《電力》〈送電〉[H27:問4] 同期発電機の励磁系と同期安定性に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,同期発電機の励磁系と同期安定性に関する記述である。文中の\(\fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

電力系統において事故が発生すると,同期発電機において\(\fbox {  (1)  }\)と電気出力のバランスが崩れ,同期発電機間の\(\fbox {  (2)  }\)が広がる。これがある範囲を逸脱する場合には,不安定な運転状態となり,同期運転が保てず脱調に至る。

系統の同期安定性を向上させることを目的に,同期発電機の励磁装置の速応性や\(\fbox {  (3)  }\)を高める対策を採用することがある。特に\(\fbox {  (4)  }\)励磁方式は,励磁系としての時定数が小さく,また励磁変圧器の\(\fbox {  (5)  }\)を大きくとることで,同期発電機間の\(\fbox {  (2)  }\)の過渡的な変動を抑制すると,短時間領域での安定性向上に効果的である。

しかし,これらの対策によって,第2波以降の中間領域の同期安定性や小じょう乱同期安定性を悪化させることがあるため,\(\mathrm {PSS}\)(電力系統安定化装置)が広く用いられている。

〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 回転数     &(ロ)& 二次電圧 \\[ 5pt ] &(ハ)& 出力偏差     &(ニ)& 共 振 \\[ 5pt ] &(ホ)& 直 流     &(ヘ)& 位相差 \\[ 5pt ] &(ト)& 電気入力     &(チ)& 抵 抗 \\[ 5pt ] &(リ)& 頂上電圧     &(ヌ)& 機械入力 \\[ 5pt ] &(ル)& 精 度     &(ヲ)& サイリスタ \\[ 5pt ] &(ワ)& 二次電流     &(カ)& ブラシレス \\[ 5pt ] &(ヨ)& 短絡比
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

過渡安定度に関する問題で,一種としては比較的真正面からの問題なので,易しい部類に入ると思います。再出題も予想されるので,本問の内容は理解しておくようにしましょう。

1.過渡安定度の定性的なメカニズム
図1において,事故前(a)点である
\[
P_{e}=\frac {EV}{x_{\mathrm {s}}}\sin \delta
\] で安定運転していた発電機が事故により,線路リアクタンスが大きく下がり,(b)点に移動し,相差角が(c)点まで広がり,(d)点となったところで復旧したとします。そこまでの加速エネルギーが図の赤塗で示した部分となります。その後,減速エネルギーが働き(e)点まで行ったところで,減速エネルギーが上回り,最終的に(f)点に落ち着きます。
安定性向上のためには,(b)→(c)間の距離を短くすること(速応性)や事故時の頂上電圧を高くする等の対策をすることが求められます。サイリスタ励磁方式を用いることで(b)→(c)間の距離を短くすることができ,制動抵抗方式(SDR)事故発生時に抵抗を挿入することで,頂上電圧を上げることができます。
サイリスタ励磁方式は第一波の過渡安定性には有効ですが,第二波以降では動揺が続き,発散するおそれもあるため,電力系統安定化装置(PSS)を採用します。

【解答】

(1)解答:ヌ
題意より,解答候補は(ト)電気入力,(ヌ)機械入力となると思いますが,タービン発電機は機械的入力から電気的出力を取り出し,それが事故によりアンバランスとなります。よって,機械入力が正しいです。

(2)解答:ヘ
題意より,解答候補は(イ)回転数,(ハ)出力偏差,(ヘ)位相差となると思います。ワンポイント解説の通り,事故が発生すると,同期発電機間の位相差が大きくなります。

(3)解答:リ
題意より,解答候補は(リ)頂上電圧,(ル)精度,(ヨ)短絡比等になると思いますが,ワンポイント解説の通り,安定性向上のためには,速応性や頂上電圧を高める対策が必要となります。

(4)解答:ヲ
題意より,解答候補は(ヲ)サイリスタ,(カ)ブラシレス等になると思います。ワンポイント解説の通り,過渡安定度の対策としてサイリスタ励磁方式が採用されます

(5)解答:ロ
題意より,解答候補は(ロ)二次電圧,(ワ)二次電流等になると思いますが,二次電圧を大きくとることで,位相差の過渡的な変動を抑制することができます。



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