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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
次の表の語句は,電気加熱に関するものである。\(\mathrm {A}\)欄の加熱方式と最も深い関係にあるものを,\(\mathrm {B}\)欄の加熱原理からみた電気の主たる役割及び\(\mathrm {C}\)欄の被加熱物の加熱の様相の中からそれぞれ一つずつ選べ。
\[
\begin{array}{|l|l|l|}
\hline
\mathrm {A} & \mathrm {B} & \mathrm {C} \\
\hline
\ 加熱方式 & \displaystyle {加熱原理からみた}\atop \displaystyle {電気の主たる役割} & 被加熱物の加熱の様相 \\
\hline
(1)ヒートポンプ加熱 & (イ)交番電界の発生 & (\mathrm {a}) 摩擦熱の吸収 \\
(2)直接抵抗加熱 & (ロ)電動機による圧縮機 & (\mathrm {b}) 電子及びイオンの \\
(3)赤外加熱 & の駆動 & \ 吸収による発熱 \\
(4)誘導加熱 & (ハ)電動機の摺動摩擦に & (\mathrm {c}) 放射の吸収による \\
(5)誘電加熱 & よる熱の発生 & \ 発熱 \\
& (ニ)熱放射の発生 & (\mathrm {d})渦電流によって発 \\
& (ホ)交番磁界の発生 & \ 生するジュール熱に \\
& (ヘ)被加熱物への通電 & \ よる発熱 \\
& (ト)放電による熱の発生 & (\mathrm {e})通電電流によって \\
& & \ 発生するジュール熱 \\
& & \ による発熱 \\
& & (\mathrm {f})凝縮器からの熱の \\
& & \ 吸収 \\
& & (\mathrm {g})誘電損による発熱 \\
\hline
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
(1)~(5)の内容を完璧に説明できれば,電験の電熱に関する内容はほぼ理解したと言っても過言ではないぐらいの内容です。各原理に概要を理解するようにしましょう。特に誘電加熱と誘導加熱は全く異なるものとなりますので,違いをよく理解しておくようにして下さい。
1.ヒートポンプ
ヒートポンプは機械的な仕事により熱放出もしくは熱吸収を行う熱機関です。(熱放出を行うものをヒートポンプ,熱吸収を行うものを冷凍機と呼ぶ場合もあります。)ヒートポンプのフローを図1に示します。冷房時が青線,暖房時は赤線の流れとなります。冷房時を例に示します。
蒸発器:膨張弁からの低温低圧の液を蒸発させ気化させます。
四方弁:暖房冷房時に圧縮機に流れる媒体の向きを同じにするために向きを変えるものです。
圧縮機:蒸発器から出た低圧の蒸気を高圧蒸気にします。
凝縮器:圧縮機で高温高圧となった蒸気を凝縮し,液化させます。
膨張弁:凝縮器から出た液を膨張し,低温低圧の液にします。
※図1において,暖房時には熱交換器である蒸発器と凝縮器の役割が逆となります。
2.直接抵抗加熱
抵抗に通電することによって発生するジュール熱を利用して加熱する方法です。
3.赤外加熱
赤外線による熱放射を利用して,加熱物を加熱する方法です。
4.誘導加熱
交番磁界中に導電体を置くことによって,ファラデーの電磁誘導の法則により渦電流が生じ,その抵抗損(ジュール損)によって発熱します。オール電化のコンロ等はこの原理を利用しています。
5.誘電加熱
交番電界中に誘電体を置くことによって,誘電体に誘電損が生じ発熱します。電子レンジはこの原理を利用した電化製品の一つです。
【解答】
すべてワンポイント解説の通りです。
(1)解答:ロ,f
(2)解答:ヘ,e
(3)解答:ニ,c
(4)解答:ホ,d
(5)解答:イ,g