《電力・管理》〈水力〉[H19:問1]水車及び発電機のオイルレス化に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

水力発電所では,操作油や潤滑油のオイルレス化が図られている。オイルレス化を図る目的を二つ挙げよ。また,水車及び発電機のどのような部位にどのようなオイルレス化が図られているかについて,水車又は発電機の部位を三つ挙げ,オイルレス化対策を各々一つずつ述べよ。

【ワンポイント解説】

水力発電所のオイルレス化に関する問題です。
水力発電所の運転状態をイメージすればオイルレス化の理由は十分に想定できるかと思います。それ以外の内容は専門の方以外は厳しいかもしれませんが,どのような場所に潤滑油が使用されるかを考えて解いていくようにして下さい。

1.水車発電機のオイルレス化
水車発電機のオイルレス化は,環境負荷低減とメンテナンス軽減等のために以下の場所で利用されています。

①軸受(ベアリング)
 水潤滑軸受をカプラン水車等で採用します。軸受に水を使用するため注油が不要となります。

②ガイドベーンのサーボモータ
 電動サーボモータとボールねじで駆動することで,圧油装置を不要にし,保守の省力化と省スペース化が図れます。

③ガイドベーン摺動部
 ガイドベーンの摺動部に固体潤滑剤入り軸受を使用することで,グリスの流出防止と保守の省力化が図れます。

④可動翼の根元部分にあるランナボス
 カプラン水車等で可動翼のランナボス内に封入している潤滑油を水封入(水ボス)にし,保守の省力化と省スペース化が図れます。

⑤ブレーキ
 油圧式のブレーキを電磁式ブレーキにします。圧油装置が不要となり,保守の省力化と省スペース化が図れます。

【解答】

(ポイント)
・ワンポイント解説「1.水車発電機のオイルレス化」の通りです。
・操作油や潤滑油は流出した場合の環境負荷が大きく,経年劣化もあるためメンテナンスも必要です。また,引火性の液体であるという特性もあります。

(試験センター解答例)
(目的)
1.環境対策(河川への油流出防止)
2.メンテナンスの省力化(メンテナンスフリー化)
3.ランニングコストの低減
4.給油装置の不要
5.設計時間の短縮

(水車又は発電機の部位と対策)
  〔部位〕             〔オイルレス化対策〕
1.ブレーキ              電磁式ブレーキ
2.ガイドベーン操作          モータ駆動(電動サーボモータ)
3.カプラン水車軸受          水潤滑
4.可動翼水車ランナーボス       清水封入(水ボス)
5.ガイドベーン摺動部         オイルレスメタル



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