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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
次の文章は,\( \ \mathrm {RFID \ ( \ Radio \ Frequency \ ldentification \ ) } \ \)に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる語句を解答群の中から選び,その記号をマークシートに記入しなさい。
重要な電力設備の保全では,定期点検\( \ \mathrm { ( \ TBM \ ) } \ \)から状態監視保全\( \ \mathrm { ( \ CBM \ ) } \ \)への移行が進められている。このような信頼性重視の保全管理に向けて,電力設備の計測情報収集等に\( \ \mathrm {RFID} \ \)を用いた\( \ \mathrm {IC} \ \)タグ応用システムが重要な役割を果たす。この\( \ \mathrm {RFID} \ \)には,電磁波の伝達方式により\( \ 2 \ \)種類の方式がある。
電波方式は,タグのコイルとリーダー/ライターのアンテナコイル間との距離が,使用する波長に対して\( \ \fbox { (1) } \ \),空中を伝搬する電磁波として伝達させる通信方式であり,通信距離を長くとることができ指向性がある。
\( \ \fbox { (2) } \ \)方式は,タグのコイルとリーダー/ライターのアンテナコイルを磁束結合させて,コイルに起電力を発生させ,\( \ \fbox { (3) } \ \)の法則を応用して通信する方式である。この方式は,電波方式に対して,近傍型\( \ \mathrm {RFID} \ \)あるいは非接触\( \ \mathrm {IC} \ \)カードとして早くから実用化されている。特にこれらのカードは,電源が不要な\( \ \fbox { (4) } \ \)型\( \ \mathrm {RFID} \ \)タグに分類され,その特徴は,リーダー/ライターからタグに対して,電力供給のための搬送波を送信しながらデータを送れることである。これにより安価で小型化を達成している。また,そのデータは通常,振幅変調方式である\( \ \fbox { (5) } \ \)変調が使用されている。
〔問8の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& アクティブ &(ロ)& \mathrm {ASK} &(ハ)& 等しく \\[ 5pt ]
&(ニ)& ネガティブ &(ホ)& 短 く &(ヘ)& パッシブ \\[ 5pt ]
&(ト)& アンペア &(チ)& 音波通信 &(リ)& キルヒホッフ \\[ 5pt ]
&(ヌ)& \mathrm {PSK} &(ル)& 電磁誘導 &(ヲ)& 長 く \\[ 5pt ]
&(ワ)& 光通信 &(カ)& ファラデー &(ヨ)& \mathrm {FSK} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
\( \ \mathrm {RFID} \ \)の技術と分類に関する問題です。
非常に普及している技術ではありますが,電験受験生でこの内容を勉強されている方は限定的かと思います。ただし,(2),(3),(5)等はある程度電磁気や過去問の知識から類推できるかと思いますので,諦めずに解くことが重要です。
1.\( \ \mathrm {RFID \ ( \ Radio \ Frequency \ ldentification \ ) } \ \)
\( \ \mathrm {RFID} \ \)は非接触でデータの読み書きができる技術の総称で,最も身近な例では交通系の\( \ \mathrm {IC} \ \)カードや電子マネー等がありますが,その他企業においての在庫管理や医療の現場等でも活躍している技術です。データを非接触で速く読み取りできる等のメリットから様々な分野で導入が進んでいますが,導入コストやデータ漏洩等のリスクから,バーコードや\( \ \mathrm {QR} \ \)コードも併用されているのが現在の状況です。
主に,データ処理用の\( \ \mathrm {PC} \ \),リーダー/ライター,タグ(\( \ \mathrm {RF} \ \)タグ)の機器で構成され,リーダー/ライターとタグの間で非接触のデータのやり取りがなされます。
\( \ \mathrm {RFID} \ \)の伝達方式には,以下の2方式があります。
①電波方式
リーダー/ライターとタグの間を電磁波として伝搬する方式で,\( \ 900 \ \mathrm {MHz} \ \)の\( \ \mathrm {UHF} \ \)帯もしくは\( \ 2.45 \ \mathrm {GHz} \ \)のマイクロ波帯の周波数等を使用します。それぞれの波長が\( \ 33 \ \mathrm {cm} \ \)と\( \ 12 \ \mathrm {cm} \ \)であるのに対し,タグのコイルとリーダー/ライターのアンテナコイル間との距離が\( \ 3\sim 5 \ \mathrm {m} \ \)と\( \ 2 \ \mathrm {m} \ \)程度であり,使用する波長に対して長く,通信距離を長くとることができ指向性あるという特徴があります。
②電磁誘導方式
リーダー/ライターとタグの間にアンテナコイルを使い磁界を発生させ,データのやりとりをファラデーの電磁誘導の法則を応用して行う方式です。\( \ 135 \ \mathrm {kHz} \ \)や\( \ 13.56 \ \mathrm {MHz} \ \)の周波数帯等を使用し,特に後述するパッシブ型の場合,通信距離は数\( \ 10 \ \mathrm {cm} \ \)程度であるため短いです。
また,タグは内部にバッテリーを保有するかでパッシブ型,アクティブ型(セミアクティブ型もあり)に分類されます。
①パッシブ型
リーダー/ライターからタグに電力を供給する方式で,これにより安価でかつ小型化することが可能です。そのため,通信距離が求められず,大量にタグが必要な場合に利用されます。また,そのデータは通常,振幅変調方式である\( \ \mathrm {ASK} \ \)変調が使用されています。
②アクティブ型
内臓された電池を用いて信号を発信する方式で,パッシブ型に比べ,通信距離が長くなる方式です。しかしながら,高コストで定期的な電池交換や充電が必要であり,小型化も難しいという特徴があります。動く物に取り付け位置情報等を管理すること等が可能です。
【解答】
(1)解答:ヲ
題意より,解答候補は(ハ)等しく,(ホ)短く,(ヲ)長く,になると思います。
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {RFID \ ( \ Radio \ Frequency \ ldentification \ ) } \ \)」の通り,電波方式は,タグのコイルとリーダー/ライターのアンテナコイル間との距離が,使用する波長に対して長いという特徴があります。
(2)解答:ル
題意より,解答候補は(チ)音波通信,(ル)電磁誘導,(ワ)光通信,になると思います。
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {RFID \ ( \ Radio \ Frequency \ ldentification \ ) } \ \)」の通り,\( \ \mathrm {RFID} \ \)の伝達方式には,電波方式と電磁誘導方式があります。
(3)解答:カ
題意より,解答候補は(ト)アンペア,(リ)キルヒホッフ,(カ)ファラデー,になると思います。
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {RFID \ ( \ Radio \ Frequency \ ldentification \ ) } \ \)」の通り,電磁誘導方式はファラデーの法則を応用して通信する方式です。
(4)解答:ヘ
題意より,解答候補は(イ)アクティブ,(ニ)ネガティブ,(ヘ)パッシブ,になると思います。
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {RFID \ ( \ Radio \ Frequency \ ldentification \ ) } \ \)」の通り,非接触\( \ \mathrm {IC} \ \)カードは電源が不要なパッシブ型\( \ \mathrm {RFID} \ \)タグに分類されます。
(5)解答:ロ
題意より,解答候補は(ロ)\( \ \mathrm {ASK} \ \),(ヌ)\( \ \mathrm {PSK} \ \),(ヨ)\( \ \mathrm {FSK} \ \),になると思います。
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {RFID \ ( \ Radio \ Frequency \ ldentification \ ) } \ \)」の通り,データの伝送には通常,振幅変調方式である\( \ \mathrm {ASK} \ \)変調が使用されています。