《電力・管理》〈電気施設管理〉[H22:問5]電力系統の負荷周波数制御方式に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

次の文章は,電力系統の負荷周波数制御方式に関する記述である。文中の\( \ \mathrm {A} \ \)から\( \ \mathrm {F} \ \)の記号を付した空欄に記入すべき適切な語句又は文を答案用紙に記入しなさい。

a.定周波数制御\( \ \left( \mathrm {FFC}\right) \ \)

 1.系統周波数を検出する方式である。

 2.系統周波数の規定値からの偏差を\( \ \fbox {$\hskip 1em $ $\mathrm {A}$ $\hskip 1em $} \ \)を制御する方式である。

 3.単独系統,又は\( \ \fbox {$\hskip 1em $ $\mathrm {B}$ $\hskip 1em $} \ \)で採用されている。

b.定連系線電力制御\( \ \left( \mathrm {FTC}\right) \ \)

 1.連系線電力を検出する方式である。

 2.連系線電力の規定値からの偏差を\( \ \fbox {$\hskip 1em $ $\mathrm {A}$ $\hskip 1em $} \ \)を制御する方式である。

 3.連系系統内の小系統側が\( \ \fbox {$\hskip 1em $ $\mathrm {C}$ $\hskip 1em $} \ \)を制御する場合に適している。

c. 周波数バイアス連系線電力制御\( \ \left( \mathrm {TBC}\right) \ \)

 1. 周波数と連系線電力を検出する方式である。

 2.系統周波数の規定値からの偏差に\( \ \fbox {$\hskip 1em $ $\mathrm {D}$ $\hskip 1em $} \ \)を乗じた値と,連系線電力の規定値からの偏差の\( \ \fbox {$\hskip 1em $ $\mathrm {E}$ $\hskip 1em $} \ \)を制御する方式である。

 3.連系系統内の各系統が,それぞれ\( \ \fbox {$\hskip 1em $ $\mathrm {F}$ $\hskip 1em $} \ \)を,自系統で処理することを基本としている。

【ワンポイント解説】

電力系統の負荷周波数制御に関する問題です。
負荷周波数制御だけでも比較的正答率は下がると思いますが,本問はさらに突っ込んだ負荷周波数制御の中身まで問う問題となっています。
電力会社で発電や送電の業務に携わっている方以外は厳しい問題であったかなと思います。

1.電力系統における周波数調整方法
①微小変動(数秒~数十秒の変動)
負荷の自己制御性を利用して調整します。一般的な回転機負荷は周波数が上がると消費電力が増え,周波数が下がると消費電力が減少します。この特性を利用し周波数を制御します。

②短周期変動(数秒~数分程度の変動)
発電系統のガバナフリー運転で調整します。発電機の調速機によって周波数変化量から出力変化量を約\( \ 1.0 \ \mathrm {[%MW/0.1Hz]} \ \)程度で調整します。例えば火力発電所であったら,タービン入口のガバナ開度を周波数が低い場合は増加し,周波数が高い場合は減少させて蒸気流入量を調整します。

③長周期変動(数分~数十分の変動)
系統の周波数と基準周波数の偏差を検出して中央給電指令所からの制御信号に伴い,負荷周波数制御\( \ \left( \mathrm {LFC}\right) \ \)で調整します。火力発電所であれば,中央給電指令所からの信号に合わせ出力をコントロールさせます。

④日負荷変動(数十分~数時間の変動)
天候,気温,湿度等のデータを元に需要予測を決定し,出力配分を各発電所の信号へ送ります。経済負荷配分制御\( \ \left( \mathrm {ELD}\right) \ \)により最も経済的な配分を行い,各発電機の出力調整,起動停止等を行います。

2.負荷周波数制御\( \ \left( \mathrm {LFC}\right) \ \)の種類
①定周波数制御\( \ \left( \mathrm {FFC}\right) \ \)
系統周波数の変化量を検出して,\( \ 50 \ \mathrm {Hz} \ \)もしくは\( \ 60 \ \mathrm {Hz} \ \)の規定周波数を維持するように発電出力を調整する制御です。単独系統の北海道電力,沖縄電力または最も大きな系統である東京電力ホールディングスで採用されている方式です。

②定連系線電力制御\( \ \left( \mathrm {FTC}\right) \ \)
連系線の潮流を検出して,連系線の潮流を維持するように発電出力を調整する制御です。連系系統内の小系統側が連系線の潮流を制御する場合に適した方式ですが,日本では採用されていません。

③周波数バイアス連系線電力制御\( \ \left( \mathrm {TBC}\right) \ \)
系統周波数の変化量と連系線の潮流を検出して,自系統内で負荷変動が生じた場合に発電出力を調整する制御です。北海道電力,沖縄電力,東京電力ホールディングス以外の電力会社で採用されている方式です。

【解答】

\( \ \mathrm {A} \ \):零にするよう自系統の発電電力
\( \ \mathrm {B} \ \):連系系統内の主要系統
\( \ \mathrm {C} \ \):主要系統との連系線電力
\( \ \mathrm {D} \ \):バイアス値
\( \ \mathrm {E} \ \):和(差)を零にするよう自系統の発電電力
\( \ \mathrm {F} \ \):自系統で生じた負荷変動(需給不均衡)



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