《電力・管理》〈変電〉[R02:問6]屋外変電所の塩害対策に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

がいし,ブッシング(以下「がいし類」という。)を有する屋外変電所(以下「変電所」という。)の塩害対策について,次の問に答えよ。

(1) 変電所のがいし類の塩害汚損の管理指標として,等価塩分付着密度\( \ \mathrm {[mg/{cm}^{2}]} \ \)が用いられている。等価塩分の意味を含めてこの管理指標が用いられる理由を答えよ。

(2) 変電所の塩害対策は保守が容易ながいし類の過絶縁設計が基本であるが,海岸に近く,台風や季節風によりがいし類に付着する塩分が多い地域にある変電所では,電圧が高いほど,過絶縁設計だけではなく,活線洗浄などを組み合わせて対策することが多い。その理由を答えよ。

(3) 塩害対策の一つとして,絶縁性に優れたシリコンコンパウンドをがいし類に塗布する方策がある。絶縁性以外に,シリコンコンパウンドが有する塩害対策として優れた特性を答えよ。また,保守上注意すべき点を答えよ。

【ワンポイント解説】

変電所の塩害対策に関する問題です。
変電所のみでなく,海岸沿いの送電線や配電線においても塩害対策は必要です。一次試験の平成30年問4にも塩害に関する問題が出題されているので,合わせて学習しておきましょう。

1.塩害発生のメカニズム
下図が塩害のイメージ図となります。
海岸付近では,日常的に海水に含まれる塩分が風により屋外変電所まで運ばれ,がいし表面に付着しますが,通常は降雨等による雨洗効果等で碍子表面の塩分は除去され,がいしの絶縁は保たれます。
しかしながら,台風や季節風等の強風が継続的に続くとがいしの汚損は一気に進行し,さらに霧や小雨等によりがいし表面が湿潤状態になると,がいし表面の絶縁が確保できず,アークやフラッシオーバが発生したり,可聴雑音や電波障害等が発生することがあります。

2.塩害の対策方法
①密閉化
 そもそもがいしに付着しない様,密閉化することが一番ですが,現実的にすべてのがいしを密閉化することは困難です。

②がいし洗浄
 定期的もしくは観測しながらがいしを洗い流すことでがいしに付着した塩分を取り除く方法です。


出典:日本ガイシ株式会社 HP
https://www.ngk.co.jp/product/search-business/insulator/

③絶縁強化
 耐塩がいしや長幹がいしを使用して,絶縁強度を高くする方法です。

④はっ水性物質の塗布
 シリコンコンパウンドを塗布することで,がいしに塩分や水分をつきにくくする方法です。0.5~2年程度で塗りなおしが必要となるため,場所が限定されます。

【解答】

(1)塩害汚損の管理指標として,等価塩分付着密度\( \ \mathrm {[mg/{cm}^{2}]} \ \)が用いられる理由
(ポイント)
・等価塩分付着密度はがいしの汚損量を示す指標で,がいし表面の導電率と同一の導電率を与える食塩の量で定義されます。

(試験センター解答)
等価塩分とは,実際の汚損物による水の導電率と同一の値を示す食塩(塩化ナトリウム)の量であり,管理指標として用いられるのは,がいし類の汚損時の絶縁耐力が等価塩分付着密度ごとに決められているからである。

(2)台風や季節風によりがいし類に付着する塩分が多い地域にある変電所では,電圧が高いほど,過絶縁設計だけではなく,活線洗浄などを組み合わせて対策することが多い理由
(ポイント)
・ワンポイント解説「1.塩害発生のメカニズム」の通りです。
・塩害マップ等は公開されていますが,最終的には各現場毎に海からの距離,風向き,台風発生状況,周辺施設の対策状況,コスト等で総合的に判断し,対策を決定します。

(試験センター解答)
これらの地域では,活線洗浄などを組み合わせて対策するのに比べ,過絶縁設計のみで対策すると,がいし類を長大化する必要があり,電圧が高いほど,技術的に実現が困難,又は非常に高価となり,不経済となるからである。

(3)絶縁性以外に,シリコンコンパウンドが有する塩害対策として優れた特性,保守上注意すべき点
(ポイント)
・ワンポイント解説「2.塩害の対策方法」の通りです。

(試験センター解答)
優れた性質は以下のいずれかが答えられていればよい。
・がいし類の表面に降りかかる水分をはじく,優れたはっ水性
・がいし類に付着した塩分を包み込むアメーバ作用
保守上注意すべき点
シリコンコンパウンドの寿命が 1~2 年と短く,通常の点検よりも多頻度で設備を停止して,清浄再塗布する必要がある。



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