《電力》〈送電〉[R07:問4]架空送電線路の構成に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,架空送電線路に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

架空送電線路は,主に電線・支持物・がいしなどで構成される。

電線は,相配列を区間ごとに変える\( \ \fbox {  (1)  } \ \)と呼ばれる配線がなされており,各相のインダクタンス及び静電容量が等しくなるようにしている。また,電線の種類としては,\( \ 154 \ \mathrm {kV} \ \)の電圧階級において主に\( \ \fbox {  (2)  } \ \)が用いられている。

支持物は,電線を支持することを目的とする工作物であり,鉄塔・鉄柱・鉄筋コンクリート柱・木柱の\( \ 4 \ \)種類がある。架空送電線支持物の大半を占める鉄塔の構成材としては,鋼管と\( \ \fbox {  (3)  } \ \)の二種類があり,前者を用いた鉄塔を鋼管鉄塔,後者を用いた鉄塔を\( \ \fbox {  (3)  } \ \)鉄塔という。また,支持物間の距離を径間と呼び,電圧・回線数・電線太さ・支持物構造・気象・地形などを考慮して経済的な径間を選定する。\( \ 154 \ \mathrm {kV} \ \)の電圧階級において,標準的な径間長は\( \ \fbox {  (4)  } \ \mathrm {m} \ \)程度である。

がいしは,電線を支持物から絶縁するためのものであり,絶縁体に磁器を採用したものが主流である。雷サージのような過大な電圧によるフラッシオーバによってがいし連が破損しないよう,がいし連の両端には\( \ \fbox {  (5)  } \ \)が取り付けられている。

〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 溝形鋼     &(ロ)& ダンパ     &(ハ)& 600 \\[ 5pt ] &(ニ)& 終端接続     &(ホ)& 硬銅より線     &(ヘ)& \mathrm {H} \ 形鋼 \\[ 5pt ] &(ト)& クロスボンド       &(チ)& 鋼心アルミより線        &(リ)& 亜鉛めっき鋼より線 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 山形鋼     &(ル)& 300     &(ヲ)& 100 \\[ 5pt ] &(ワ)& アーマロッド    &(カ)& アークホーン     &(ヨ)& ねん架 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

架空送電線路の構成や材料等に関する総合的な内容を問う問題です。
一部\( \ 2 \ \)種らしい専門性の高い内容の空欄もありますが,合格を目指す場合にはそれ以外の空欄を落とさないことが重要です。
一度理解してしまえば忘れにくい内容と思いますので,本問で理解するようにしましょう。

1.鋼心アルミより線
鋼心アルミより線は,図1に示すように中心に亜鉛めっき鋼より線,その周囲に硬アルミ線をより合わせた電線であり,アルミの軽量かつ高い導電性と,鋼の強い引張強さとを併せもつ代表的な架空送電線です。
アルミは導電率では銅の3分の2程度ですが,重量が3分の1程度なので,全体として約半分の重量で同容量の送電線の敷設が可能となります。

2.架空地線
<架空地線の役割>
架空地線は電線の上部,主に鉄塔の一番上に設ける裸電線で,以下のような役割があります。
①送電線への直撃雷を防止する。(遮へい角が小さい程遮へい効果は高い。)
②誘導雷(雷雲の電荷により反対の電荷が電線に現れ,落雷により雷雲の電荷がなくなるために電線で大きな電荷の移動が起こる現象)を軽減する。
③通信線への電磁誘導障害を軽減する。

<架空地線落雷時の対策>
また,架空地線や鉄塔に落雷した際の逆フラッシオーバに対する対策として,以下のような対策が取られます。
①埋設地線で鉄塔と大地の接地抵抗を小さくする。
②アークホーンでがいしの損傷を防止する。(逆フラッシオーバ自体の対策ではありません。)
③\( \ 2 \ \)回線送電線におけるがいしの連結個数に差をつけて,両回線同時事故を防ぐ。

3.送電線のねん架
図3に示すようにジャンパ線を用いて各相の電線の配置を変更し,対地への各相からの電気的影響をほぼ等しくする方法です。これにより,送電線各相の作用インダクタンスと作用静電容量が等しくなり,電磁誘導障害や静電誘導障害を防止することができます。

【解答】

(1)解答:ヨ
題意より解答候補は,(ニ)終端接続,(ト)クロスボンド,(ヨ)ねん架,等になると思います。
ワンポイント解説「3.送電線のねん架」の通り,電線を相配列を区間ごとに変えることをねん架といいます。

(2)解答:チ
題意より解答候補は,(ホ)硬銅より線,(チ)鋼心アルミより線,(リ)亜鉛めっき鋼より線,等になると思います。
ワンポイント解説「1.鋼心アルミより線」の通り,電線は,価格・重量・導電性の観点から鋼心アルミより線が主に用いられています。

(3)解答:ヌ
題意より解答候補は,(イ)溝形鋼,(ヘ)\( \ \mathrm {H} \ \)形鋼,(ヌ)山形鋼,になると思います。
それぞれの形状は図4の通りですが,強度・加工性・経済性等の観点から送電線の鉄塔に使用されているのは山形鋼となります。

(4)解答:ル
題意より解答候補は,(ハ)\( \ 600 \ \),(ル)\( \ 300 \ \),(ヲ)\( \ 100 \ \),になると思います。
\( \ 154 \ \mathrm {kV} \ \)の電圧階級において,標準的な径間長は\( \ 300 \ \mathrm {m} \ \)程度となります。

(5)解答:カ
題意より解答候補は,(ロ)ダンパ,(ワ)アーマロッド,(カ)アークホーン,になると思います。
ワンポイント解説「2.架空地線」の通り,雷サージのような過大な電圧によるフラッシオーバによってがいし連が破損しないよう,がいし連の両端にはアークホーンが取り付けられています。



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