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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は, CV ケーブルに関する記述である。文中の に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
CV ケーブルは,導体に銅又はアルミニウム,絶縁体に (1) を用いており,軽量でケーブル布設が容易である上,保守・点検の省力化を図ることができる。
一方で,絶縁体に空げき(ボイド)などの部分的欠陥がある状態で高電圧を印加すると,欠陥部で (2) が発生して絶縁破壊の原因となることから, CV ケーブルの絶縁劣化を検出するための様々な試験方法が確立されている。
CV ケーブルの許容電流は,絶縁体の性能を長期にわたり損なわない導体の最高許容温度によって定められており,連続して流してよい常時許容電流では (3) ℃程度である。なお,ケーブルの温度は,ケーブルの発熱と周囲への熱放散で定まる。
CV ケーブルの充電電流が大きくなると,送電容量の確保が難しくなる。充電電流は,単位長あたりのケーブル静電容量, (4) 及び線路長に比例して大きくなる。また,ケーブルの導体サイズが同じであれば,単位長あたりのケーブル静電容量は,絶縁体の誘電率が大きいほど, (5) ほど,大きくなる。
〔問4の解答群〕
(イ) コロナ放電 (ロ) 雷サージ電圧 (ハ) ポリプロピレン(ニ) グロー放電 (ホ) シースの厚さが薄い (ヘ) アーク放電(ト) 90 (チ) 60 (リ) 架橋ポリエチレン(ヌ) 埋設の深さが深い (ル) 開閉サージ電圧 (ヲ) 送電電圧(ワ) 120 (カ) 絶縁体の厚さが薄い (ヨ) クロロプレン
【ワンポイント解説】
CV ケーブルで使用される絶縁材料とその特徴に関する問題です。
比較的過去問でも出題されている内容ですので,令和6年電力科目の全体の難易度を考えるとできれば高得点しておきたい問題となります。
本問では扱っていませんが, CV ケーブルの絶縁劣化診断方法についても平成23年電力科目問3等でも出題されていますので,合わせて学習しておくようにしましょう。
1. CV ケーブルの特徴
CV ケーブルの特徴のうち, OF ケーブルと比較した特徴は以下の通りとなります。
①絶縁体に架橋ポリエチレンを使用し, OF ケーブルのように絶縁油を使用しないため,給油設備を必要とせず,火災のリスクも少ない。
②連続使用時の最高許容温度が 90 ℃と高いので,許容電流が大きくなり,送電容量が大きくなる。
③誘電正接 tanδ (誘電正接)や比誘電率が小さいため誘電体損失や充電電流が小さくなる。
④絶縁体自体を薄くでき軽量であるため,取り回しが良い。
⑤耐薬品性,耐摩耗性,耐衝撃性に優れる。
⑥水分が含まれると突起部等の電界集中部に水分が集まり凝集し,水トリーと呼ばれる樹枝状に絶縁劣化する現象が発生する。

2.誘電体損
ケーブルは誘電体を金属で挟んだコンデンサのような構造をしているため,損失分も合わせ一相分等価回路は図2のように抵抗 R [Ω] と静電容量 C [F] の並列回路となり,図3のベクトル図に示すような電流が流れます。ただし, ˙E [V] はケーブルに加わる電圧の相電圧となります。
この時のコンデンサ分に流れる電流 IC [A] に対する抵抗分に流れる電流 IR [A] の割合 IRIC=tanδ を誘電正接と呼び,ケーブルが劣化してくると大きくなります。
ケーブルの誘電体損 Wd [W] は,ケーブルに加わる電圧(線間電圧)を V [V] ,周波数を f [Hz] ,角周波数を ω=2πf [rad/s] とすると,
Wd=3V√3IR=3V√3ICtanδ=3V√3(ωCV√3)tanδ=ωCV2tanδ=2πfCV2tanδ

【解答】
(1)解答:リ
題意より解答候補は,(ハ)ポリプロピレン,(リ)架橋ポリエチレン,(ヨ)クロロプレン,になると思います。
ワンポイント解説「1. CV ケーブルの特徴」の通り, CV ケーブルは絶縁体に架橋ポリエチレンを使用したケーブルです。ポリプロピレンはプラスチック,クロロプレンはゴムに使われる物質です。
(2)解答:イ
題意より解答候補は,(イ)コロナ放電,(ニ)グロー放電,(ヘ)アーク放電,になると思います。
絶縁体の空げきがある状態で発生するのはコロナ放電となります。グロー放電は真空管等の低圧気体中で発生する放電,アーク放電は雷等の絶縁破壊で発生する放電です。
(3)解答:ト
題意より解答候補は,(ト) 90 ,(チ) 60 ,(ワ) 120 ,になると思います。
ワンポイント解説「1. CV ケーブルの特徴」の通り, CV ケーブルの最高許容温度は連続使用で 90 ℃程度となっています。
(4)解答:ヲ
題意より解答候補は,(ロ)雷サージ電圧,(ル)開閉サージ電圧,(ヲ)送電電圧,になると思います。
ワンポイント解説「2.誘電体損」の等価回路からわかるように,ケーブルの充電電流は送電電圧に比例して大きくなります。
(5)解答:カ
題意より解答候補は,(ホ)シースの厚さが薄い,(ヌ)埋設の深さが深い,(カ)絶縁体の厚さが薄い,になると思います。
CV ケーブルは,導体とシースの間に絶縁体が挟んであるようなコンデンサに近い構造であるため,平行平板コンデンサの静電容量の公式 C=εSd より,誘電率が大きいほど,絶縁体の厚さが薄いほど,静電容量が大きくなります。