《機械》〈パワーエレクトロニクス〉[R08:問4]単相ダイオード整流回路に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,単相ダイオード整流回路に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。なお,全ての素子は理想的として扱う。

単相の正弦波交流電源から直流電圧を得るには,図1に示すように四つのダイオードをブリッジ接続したダイオード整流回路が利用される。ブリッジ接続により,交流電圧を同一極性の直流電圧として取り出せるが,出力電圧\( \ v_{\mathrm {DC}} \ \)には脈動成分が含まれる。この脈動成分は交流電源周波数の\( \ 2 \ \)倍の周波数成分が支配的である。出力電圧の脈動成分を低減するために,直流側の負荷\( \ R \ \)と並列にコンデンサ\( \ C \ \)を接続する方法がある。

図1に示すようにダイオード整流回路の直流側の負荷として抵抗\( \ R \ \)を接続した場合,交流側の電流波形\( \ i_{\mathrm {s}} \ \)は交流電圧\( \ v_{\mathrm {s}} \ \)に対して\( \ \fbox {  (1)  } \ \)の正弦波電流となる。図2に示すように負荷\( \ R \ \)と並列にコンデンサ\( \ C \ \)を接続した場合は,直流電圧\( \ v_{\mathrm {DC}} \ \)が交流電圧\( \ v_{\mathrm {s}} \ \)よりも高い期間ではダイオードは\( \ \fbox {  (2)  } \ \)状態となり,交流電流\( \ i_{\mathrm {s}} \ \)は流れない。すなわち,交流電圧\( \ v_{\mathrm {s}} \ \)が直流電圧\( \ v_{\mathrm {DC}} \ \)よりも高い期間だけパルス状の交流電流\( \ i_{\mathrm {s}} \ \)が流れる。

交流電流\( \ i_{\mathrm {s}} \ \)の波形には電源周波数の\( \ \fbox {  (3)  } \ \)の周波数成分が基本波成分に次いで多く含まれるために\( \ \fbox {  (4)  } \ \)が大きく低減する。さらに,\( \ \fbox {  (3)  } \ \)の周波数成分の電流は,交流側に接続された他の機器に悪影響を与えるおそれがあるため,これを低減する方法として交流電源とダイオード整流回路との間に直列に\( \ \fbox {  (5)  } \ \)を接続する方法が用いられる。\( \ \fbox {  (5)  } \ \)は,交流電流の急峻な変化を抑制できるため,\( \ \fbox {  (4)  } \ \)を改善できる。


〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 5 \ 倍     &(ロ)& 総合力率     &(ハ)& 導通 \\[ 5pt ] &(ニ)& 逆バイアス     &(ホ)& 進み位相     &(ヘ)& 3 \ 倍 \\[ 5pt ] &(ト)& キャパシタ     &(チ)& 遅れ位相     &(リ)& 2 \ 倍 \\[ 5pt ] &(ヌ)& インダクタ        &(ル)& 同位相     &(ヲ)& フリッカ \\[ 5pt ] &(ワ)& 抵抗     &(カ)& 順バイアス        &(ヨ)& 基本波力率 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

単相ダイオード整流回路に関する問題です。
抵抗を接続した単相ダイオードブリッジ整流回路は整流回路の最も基本となる回路で,単相ダイオードブリッジ整流回路を理解できるとサイリスタブリッジや三相ブリッジもよく理解できるようになります。動作原理は一度理解してしまえば忘れにくい項目となりますので,しっかりと理解してしまいましょう。

1.単相ダイオードブリッジ整流回路の動作
図3,図4に示す単相ダイオードブリッジ整流回路は以下のように動作します。

①\( \ v_{\mathrm {s}}>0 \ \)のとき
図3のように,電流は交流電源→\( \ \mathrm {D}_{1} \ \)→負荷→\( \ \mathrm {D}_{4} \ \)→交流電源と流れます。出力電圧\( \ v_{\mathrm {o}} \ \)は素子の電圧降下が無視できるとすると,入力電圧\( \ v_{\mathrm {s}} \ \)と等しくなります。

②\( \ v_{\mathrm {s}}<0 \ \)のとき
図4のように,電流は交流電源→\( \ \mathrm {D}_{2} \ \)→負荷→\( \ \mathrm {D}_{3} \ \)→交流電源と流れます。出力電圧\( \ v_{\mathrm {o}} \ \)は素子の電圧降下が無視できるとすると,\( \ -v_{\mathrm {s}} \ \)となります。

したがって,出力電圧の波形は図5のようになります。
図5より平均出力電圧\( \ V_{\mathrm {o}} \ \mathrm {[V]} \ \)は,交流入力\( \ v=\sqrt {2}V \sin \omega t \ \mathrm {[V]} \ \)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
V_{\mathrm {o}} &=& \frac {1}{\pi }\int _{0}^{\pi }\sqrt {2}V\sin \omega t \mathrm {d}\omega t \\[ 5pt ] &=& \frac {\sqrt {2}}{\pi }V\left[ -\cos \omega t\right] _{0}^{\pi } \\[ 5pt ] &=& \frac {\sqrt {2}}{\pi }V\left( -\cos \pi +\cos 0 \right) \\[ 5pt ] &=& \frac {\sqrt {2}}{\pi }V\left\{ -\left( -1 \right) +1 \right\} \\[ 5pt ] &=& \frac {2\sqrt {2}}{\pi }V \\[ 5pt ] &≃& 0.90V \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。

2.コンデンサとリアクトルの平滑作用
整流回路の出力電圧や電流は波形の脈動が多いため,コンデンサやリアクトルを挿入し平滑させることがあります。

①コンデンサ
図6に示すように,負荷に並列にコンデンサを挿入することで,コンデンサの充放電により電圧波形の脈動が平滑されます。これにより,図7に示すような波形の出力が得られることになります。

②リアクトル
図8に示すように,負荷に直列にリアクトルを挿入することで,リアクトルの作用により電流波形の脈動が平滑されます。これにより,図9に示すような波形の出力が得られることになります。

【解答】

(1)解答:ル
題意より,解答候補は(ホ)進み位相,(チ)遅れ位相,(ル)同位相,になると思います。
理論科目の交流回路の分野で学習する通り,抵抗を接続した場合は電圧と電流は同位相となります。

(2)解答:ニ
題意より,解答候補は(ハ)導通,(ニ)逆バイアス,(カ)順バイアス,になると思います。
ワンポイント解説「2.コンデンサとリアクトルの平滑作用」の通り,直流電圧\( \ v_{\mathrm {DC}} \ \)が交流電圧\( \ v_{\mathrm {s}} \ \)よりも高い期間ではダイオードには逆バイアスの電圧が加わり,非導通となります。

(3)解答:ヘ
題意より,解答候補は(イ)\( \ 5 \ \)倍,(ヘ)\( \ 3 \ \)倍,(リ)\( \ 2 \ \)倍,になると思います。
交流電圧\( \ v_{\mathrm {s}} \ \)が直流電圧\( \ v_{\mathrm {DC}} \ \)よりも高い期間だけパルス状の交流電流\( \ i_{\mathrm {s}} \ \)が流れるときには図10に示すような波形となり,電源周波数の\( \ 3 \ \)倍の周波数成分が多く含まれてる状態になります。

(4)解答:ロ
題意より,解答候補は(ロ)総合力率,(ヲ)フリッカ,(ヨ)基本波力率,になると思います。
図10の波形から電圧電流が同相ではなくなり,総合力率が大きく低減することがわかります。

(5)解答:ヌ
題意より,解答候補は(ト)キャパシタ,(ヌ)インダクタ,(ワ)抵抗,になると思います。
ワンポイント解説「2.コンデンサとリアクトルの平滑作用」の通り,交流電源とダイオード整流回路との間に直列にインダクタを接続することで電流が平滑され通電期間が長くなり力率が改善されます。直列にというのが大きなヒントとなっています。



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