《電力》〈水力〉[H21:問1]水車の種類の違いによる回転速度上昇時の特性の違いに関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,水車に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切な語句を解答群の中から選び,その記号をマークシートに記入しなさい。

ある落差,あるガイドベーン開度において水車を\( \ \fbox {  (1)  } \ \)運転させたとき,水車の回転速度は無制限には上昇せず一定の速度に落ち着くが,その起こりえる最大のものを最大\( \ \fbox {  (2)  } \ \)速度という。

水車の\( \ \fbox {  (2)  } \ \)速度は,ペルトン水車やフランシス水車では一般に\( \ \fbox {  (3)  } \ \)時に最大となり,カプラン水車ではガイドベーンとランナベーンが\( \ \fbox {  (4)  } \ \)状態でランナベーン角度が約\( \ 10 \ \)度付近になったとき最大となる。

また,フランシス水車においては,ポンプ水車は一般にランナ径が水車専用機より大きく,回転速度が高くなると円板摩擦損失などが急増する。このため,ポンプ水車の\( \ \fbox {  (2)  } \ \)速度は水車専用機より\( \ \fbox {  (5)  } \ \)なる。

〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 収 束     &(ロ)& 無拘束     &(ハ)& 高 く \\[ 5pt ] &(ニ)& 制 限     &(ホ)& オフカム     &(ヘ)& 無負荷 \\[ 5pt ] &(ト)& 調 相     &(チ)& 同 期     &(リ)& 低 く \\[ 5pt ] &(ヌ)& 最高落差       &(ル)& 有効落差       &(ヲ)& 最低落差 \\[ 5pt ] &(ワ)& 運 転     &(カ)& オンカム      &(ヨ)& 円滑に \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

水車の回転速度上昇時の特性を問う問題です。
もちろん無拘束速度という用語は知っておかなければなりませんが,(5)の空欄等は知識がなくても十分に問題文から読み解ける内容となりますので,こういう空欄を確実に得点できるようにしましょう。

1.水車発電機設計時に検討を要する回転速度
水車発電機を設計する際に重要となる回転速度は以下の回転速度があります。

①定格速度
水車設計において,水車発電機が安定して運転できる最大出力(定格出力)で運転するときの回転速度となります。

②臨界速度
危険速度またはクリティカルスピードともいい,水車の回転速度が水車の固有振動数と共振することで,振動が異常上昇する速度をいいます。一般に定格回転速度や無拘束速度と一致しないように設計する必要があります。

③最大無拘束速度
負荷遮断され無負荷となった時に到達する最大回転速度をいい,水車はこの遠心力に耐える設計にしなければなりません。水車の種類により回転速度は異なりますが,一般に定格回転速度の\( \ 1.5~3.0 \ \)倍程度まで上昇します。

【解答】

(1)解答:ヘ
題意より解答候補は,(ヘ)無負荷,(ト)調相,(チ)同期,等になると思います。
ワンポイント解説「1.水車発電機設計時に検討を要する回転速度」の通り,水車の起こりえる最大の回転速度は無負荷運転時の回転速度となります。

(2)解答:ロ
題意より解答候補は,(イ)収束,(ロ)無拘束,(ニ)制限,(チ)同期,等になると思います。
ワンポイント解説「1.水車発電機設計時に検討を要する回転速度」の通り,水車の回転速度の起こりえる最大のものを最大無拘束速度といいます。

(3)解答:ヌ
題意より解答候補は,(ヌ)最高落差,(ル)有効落差,(ヲ)最低落差,等になると思います。
水車の無拘束速度は,ペルトン水車やフランシス水車では最高落差時に最大となります。

(4)解答:ホ
題意より解答候補は,(ホ)オフカム,(カ)オンカム,(ワ)運転,等になると思います。
可動羽根を持つカプラン水車では,ガイドベールとランナベーンの角度を制御していないオフカム状態でランナベーン角度が\( \ 10 \ \)度付近となったときに最大となります。

(5)解答:リ
題意より解答候補は,(ハ)高く,(リ)低く,(ヨ)円滑に,等になると思います。
問題文に記載の通り,ポンプ水車は一般にランナ径が水車専用機より大きく,回転速度が高くなると円板摩擦損失などが急増するため,無拘束速度は水車専用機より低くなります。



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