《電力》〈配電〉[R06:問4]分散型電源の出力制御に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,分散型電源の出力制御に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

電力系統では周波数を維持するために,需給のバランスを取る必要がある。分散型電源の増加が著しくなると,分散型電源の発電出力によっては火力・水力発電の出力調整のみでは周波数を維持することが困難となるため,分散型電源の発電出力を制御する必要がある。

一般送配電事業者では,配電系統に接続される太陽光発電に,発電出力と\( \ \fbox {  (1)  } \ \)の予測等に基づき出力制御をオンラインで指令する場合,\( \ \fbox {  (2)  } \ \)を行うことにより出力制御する方法が用いられている。出力制御時(制御後の発電出力)の指令値が\( \ \fbox {  (3)  } \ \)よりも大きい場合,太陽光発電は出力制御されずに発電することが可能である。しかし,出力制御時の指令値が\( \ \fbox {  (3)  } \ \)よりも小さい場合は,\( \ \fbox {  (4)  } \ \)を介して出力制御を行うため,実際の発電出力は出力制御時の指令値を上限とした値となる。

なお,\( \ 66 \ \mathrm {kV} \ \)以上の電力系統に接続される太陽光発電には,出力制御を確実に行うため\( \ \fbox {  (5)  } \ \)通信を用いて指令する方式が一般に用いられる。

〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 現在の発電出力       &(ロ)& 単方向     &(ハ)& パネルの容量 \\[ 5pt ] &(ニ)& マルチホップ     &(ホ)& 需要     &(ヘ)& リアルタイム制御 \\[ 5pt ] &(ト)& 電圧     &(チ)& 主任技術者への通知       &(リ)& 発雷 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 双方向     &(ル)& スマートメータ     &(ヲ)& スケジュール配信 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] \[
\begin{eqnarray}
&(ワ)& パワーコンディショナ \\[ 5pt ] &(カ)& \mathrm {HEMS} \ (ホームエネルギーマネジメントシステム) \\[ 5pt ] &(ヨ)& パワーコンディショナの容量 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

分散型電源の出力制御に関する問題です。
2010年代後半から,太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入拡大に伴い,発電電力量が需要電力量(接続可能量)を上回るようになり,出力制御に関する議論が資源エネルギー庁のワーキンググループでなされるようになっていました。電験受験生としてはあまり聞いたことがない内容も含まれるかもしれませんが,時事的な内容として概要を理解しておくようにしましょう。また,知らないからと諦めず,選択肢を絞って文脈や他の知識から正答をひねり出す癖もつけるようにしましょう。

1.分散型電源の出力制御の運用方法
太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入拡大に伴い,春や秋等の軽負荷期においては,昼間の発電電力が電力需要を上回ることがあり,その際には一般送配電事業者が発電事業者に出力制御スケジュール配信を行うことにより出力制御する方法が取られるようになりました。

その場合には,発電出力が出力制御の指令値より小さい場合には出力制御は行われませんが,指令値より大きい場合にはパワーコンディショナ\( \ \left( \mathrm {PCS}\right) \ \)を介して出力制御を行うことになります。

\( \ 66 \ \mathrm {kV} \ \)以上の電力系統に接続される太陽光発電には,確実かつきめ細やかな出力制御が可能となる双方向通信を用いて指令する方法,\( \ 66 \ \mathrm {kV} \ \)未満の電力系統に接続される太陽光発電には,インターネットによる出力制御スケジュールを単方向通信を用いて指令する方法,が一般に用いられます。

詳細は経済産業省総合資源エネルギー調査会のワーキンググループの資料九州電力のホームページ等を参照して下さい。


出典:次世代双方向通信出力制御緊急実証事業実施結果 平成28年5月19日 九州電力株式会社
URL:https://www.kyuden.co.jp/var/rev0/0053/6224/nqqcnf72uh8gwh.pdf

【解答】

(1)解答:ホ
題意より解答候補は,(ホ)需要,(ト)電圧,(リ)発雷,になると思います。
ワンポイント解説「1.分散型電源の出力制御の運用方法」の通り,一般送配電事業者は,発電出力と需要の予測等に基づき出力制御を行います。

(2)解答:ヲ
題意より解答候補は,(ヘ)リアルタイム制御,(チ)主任技術者への通知,(ヲ)スケジュール配信,になると思います。
ワンポイント解説「1.分散型電源の出力制御の運用方法」の通り,一般送配電事業者は,出力制御をオンラインで指令する場合,スケジュール配信を行うことにより出力制御する方法を用います。

(3)解答:イ
題意より解答候補は,(イ)現在の発電出力,(ハ)パネルの容量,(ヨ)パワーコンディショナの容量,になると思います。
ワンポイント解説「1.分散型電源の出力制御の運用方法」の通り,出力制御時(制御後の発電出力)の指令値と現在の発電出力を比較し出力制御を行うことになります。

(4)解答:ワ
題意より解答候補は,(ル)スマートメータ,(ワ)パワーコンディショナ,(カ)\( \ \mathrm {HEMS} \ \)(ホームエネルギーマネジメントシステム),になると思います。
ワンポイント解説「1.分散型電源の出力制御の運用方法」の通り,出力制御はパワーコンディショナを介して行われます。

(5)解答:ヌ
題意より解答候補は,(ロ)単方向,(ニ)マルチホップ,(ヌ)双方向,になると思います。
ワンポイント解説「1.分散型電源の出力制御の運用方法」の通り,\( \ 66 \ \mathrm {kV} \ \)以上の電力系統に接続される太陽光発電には,双方向通信を用いて指令する方式が一般に用いられます。



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