《機械》〈メカトロニクス〉[R06:問8]メカトロニクスで用いる光センサに関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,メカトロニクスで用いる光センサに関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

メカトロニクスの分野では,各種センサにより物理量を電気信号に変換し,さらに\( \ \mathrm {A / D} \ \)変換して,コンピュータでの制御を行っている。特に,光を応用したセンサは,物体の非接触検出などに多用されている。

光を検出するセンサとして\( \ \mathrm {CdS} \ \)セルがある。しかし,有害物質である\( \ \fbox {  (1)  } \ \)を用いることより,使用が規制されている地域がある。

\( \ \fbox {  (2)  } \ \)やフォトトランジスタは,\( \ \mathrm {PN} \ \)接合や\( \ \mathrm {PIN} \ \)接合面などに光を当てたときに生じる\( \ \fbox {  (3)  } \ \)を利用したものである。一般に,フォトトランジスタは,光の強さでコレクタ電流を制御できるため,増幅作用によって\( \ \fbox {  (2)  } \ \)よりも大きな電流を扱うことができる。

赤外線\( \ \mathrm {LED} \ \)などの発光素子とフォトトランジスタなどの受光素子を組み合わせた\( \ \fbox {  (4)  } \ \)スイッチは,物体の有無を検出するセンサとして,搬送装置や各種加工装置などで多用されている。

ロータリーエンコーダは,回転軸の回転速度や回転方向,回転角などの変位を検出するセンサである。\( \ \mathrm {A} \ \)相とそれに対して\( \ \displaystyle \frac {1}{4} \ \)周期ずれた\( \ \mathrm {B} \ \)相の信号を刻み込んだスリット板を内蔵し,透過型の光センサで読み出すしくみのものがある。このように\( \ \mathrm {A} \ \)相及び\( \ \mathrm {B} \ \)相の信号を用いるロータリーエンコーダを\( \ \fbox {  (5)  } \ \)形という。

〔問8の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& フォトルミネッセンス        &(ロ)& フォトレジスタ       &(ハ)& フォトダイオード \\[ 5pt ] &(ニ)& ツェナーダイオード     &(ホ)& 臭素     &(ヘ)& クロム \\[ 5pt ] &(ト)& カドミウム     &(チ)& 焦電     &(リ)& 光電 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 外部光電効果     &(ル)& 光起電力効果     &(ヲ)& インクリメンタル \\[ 5pt ] &(ワ)& アブソリュート     &(カ)& リード     &(ヨ)& リレーショナル \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

メカトロニクスで用いる光センサに関する問題です。
メカトロニクスは基本的には選択問題でしか出題されませんが,理論の電子理論で学習するような原理が多く含まれていますので,原理についてはよく学習しておくようにして下さい。
メカトロニクスは出題範囲には入っているものの\( \ 2 \ \)種では出題されにくかった分野ですが,近年少しずつ出題が増えてきている印象です。

1.フォトダイオード
半導体の特性を利用して光の強さを測定する装置です。図1に示すように,\( \ \mathrm {pn} \ \)接合した半導体に光を照射すると,電子ー正孔対が生成され,正孔は\( \ \mathrm {p} \ \)形半導体側へ,電子は\( \ \mathrm {n} \ \)形半導体側へ移動し,半導体に起電力が生じます。この現象は光起電力効果と呼ばれ,フォトダイオードはこの原理を利用しています。

2.光電スイッチ
光電スイッチは搬送物の通過を光の遮断にて検知する装置で透過式と反射式があり,それぞれの概念図は図2及び図3のようになります。
透過式は投光器と受光器の間に搬送物を通過させ,光を遮ることにより物体を検知します。一方反射式は,反射板を設けることで,往復の光で搬送物を検知します。
一般に,透過式の方が搬送物までの検出距離を大きくすることができますが,透明体等の検出には反射式が有利となります。

3.ロータリエンコーダ
図4の通り,回転するディスクにオン,オフがわかるようなスリットを設け,回転数をセンサで検出する装置でインクリメンタル式とアブソリュート式があります。
インクリメンタル式は投受光素子を二組用意し,位相を\( \ 90° \ \)ずらして,回転方向も分かるような仕組みにしたもの,アブソリュート式は回転ディスクを複数列に設け,ディスクの位置を検出するものです。

【解答】

(1)解答:ト
題意より解答候補は,(ホ)臭素,(ヘ)クロム,(ト)カドミウム,等になると思います。
\( \ \mathrm {CdS} \ \)セルは,硫化カドミウムの光の量により抵抗値が変化する特性を利用したセンサですが,カドミウムを使用されているため,使用規制がされている地域があります。

(2)解答:ハ
題意より解答候補は,(イ)フォトルミネッセンス,(ロ)フォトレジスタ,(ハ)フォトダイオード,(ニ)ツェナーダイオード,になると思います。
ワンポイント解説「1.フォトダイオード」の通り,\( \ \mathrm {PN} \ \)接合や\( \ \mathrm {PIN} \ \)接合面などに光を当てたときに生じる起電力を利用したものはフォトダイオードとなります。フォトルミネッセンスは蛍光物質に当たることにより光を生じる蛍光灯等に利用される物,フォトレジスタは光の量により抵抗値が変化する特性すなわち\( \ \mathrm {CdS} \ \)セルと同じ物,ツェナーダイオードはダイオードにみられる逆方向の電圧電流特性の急激な降伏現象を利用し一定電圧を出力するダイオードです。

(3)解答:ル
題意より解答候補は,(ヌ)外部光電効果,(ル)光起電力効果,等になると思います。
ワンポイント解説「1.フォトダイオード」の通り,フォトダイオードは\( \ \mathrm {PN} \ \)接合や\( \ \mathrm {PIN} \ \)接合面などに光を当てたときに生じる光起電力効果を利用したものです。

(4)解答:リ
題意より解答候補は,(チ)焦電,(リ)光電,(カ)リード,等になると思います。
ワンポイント解説「2.光電スイッチ」の通り,赤外線\( \ \mathrm {LED} \ \)などの発光素子とフォトトランジスタなどの受光素子を組み合わせたスイッチを光電スイッチといいます。リードスイッチは磁気でオンオフするスイッチです。

(5)解答:ヲ
題意より解答候補は,(ヲ)インクリメンタル,(ワ)アブソリュート,(ヨ)リレーショナル,等になると思います。
ワンポイント解説「3.ロータリエンコーダ」の通り,ロータリエンコーダのうち\( \ \displaystyle \frac {1}{4} \ \)周期ずれた信号を刻み込んだスリット板を内蔵し,透過型の光センサで読み出すしくみをインクリメンタル形といいます。



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