《機械》〈同期機〉[R08:問3]永久磁石同期モータとリラクタンスモータに関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,同期モータに関する記述である。文中の\( \ \fbox {$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

電気・機械エネルギー変換装置である同期モータを理解するためには,「マグネットトルク」と「リラクタンストルク」を知る必要がある。

マグネットトルクは,モータの固定子電流が作る回転磁界と磁石の磁束の相互作用によって生じる\( \ \fbox {  (1)  } \ \)に基づくトルクである。特に\( \ \fbox {  (2)  } \ \)を用いた永久磁石同期モータは,大きな磁束を得ることができ,電流当たりのトルクが大きいため,他のモータに比べて同じ定格出力・回転数でも小型化できる。

リラクタンストルクは,回転子の構造に起因して発生するトルクである。突極性をもつ回転子では,固定子に対する回転子位置によって,固定子から見た\( \ \fbox {  (3)  } \ \)が変化する。このとき,磁束の通りやすい方向に回転子を回転させる力が働き,これがリラクタンストルクとなる。リラクタンストルクのみを使うモータの代表例が\( \ \fbox {  (4)  } \ \)である。このモータは\( \ \fbox {  (2)  } \ \)を使用せず,回転子に巻線をもたない構造であるため回転子で生じる損失を小さくできるので,モータの高効率化が期待できる。

これら二つのトルク発生原理を組み合わせたモータも実用化されている。例えば,回転子内部に永久磁石を埋め込むことにより,回転子に突極性をもたせた\( \ \fbox {  (5)  } \ \)では,低速域では磁石によるマグネットトルクを利用し,高速域ではリラクタンストルクを活用する。このように,動作条件に応じて二つのトルクを最適に利用することによってトルク密度と効率の両方を高めることができる。その結果,小型で高出力かつ高効率で広い速度制御範囲をもつモータを実現している。

〔問3の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& コンダクタンス     &(ロ)& 巻線界磁同期モータ     &(ハ)& 表面磁石同期モータ \\[ 5pt ] &(ニ)& 高透磁率鉄心     &(ホ)& 電磁力     &(ヘ)& 電磁鋼板 \\[ 5pt ] &(ト)& かご形誘導モータ        &(チ)& 同期リラクタンスモータ        &(リ)& 埋込磁石同期モータ \\[ 5pt ] &(ヌ)& インダクタンス     &(ル)& ブラシレス \ \mathrm {DC} \ モータ     &(ヲ)& 固定子電流 \\[ 5pt ] &(ワ)& クーロン力      &(カ)& 希土類磁石     &(ヨ)& 誘導起電力 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

永久磁石同期モータとリラクタンスモータに関する問題です。
それぞれ個別に出題されることはありましたが,同時に出題されるパターンは珍しいかなと思います。
過去問をしっかりと取り組んで,選択肢をきちんと絞れば完答も目指せる問題となります。

1.永久磁石同期電動機
回転子に,一般に使用される電磁石ではなく,永久磁石を用いたものを永久磁石同期電動機といい,主に小形の家庭用機器,\( \ \mathrm {OA} \ \)機器,電気自動車等のモータで使用され,以下のような特徴があります。
・励磁装置が不要であるため,構造が簡単
・回転子に発生する二次銅損がないため,高効率
・整流子,スリップリング,ブラシといった設備が不要であるため,保守が容易
・同期速度で回転するため,速度制御の精度が高い
・電磁石のように起磁力を強くすることができず,界磁の調整もできない
・表面磁石形永久磁石同期電動機の場合,高速回転すると磁石が割れたり,剥がれたりする可能性がある
・強力な磁力を持つ永久磁石に使われる希土類磁石材料(レアアース)の調達に課題がある

2.永久磁石同期電動機の回転子の構造による分類
①表面磁石形\( \ \left( \mathrm {SPM} \right) \ \)
図1のように回転子の表面に永久磁石を張り付けた構造の回転子です。
磁石の磁束を有効活用できるため高トルクで,固定子電流から永久磁石までの距離が等しいため,一定のトルクが得られやすい特徴がありますが,高速回転すると磁石の剥がれや飛散の可能性があるので,高速回転には不向きとなります。

②埋込磁石形\( \ \left( \mathrm {IPM} \right) \ \)
図2のように永久磁石を埋め込んだ構造の回転子です。
永久磁石の固定が容易であり,高速回転も可能です。磁束の有効活用の面では表面磁石形に劣り場所により固定子から永久磁石までの等価ギャップが変わります。また,永久磁石のない方向では透磁率が非常に大きくなり磁気抵抗が小さくなるので,全体としてトルクリプルが発生します。ただし,これにより磁石によるトルクに加え界磁による磁気抵抗の非対称性によるトルク(リラクタンストルク)も利用することができます。

3.リラクタンスモータ
回転子に永久磁石を用いずに突極形の強磁性体を用いる,界磁による磁気抵抗の非対称性によるトルク(リラクタンストルク)により回転するモータです。シンクロナスリラクタンスモータ\( \ \left( \mathrm {SynRM} \right) \ \)とスイッチトリラクタンスモータ\( \ \left( \mathrm {SRM} \right) \ \)に分けられます。永久磁石を用いないので,安価で高出力のモータが得られる特徴があります。

①シンクロナスリラクタンスモータ\( \ \left( \mathrm {SynRM} \right) \ \)
図3に示すような固定子の電機子巻線を複数のスロットに巻き付ける分布巻の固定子に三相交流を流し回転磁界を発生させ,突極形の回転子の磁気抵抗が最小となるように回転する原理を利用して回転させます。図3の例で言えば,鉄心部の方が空隙部よりも磁気抵抗が小さいため,固定子から出た磁束と突出部が引き寄せられるようなトルクが働きます。
このような原理から回転子は回転磁界に同期して回転するため,シンクロナス(同期式)リラクタンスモータと呼ばれます。
一般に\( \ \mathrm {d} \ \)軸方向の\( \ \mathrm {q} \ \)軸方向に対するインダクタンスの比を突極比といい,突極比が大きい回転子の方が引き寄せるトルクが大きくなり,トルク対電流の比,力率及び効率が向上することが分かっています。

②スイッチトリラクタンスモータ
図4に示すような,固定子回転子ともに突極構造で,極数の異なるものを組み合わせて使用されるモータです。図2は固定子\( \ 6 \ \)極,回転子\( \ 4 \ \)極の構造です。固定子は電機子巻線を一つのスロットに集中して巻き付ける集中巻で,励磁し磁界を発生させ,突極形の回転子の磁気抵抗が最小となるように回転し,突出部が引き寄せられる直前に励磁する相を変え回転を維持させます。

【解答】

(1)解答:ホ
題意より解答候補は,(ホ)電磁力,(ワ)クーロン力,(ヨ)誘導起電力,等になると思います。
ワンポイント解説「1.永久磁石同期電動機」及び「2.永久磁石同期電動機の回転子の構造による分類」の通り,マグネットトルクは,モータの固定子電流が作る回転磁界と磁石の磁束の相互作用によって生じる電磁力に基づくトルクとなります。

(2)解答:カ
題意より解答候補は,(ニ)高透磁率鉄心,(ヘ)電磁鋼板,(カ)希土類磁石,になると思います。
ワンポイント解説「1.永久磁石同期電動機」及び「2.永久磁石同期電動機の回転子の構造による分類」の通り,永久磁石同期モータは希土類磁石を用いたモータとなります。

(3)解答:ヌ
題意より解答候補は,(イ)コンダクタンス,(ヌ)インダクタンス,等になると思います。
ワンポイント解説「3.リラクタンスモータ」の通り,突極性をもつ回転子では,固定子に対する回転子位置によって,固定子から見た磁気抵抗すなわちインダクタンスが変化します。理論科目の電磁気で学習しますが,一般にインダクタンスと磁気抵抗は反比例の関係があります\( \ \left( \displaystyle L=\frac {N^{2}}{R_{\mathrm {m}}} \right) \ \)。

(4)解答:チ
題意より解答候補は,(ロ)巻線界磁同期モータ,(ハ)表面磁石同期モータ,(ト)かご形誘導モータ,(チ)同期リラクタンスモータ,(リ)埋込磁石同期モータ,(ル)ブラシレス\( \ \mathrm {DC} \ \)モータ,になると思います。
ワンポイント解説「3.リラクタンスモータ」の通り,リラクタンストルクのみを使うモータの代表例は同期リラクタンスモータとなります。

(5)解答:リ
題意より解答候補は,(ロ)巻線界磁同期モータ,(ハ)表面磁石同期モータ,(ト)かご形誘導モータ,(チ)同期リラクタンスモータ,(リ)埋込磁石同期モータ,(ル)ブラシレス\( \ \mathrm {DC} \ \)モータ,になると思います。
ワンポイント解説「2.永久磁石同期電動機の回転子の構造による分類」の通り,回転子内部に永久磁石を埋め込むことにより,回転子に突極性をもたせたモータは埋込磁石同期モータとなります。



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