事故時の配電線の許容電流に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
配電線は,\( \ \fbox { (1) } \ \)発生時に事故配電線の健全区間の負荷の一部,又は全部を分担するため,切替余力を確保することが重要である。
\( \ \fbox { (1) } \ \)発生時,健全な配電線路(融通元)から電力を融通する場合において,融通元の配電線では融通先の分の電流も流れることから,許容電流以上の電流が流れる場合がある。融通が必要となる時間は,事故復旧までであることから,設備の有効活用の観点より,許容電流に\( \ \fbox { (2) } \ \)許容電流を用いることが妥当である。
\( \ \fbox { (2) } \ \)許容電流は,\( \ \fbox { (3) } \ \)時間が長くなく,\( \ \fbox { (4) } \ \)があまり高くなければ流すことができる電流で,\( \ \fbox { (3) } \ \)時間は\( \ \fbox { (5) } \ \)程度である。
〔問7の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 頻度 &(ロ)& 瞬時電圧低下 &(ハ)& 負荷 \\[ 5pt ]
&(ニ)& 需要家構内事故 &(ホ)& 短時間 &(ヘ)& 事故検出 \\[ 5pt ]
&(ト)& 数十時間~数日 &(チ)& 現地出向 &(リ)& 瞬時 \\[ 5pt ]
&(ヌ)& 隣接配電線事故 &(ル)& 過電圧 &(ヲ)& 数分~数時間 \\[ 5pt ]
&(ワ)& 継続 &(カ)& 数秒~数分 &(ヨ)& 災害時 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
配電線の許容電流に関する問題です。
電線の許容電流は一律に設定されるものではなく,長時間流れ突けてしまうと問題となる電流でも短時間であれば許容できる電流値というものが存在します。基準が曖昧ではいけませんので,電気ではその区分をしっかりと定義しています。
1.許容電流の種類
電線の断面積を選定する際に検討する許容電流には大きく分けて以下の\( \ 3 \ \)種類があります。
①常時許容電流
常時供給する負荷の容量もしくは将来の増設を見越し,連続して使用しても電線に問題の発生しない電流値の限度を考慮するものです。
②短時間許容電流
送電の系統切換え時に一時的に流れる電流,並行\( \ 2 \ \)回線の送電線で\( \ 1 \ \)回線で事故が発生し停止した際に健全な送電線に流れる電流,隣接の電線で事故が発生した際に健全な電線路から電力を融通する場合において健全な電線路に流れる電流,等の数分~数時間程度流れても電線に問題が発生しない電流値の限度をいいます。
③瞬時許容電流
短絡事故等の事故時に発生する数秒程度の大きな電流において,許容できる電流値のことをいいます。
【解答】
(1)解答:ヌ
題意より解答候補は,(ロ)瞬時電圧低下,(ニ)需要家構内事故,(ヌ)隣接配電線事故,(ル)過電圧,になると思います。
ワンポイント解説「1.許容電流の種類」の通り,健全な配電線路(融通元)から電力を融通する場合において,融通元の配電線では融通先の分の電流も流れる事故は隣接配電線事故となります。
(2)解答:ホ
題意より解答候補は,(ハ)負荷,(ホ)短時間,(リ)瞬時,(ヨ)災害時,等になると思います。
ワンポイント解説「1.許容電流の種類」の通り,一時的に許容電流以上の電流が流れる場合には短時間許容電流を用います。
(3)解答:ワ
題意より解答候補は,(ヘ)事故検出,(チ)現地出向,(ル)過電圧,(ワ)継続,等になると思います。
ワンポイント解説「1.許容電流の種類」の通り,短時間許容電流は継続時間があまり長くない場合に流すことができる電流です。
(4)解答:イ
題意より解答候補は,(イ)頻度,(ハ)負荷,(ル)過電圧,等になると思います。
ワンポイント解説「1.許容電流の種類」の通り,短時間許容電流は頻度があまり高くなければ連続して使用できる電流値を超えて流すことができる電流です。
(5)解答:ヲ
題意より解答候補は,(ト)数十時間~数日,(ヲ)数分~数時間,(カ)数秒~数分,になると思います。
ワンポイント解説「1.許容電流の種類」の通り,短時間許容電流の継続時間は数分~数時間程度となります。