《電力》〈火力〉[H30:問2] タービン発電機を進相運転及び不平衡負荷運転した場合の現象と対策に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,タービン発電機を進相運転及び不平衡負荷運転した場合の現象と対策に関する記述である。文中の\(\fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

深夜や軽負荷時に過剰となる無効電力をタービン発電機で吸収させ,系統電圧の上昇を防止するために進相運転を行うと,回転子と固定子間のギャップ磁束が\( \ \fbox {  (1)  } \ \)し,磁束が固定子端部に通りやすく\( \ \fbox {  (2)  } \ \)が増え過熱するため,回転子保持環を非磁性体にしたり,漏れ磁束に対する磁気抵抗を高める対策が施されている。

発電機に不平衡負荷が接続されていると,電機子電流に\( \ \fbox {  (3)  } \ \)が含まれ,正相電流による回転磁界と逆方向の回転磁界を生じ,回転子の界磁巻線に\( \ \fbox {  (4)  } \ \)周波数の高調波が発生する。また,この逆方向の回転磁界により接触抵抗の大きい箇所に局部過熱が生じるため,回転子に\( \ \fbox {  (5)  } \ \)を設けるなどの対策が行われている。

〔問2の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 渦電流     &(ロ)& 非整数倍     &(ハ)& 増加 \\[ 5pt ] &(ニ)& 共振     &(ホ)& 干渉     &(ヘ)& 偶数倍 \\[ 5pt ] &(ト)& 補償巻線     &(チ)& ループ電流     &(リ)& 逆相電流 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 端絡環     &(ル)& 無効電流     &(ヲ)& 奇数倍 \\[ 5pt ] &(ワ)& 減少     &(カ)& 零相電流     &(ヨ)& 制動巻線 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

タービン発電機の進相運転は,近年の電力系統における超高圧系統やケーブル系統の拡大や力率改善用コンデンサの普及に伴い,夜間の系統電圧が上昇してしまうために導入されている運転です。タービン発電機の重要項目の一つとなりますので,二次試験を踏まえても詳細な部分まで理解するようにして下さい。

1.タービン発電機進相運転時の留意点
①固定子鉄心端部の過熱
 固定子鉄心端部には電機子反作用による漏れ磁束が存在しますが,進相運転により界磁電流が減少し界磁磁束が減少すると漏れ磁束が通りやすくなり渦電流が増え,渦電流損やヒステリシス損が発生し温度上昇させます。

②定態安定度の低下
 進相運転により界磁電流を減少すると,発電機内部起電力の減少,内部相差角の増大により,同期化力が低下し定態安定度が低下します。

③所内電圧の低下
 発電機端子電圧の低下により,所内機器の電圧が低下します。電圧低下により大型電動機のトルク不足が発生する可能性があります。

2.タービン発電機に不平衡負荷が接続された場合の影響
タービン発電機に不平衡負荷が接続されると逆相電流が流れ,正相成分と速度は同じですが,向きが反対の電流となります。よって,回転子から見ると約2倍の周波数で導体を切ることになり,2倍周波数の高調波が発生します。この高調波電流により,以下のような影響があります。
 ①発電機軸にねじり応力
 ②固定子巻線に大きな電磁力
 ③固定子各部の振動
 ④タービン翼の振動 等

【解答】

(1)解答:ワ
題意より,解答候補は(ハ)増加,(ワ)減少になると思います。進相運転にすると,界磁電流が減少し界磁磁束(ギャップ磁束)が減少します。そのため漏れ磁束が通りやすくなります。

(2)解答:イ
題意より,解答候補は(イ)渦電流,(チ)ループ電流,(リ)逆相電流,(ル)無効電流,(カ)零相電流になると思います。固定子端部の過熱に影響があるのは渦電流です。

(3)解答:リ
題意より,解答候補は(リ)逆相電流,(ル)無効電流,(カ)零相電流になると思います。固定子端部の過熱に影響があるのは渦電流です。

(4)解答:ヘ
題意より,解答候補は(ロ)非整数倍,(ヘ)偶数倍,(ヲ)奇数倍になると思います。ワンポイント解説「2.タービン発電機に不平衡負荷が接続された場合の影響」の通り,逆相電流が流れると2倍周波数の高調波が発生します。

(5)解答:ヨ
題意より,解答候補は(ト)補償巻線,(ヌ)端絡環,(ヨ)制動巻線になると思います。局部過熱対策のために回転子に設けるのは制動巻線です。補償巻線は電機子反作用対策の巻線で,端絡環(短絡環?)はかご形誘導電動機を構成するものです。



記事下のシェアタイトル