【問題】
【難易度】★☆☆☆☆(易しい)
次の文章は,パワーデバイスに関する記述である。文中の\( \ \fbox {$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
電力変換回路は,パワーデバイスをスイッチとして用い,そのオンオフ動作により,直流電源又は交流電源を入力として,要求される形態の出力に変換する回路である。電力変換回路に用いられるパワーデバイスは,非可制御スイッチ,オン可制御スイッチ,オンオフ可制御スイッチの\( \ 3 \ \)種類に大別される。
非可制御スイッチの代表例は\( \ \fbox { (1) } \ \)で,印加電圧や電流の状態に応じて導通・非導通が決定される。オン可制御スイッチの代表例は\( \ \fbox { (2) } \ \)で,順方向に電圧が印加されている際,ゲート電流によりターンオン可能だが,ゲート電流を遮断しただけではターンオフできない。オンオフ可制御スイッチには,\( \ \mathrm {IGBT} \ \)や\( \ \mathrm {MOSFET} \ \)があり,外部信号によって,オンオフの切り替えが可能である。
このうち,\( \ \mathrm {MOSFET} \ \)は,ゲート,\( \ \fbox { (3) } \ \),\( \ \fbox { (4) } \ \)の\( \ 3 \ \)端子を有し,\( \ \fbox { (4) } \ \)を基準としたゲート電圧によりオンオフ制御が可能である。図は\( \ \mathrm {n} \ \)形\( \ \mathrm {MOSFET} \ \)の静特性を示しており,横軸に\( \ \fbox { (3) } \ – \ \fbox { (4) } \ \)間電圧,縦軸に\( \ \fbox { (3) } \ \)電流を取っている。図中の線\( \ \mathrm {a} \ \)は\( \ \fbox { (5) } \ \)状態,線\( \ \mathrm {b} \ \)は\( \ \fbox { (6) } \ \)状態の特性を示しており,ゲート電圧により両者を切り替えることができる。\( \ \fbox { (5) } \ \)状態のゲート電圧を\( \ V_{\mathrm {a}} \ \),\( \ \fbox { (6) } \ \)状態のゲート電圧を\( \ V_{\mathrm {b}} \ \)とすると,\( \ \fbox { (7) } \ \)である。
スイッチが\( \ \fbox { (5) } \ \)状態となったときの\( \ \fbox { (3) } \ \)電流を\( \ I \ \)とすると,線\( \ \mathrm {a} \ \)との交点から読み取れる電圧\( \ V_{\mathrm {c}} \ \)が,\( \ \fbox { (5) } \ \)状態での電圧降下を示しており,この値が小さいほど\( \ \fbox { (5) } \ \)状態における損失は小さくなる。また,一般的には\( \ \fbox { (6) } \ \)状態における損失は,無視することが多い。
パワーデバイスの損失には,これらの損失に加え,オンオフ切り替え時に発生する損失があり,\( \ 1 \ \)秒当たりのこの損失は\( \ \fbox { (8) } \ \)周波数が高くなるほど増加する傾向があるため,損失,応答性,波形品質などを総合的に評価し,適切な\( \ \fbox { (8) } \ \)周波数を選定することが重要である。
〔問5の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& オフ &(ロ)& ダイオード &(ハ)& サイリスタ \\[ 5pt ]
&(ニ)& 共振 &(ホ)& V_{\mathrm {a}} \gt V_{\mathrm {b}} &(ヘ)& ドレイン \\[ 5pt ]
&(ト)& オン &(チ)& V_{\mathrm {a}} = V_{\mathrm {b}} &(リ)& スイッチング \\[ 5pt ]
&(ヌ)& V_{\mathrm {a}} \lt V_{\mathrm {b}} &(ル)& エミッタ &(ヲ)& \mathrm {GTO} \\[ 5pt ]
&(ワ)& ソース &(カ)& コレクタ &(ヨ)& ベース \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
パワー半導体デバイスの種類と特徴に関する問題です。
半導体デバイスの動作原理や概要は理論科目のテキストに記載がある内容かと思いますので,忘れてしまった方は理論科目のテキストを参照するようにして下さい。
問われている内容は\( \ 3 \ \)種で学習する内容ばかりですので,できれば完答を目指したい問題です。
1.各パワー半導体デバイスの概要
各図は半導体デバイスの概要図(左)と回路図上の記号(右)です。
①ダイオード
ダイオードは,\( \ \mathrm {n} \ \)形半導体と\( \ \mathrm {p} \ \)形半導体を\( \ \mathrm {pn} \ \)接合したデバイスで図1の順方向\( \ \left( \mathrm {p→n}\right) \ \)には電流が流れますが,逆方向\( \ \left( \mathrm {n→p}\right) \ \)には電流が流れません。
②バイポーラトランジスタ
\( \ \mathrm {n} \ \)形半導体と\( \ \mathrm {p} \ \)形半導体を\( \ \mathrm {npn} \ \)接合もしくは\( \ \mathrm {pnp} \ \)接合したデバイスで\( \ \mathrm {B} \ \)(ベース),\( \ \mathrm {E} \ \)(エミッタ),\( \ \mathrm {C} \ \)(コレクタ)端子があります。\( \ \mathrm {B} \ \)端子に電流が流れているとオンとなり,\( \ \mathrm {C→E} \ \)に電流が流れます。\( \ \mathrm {B} \ \)端子の電流をなくすとオフとなり,\( \ \mathrm {C→E} \ \)に電流が流れません。
③サイリスタ
\( \ \mathrm {n} \ \)形半導体と\( \ \mathrm {p} \ \)形半導体を\( \ \mathrm {pnpn} \ \)接合したデバイスで\( \ \mathrm {A} \ \)(アノード),\( \ \mathrm {K} \ \)(カソード),\( \ \mathrm {G} \ \)(ゲート)端子があります。\( \ \mathrm {A-K} \ \)間に電圧をかけ\( \ \mathrm {G} \ \)に信号を与えるとオンになり,その後\( \ \mathrm {G} \ \)電流をなくしてもオン状態のままとなります。オフにするためには,順方向の電流をさらに下げる(保持電流と言います)か\( \ \mathrm {A-K} \ \)間に逆方向電圧を加えるかをする必要があります。
④パワー\( \ \mathrm {MOSFET} \ \)
図4のように\( \ \mathrm {n} \ \)形半導体と\( \ \mathrm {p} \ \)形半導体を接合したデバイスで,\( \ \mathrm {S} \ \)(ソース),\( \ \mathrm {D} \ \)(ドレイン),\( \ \mathrm {G} \ \)(ゲート)端子があります。\( \ \mathrm {G} \ \)に電圧をかけオンオフするため,バイポーラトランジスタと似ていますが,スイッチング速度は速い反面,高電圧で発熱するため,大容量に向かないという特性があります。
⑤\( \ \mathrm {IGBT} \ \)
バイポーラトランジスタと\( \ \mathrm {MOSFET} \ \)を組み合わせたようなデバイスで,\( \ \mathrm {MOSFET} \ \)の速度と大容量化を同時にできる良いとこどりのデバイスです。ただし,速度は\( \ \mathrm {MOSFET} \ \)の方が高速のため,小容量では\( \ \mathrm {MOSFET} \ \)を使用します。
2.スイッチングデバイスの損失
パワーエレクトロニクスのスイッチングデバイスにはパワートランジスタ,サイリスタ,パワー\( \ \mathrm {MOSFET} \ \),\( \ \mathrm {IGBT} \ \)等があり,これにより電力を交直変換をしたり,電圧や周波数を制御したりすることが可能です。理想的にはデバイスでの損失はゼロですが,実際には以下の損失が発生します。
①オン損失
スイッチがオンの時の損失です。
理想的なデバイスにおいてはスイッチがオンの時のデバイスに加わる電圧はゼロですが,実際には図6に示すようにわずかに電圧が加わり,オン損失が発生します。このオン電圧が大きいデバイスほどオン損失は大きくなります。
②オフ損失
スイッチがオフの時の損失です。
理想的なデバイスにおいてはスイッチがオフの時のデバイスに流れる電流はゼロですが,実際には図6に示すようにわずかに漏れ電流が流れ,オフ損失が発生します。漏れ電流が大きいほどオフ損失は大きくなりますが,一般にオフ損失の方がオン損失よりも小さいです。
③スイッチング損失
スイッチのオンとオフが切り換わる時に発生する損失です。
理想的なデバイスでは,オンとオフの切り換えは瞬時に行われますが,実際には重なり角と呼ばれる電圧が加わっている状態で電流も流れているような状態が発生します。
電力が電圧と電流と時間の積であることから,スイッチングの切換え時間が長い程,スイッチング回数が多い程スイッチング損失は大きくなります。
スイッチング損失を低減する方法には電圧と電流の切り換えを同時に行わないソフトスイッチング等の方法があります。
【解答】
(1)解答:ロ
題意より解答候補は,(ロ)ダイオード,(ハ)サイリスタ,(ヲ)\( \ \mathrm {GTO} \ \),になると思います。
ワンポイント解説「1.各パワー半導体デバイスの概要」の通り,非可制御スイッチの代表例はダイオードとなります。\( \ \mathrm {GTO} \ \)はゲートターンオフサイリスタでオンのみでなくオフも制御可能なサイリスタとなります。
(2)解答:ハ
題意より解答候補は,(ロ)ダイオード,(ハ)サイリスタ,(ヲ)\( \ \mathrm {GTO} \ \),になると思います。
ワンポイント解説「1.各パワー半導体デバイスの概要」の通り,オン可制御スイッチの代表例はサイリスタとなります。
(3)解答:ヘ
題意より解答候補は,(ヘ)ドレイン,(ル)エミッタ,(ワ)ソース,(カ)コレクタ,(ヨ)ベース,になると思います。
ワンポイント解説「1.各パワー半導体デバイスの概要」の通り,\( \ \mathrm {MOSFET} \ \)は,ゲート,ドレイン,ソースの\( \ 3 \ \)端子を有し,オン状態のときにドレイン電流が流れます。
(4)解答:ワ
題意より解答候補は,(ヘ)ドレイン,(ル)エミッタ,(ワ)ソース,(カ)コレクタ,(ヨ)ベース,になると思います。
ワンポイント解説「1.各パワー半導体デバイスの概要」の通り,\( \ \mathrm {MOSFET} \ \)は,ゲート,ドレイン,ソースの\( \ 3 \ \)端子を有し,ソースを基準としたゲート電圧によりオンオフ制御が可能です。
(5)解答:ト
題意より解答候補は,(イ)オフ,(ト)オン,になると思います。
ワンポイント解説「1.各パワー半導体デバイスの概要」の通り,線\( \ \mathrm {a} \ \)はドレインーソース間電圧に比例してドレイン電流が増加しているので,導通状態すなわちオン状態であることがわかります。
(6)解答:イ
題意より解答候補は,(イ)オフ,(ト)オン,になると思います。
ワンポイント解説「1.各パワー半導体デバイスの概要」の通り,線\( \ \mathrm {b} \ \)はドレインーソース間電圧を加えてもドレイン電流が増加しないので,非導通状態すなわちオフ状態であることがわかります。
(7)解答:ホ
題意より解答候補は,(ホ)\( \ V_{\mathrm {a}} \gt V_{\mathrm {b}} \ \),(チ)\( \ V_{\mathrm {a}} = V_{\mathrm {b}} \ \),(ヌ)\( \ V_{\mathrm {a}} \lt V_{\mathrm {b}} \ \),になると思います。
スイッチがオフ状態におけるゲート電圧\( \ V_{\mathrm {GS}} \ \)は零であり,スイッチがオン状態におけるゲート電圧\( \ V_{\mathrm {GS}} \ \)は図7に示すように正であるため,オン状態のゲート電圧を\( \ V_{\mathrm {a}} \ \),オフ状態のゲート電圧を\( \ V_{\mathrm {b}} \ \)とすると,\( \ V_{\mathrm {a}} \gt V_{\mathrm {b}} \ \)となります。
(8)解答:リ
題意より解答候補は,(ニ)共振,(リ)スイッチング,になると思います。
ワンポイント解説「2.スイッチングデバイスの損失」の通り,オンオフ切り替え時に発生する損失をスイッチング損失といい,\( \ 1 \ \)秒当たりのスイッチング損失はスイッチング周波数が高くなるほど増加する傾向があります。














愛知県出身 愛称たけちゃん