《電力》〈変電〉[R08:問2]交流遮断器の故障遮断と遮断責務に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,交流遮断器の故障遮断と遮断責務に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

電力系統に故障が発生すると,保護リレーからの指令により該当する遮断器を開放し,故障点を切り離す。

遮断器が故障電流を遮断する場合,\( \ \fbox {  (1)  } \ \)エネルギーが極小となる\( \ \fbox {  (2)  } \ \)で遮断が行われる。

遮断する電流や遮断後に遮断器の極間にかかる電圧は,電力系統や故障点によって異なるため,これらを踏まえた遮断性能を有する必要がある。特に厳しい遮断責務が要求されるのは,以下のケースである。

・遮断器の設置箇所近傍で故障が発生した場合の遮断で,大きな故障電流を遮断した際に過渡的な高い電圧が発生する\( \ \fbox {  (3)  } \ \)遮断
・遮断器から数キロメートル離れた架空送電線で故障が発生した場合の遮断で,遮断器と故障点の間の進行波の往復反射により高い急峻な電圧が発生する\( \ \fbox {  (4)  } \ \)遮断
・無負荷充電送電線,ケーブル線路,コンデンサバンクなどの容量性負荷が接続されている回路を遮断する場合,再点弧を生じると異常電圧が発生する\( \ \fbox {  (5)  } \ \)遮断

〔問2の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 異相地絡故障     &(ロ)& 過渡回復点       &(ハ)& 電流零点 \\[ 5pt ] &(ニ)& ループ電流     &(ホ)& 電圧零点     &(ヘ)& 遠距離線路故障 \\[ 5pt ] &(ト)& インパルス     &(チ)& アーク     &(リ)& 進み小電流 \\[ 5pt ] &(ヌ)& コロナ     &(ル)& 誘導電流     &(ヲ)& 端子短絡故障 \\[ 5pt ] &(ワ)& 近距離線路故障       &(カ)& 遅れ小電流     &(ヨ)& 励磁電流 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

交流遮断器の故障遮断と遮断責務に関する問題です。
二次試験の論述問題で出題されると厳しい問題ですが,本問においては文脈や語群からある程度正答が類推できるので,正答率は高かったと予想されます。
二次試験でも各遮断責務に関する内容が出題されたことがありますので,文章として説明できるよう準備しておいて下さい。

1.交流遮断器の消弧原理
交流遮断器は,開極動作時に電極間にアークが発生しますが,このアークを消弧することが交流遮断器の大きな役割となります。
交流電流が半周期ごとに自然にゼロとなる電流零点ではアークに注入されるエネルギーが最小となるため,このタイミングで消弧媒体(\( \ \mathrm {SF_{6}} \ \)ガスや真空等)によってアークを吹き消しもしくは拡散し,極間の絶縁耐力を回復させて電流を遮断します。
図1に示すように,通常運転時の最も過酷な条件は電圧と電流の位相が\( \ 90^{\circ } \ \)ずれた状態での遮断であり,このときには,半周期後に電極間に電圧波高値の\( \ 2 \ \)倍の電圧が加わることになります。

2.遮断器に求められる遮断性能
遮断器には通常状態の電路の開閉に加え,系統に発生した事故による異常状態の電路を開閉する責務があり,以下示すような遮断条件等を考慮し設計されます。

①端子短絡故障遮断\( \ \left( \mathrm {BTF:Breaker \ Terminal \ Fault}\right) \ \)
 遮断器の端子もしくはその近傍で短絡及び地絡事故が発生した場合の遮断を言い,多くの電源から流れ出た電流が集まる点での遮断となるため,故障電流が大きいという特徴があります。電流値が零点で遮断した後,遮断器の極間に発生する電圧を過渡回復電圧と言い,これにより位相\( \ 90^{\circ } \ \)以内に極間にアークが発生してしまう(再発弧)と遮断失敗となります。


出典:電気工学ハンドブック(第7版) 一般社団法人電気学会 オーム社 P.881

②近距離線路故障遮断\( \ \left( \mathrm {SLF:Short \ Line \ Fault}\right) \ \)
 遮断器から数\( \ \mathrm {km} \ \)線路上での短絡が発生した場合の遮断であり,短絡電流は端子短絡遮断故障よりも小さいですが,遮断器と故障点の間の進行波の往復反射により高い電圧が発生するため極間の電圧が大きくなります。


出典:電気工学ハンドブック(第7版) 一般社団法人電気学会 オーム社 P.882

③進み小電流遮断
 無負荷の送電線,もしくは系統が容量性の負荷を持っている場合の遮断です。系統遮断後電源側の電圧が\( \ 1/4 \ \)サイクル後逆の極性に変化することにより,極間の電圧が大きくなります。


出典:電気工学ハンドブック(第7版) 一般社団法人電気学会 オーム社 P.882

④遅れ小電流遮断
 誘導性負荷が接続されている状態で電路が遮断する時の遮断です。電流裁断により,電流が零になる前に遮断した際,その電流変化により,リアクトル負荷のエネルギーが放出され,遮断器の極間の電圧が大きくなります。

⑤脱調遮断
 故障点を挟み両系統が同期していない状態(脱調状態)の時の遮断です。両系統の電圧が\( \ 180^{\circ } \ \)の位相差を生じた状態が遮断器の極間の電圧が最も大きい状態となります。

【解答】

(1)解答:チ
題意より解答候補は,(ト)インパルス,(チ)アーク,(ヌ)コロナ,になると思います。
ワンポイント解説「1.交流遮断器の消弧原理」の通り,遮断器が故障電流を遮断する場合にはアークエネルギーが発生します。

(2)解答:ハ
題意より解答候補は,(ロ)過渡回復点,(ハ)電流零点,(ホ)電圧零点,になると思います。
ワンポイント解説「1.交流遮断器の消弧原理」の通り,遮断器ではアークエネルギーが極小となる電流零点で遮断が行われます。

(3)解答:ヲ
題意より解答候補は,(イ)異相地絡故障,(ニ)ループ電流,(ヘ)遠距離線路故障,(リ)進み小電流,(ル)誘導電流,(ヲ)端子短絡故障,(ワ)近距離線路故障,(カ)遅れ小電流,(ヨ)励磁電流,になると思います。
ワンポイント解説「2.遮断器に求められる遮断性能」の通り,遮断器の設置箇所近傍で故障が発生した場合の遮断で,大きな故障電流を遮断した際に過渡的な高い電圧が発生する遮断を端子短絡故障遮断といいます。

(4)解答:ワ
題意より解答候補は,(イ)異相地絡故障,(ニ)ループ電流,(ヘ)遠距離線路故障,(リ)進み小電流,(ル)誘導電流,(ヲ)端子短絡故障,(ワ)近距離線路故障,(カ)遅れ小電流,(ヨ)励磁電流,になると思います。
ワンポイント解説「2.遮断器に求められる遮断性能」の通り,遮断器から数キロメートル離れた架空送電線で故障が発生した場合の遮断で,遮断器と故障点の間の進行波の往復反射により高い急峻な電圧が発生する遮断を近距離線路故障遮断といいます。

(5)解答:リ
題意より解答候補は,(イ)異相地絡故障,(ニ)ループ電流,(ヘ)遠距離線路故障,(リ)進み小電流,(ル)誘導電流,(ヲ)端子短絡故障,(ワ)近距離線路故障,(カ)遅れ小電流,(ヨ)励磁電流,になると思います。
ワンポイント解説「2.遮断器に求められる遮断性能」の通り,無負荷充電送電線,ケーブル線路,コンデンサバンクなどの容量性負荷が接続されている回路を遮断する場合,再点弧を生じると異常電圧が発生する遮断を進み小電流遮断といいます。



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