《電力》〈配電〉[R08:問4]高圧配電線の地絡保護に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,高圧配電線の地絡保護に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

我が国の高圧配電系統は主として非接地方式であるが,\( \ \fbox {  (1)  } \ \)発生防止のため,\( \ \fbox {  (2)  } \ \)の制限抵抗を介して接地しており,地絡故障と判定する地絡電流の最小値は\( \ \fbox {  (3)  } \ \) 程度である。

地絡保護には,零相電圧と零相電流の位相関係から事故点を判別する\( \ \fbox {  (4)  } \ \)を使用する。地中ケーブルの場合,絶縁体中のピンホールで絶縁破壊すると,導体とシース間に地絡電流が流れる。ただし,非接地方式においては地絡電流が小さく,事故電流が零点に到達すると消弧して一旦絶縁が回復し,対地電圧が高くなったときに再点弧するサイクルを繰り返す\( \ \fbox {  (5)  } \ \)が発生することがある。この場合,健全相における過渡的な電圧の上昇や,事故電流の断続的な発生により,保護リレーの誤動作や誤不動作の原因となることがある。

〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& \mathrm {EVT(GPT)}     &(ロ)& 高低圧混触       &(ハ)& \mathrm {DGR} \\[ 5pt ] &(ニ)& 数 \ \mathrm {mA}     &(ホ)& 微地絡     &(ヘ)& \mathrm {OCGR} \\[ 5pt ] &(ト)& \mathrm {VT}     &(チ)& 異常電圧     &(リ)& 感電 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 数百 \ \mathrm {mA}     &(ル)& \mathrm {ZCT}     &(ヲ)& 高抵抗地絡 \\[ 5pt ] &(ワ)& 間欠アーク地絡       &(カ)& \mathrm {OVGR}     &(ヨ)& 数十 \ \mathrm {mA} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

高圧配電線の地絡保護に関する問題です。
\( \ 2 \ \)種までに配電系統では非接地方式が主に採用されてきたことは学習済みであると思いますが,本問はもう少し突っ込んだ問題となっています。
ただし,解答群から選択肢を絞れば比較的類推しやすい空欄も多いため,高得点は狙いやすい問題かなとも思います。

1.配電線路における一般的な保護協調
①短絡保護
各配電線引出口に過電流継電器\( \ \left( \mathrm {OCR}\right) \ \)を設置し,短絡電流を検出して引出口遮断器\( \ \left( \mathrm {CB}\right) \ \)を開放します。主要変圧器二次側(母線側)にもバンク保護用の過電流継電器\( \ \left( \mathrm {OCR}\right) \ \)が設置されますが,配電線事故時はまず当該配電線の過電流継電器\( \ \left( \mathrm {OCR}\right) \ \)で選択遮断させるため,主要変圧器二次側の動作時限は各配電線の動作時限よりも長く設定(時限協調)されます。

②地絡保護
\( \ 6.6 \ \mathrm {kV} \ \)配電系統は非接地方式が主流であり,\( \ 1 \ \)線地絡時の地絡電流は系統全体の対地静電容量で決まるため小さく,さらに健全回線にも同種の対地静電容量による充電電流が流れることから,地絡電流の大きさだけでは事故回線の判別が困難です。そのため,母線側に設置した接地形計器用変圧器\( \ \left( \mathrm {EVT}\right) \ \)から零相電圧\( \ V_{0} \ \)を検出し,各配電線引出口に設けた零相変流器\( \ \left( \mathrm {ZCT}\right) \ \)から零相電流\( \ I_{0} \ \)を検出して,両者の位相関係から事故回線を見分ける地絡方向継電器\( \ \left( \mathrm {DGR}\right) \ \)を各配電線に設置します。地絡過電圧継電器\( \ \left( \mathrm {OVGR}\right) \ \)は母線の零相電圧を検出するもので,母線側に設置され,地絡方向継電器\( \ \left( \mathrm {DGR}\right) \ \)が動作しない等何らかの理由により除去できなかった場合に動作します。

③自動再閉路
架空配電線の事故の大半は落雷によるフラッシオーバや樹木接触等の瞬時的なものであるため,遮断器を開放してアークが消滅した一定時間後に自動で再投入(再閉路)を行い,省力化とともに停電時間を最小限に抑えます。

2.間欠アーク地絡
間欠アーク地絡は非接地系統で発生しやすい現象で,その名の通り間欠的に地絡が発生する現象です。
非接地系統では地絡電流が小さく,ほとんどが対地静電容量の充電電流成分となります。地絡発生後,電流が零点を通過する際に放電が自然消弧して一時的に絶縁が回復しますが,健全相の対地電圧上昇や電荷の蓄積によって対地電圧が高くなると,再び絶縁破壊を起こして再点弧します。この「点弧→消弧→再点弧」のサイクルを短時間で繰り返す現象を間欠アーク地絡と呼び,保護リレーの誤動作や誤不動作の原因となることがあります。
間欠アーク地絡は配電系統に電力ケーブルが多く適用され,対地静電容量が大きいほどの発生する可能性が高くなります。

【解答】

(1)解答:チ
題意より解答候補は,(ロ)高低圧混触,(チ)異常電圧,(リ)感電,になると思います。
非接地方式では\( \ 1 \ \)線地絡電流は小さいですが,健全相の電位上昇が大きく,異常電圧が発生しやすくなります。

(2)解答:イ
題意より解答候補は,(イ)\( \ \mathrm {EVT(GPT)} \ \),(ト)\( \ \mathrm {VT} \ \),(ル)\( \ \mathrm {ZCT} \ \),になると思います。
非接地方式においては,図1に示すような接地形計器用変圧器\( \ \mathrm {EVT(GPT)} \ \)の制限抵抗を介して接地している場合が多いです。\( \ \mathrm {VT} \ \)は計器用変圧器であり系統電圧を電圧計や保護継電器などの機器で安全に扱える低い電圧に変換する機器,\( \ \mathrm {ZCT} \ \)は零相変流器であり,主に地絡事故が発生した際に流れる零相電流を検出する機器です。

(3)解答:ヌ
題意より解答候補は,(ニ)数\( \ \mathrm {mA} \ \),(ヌ)数百\( \ \mathrm {mA} \ \),(ヨ)数十\( \ \mathrm {mA} \ \),になると思います。
高圧配電系統において,地絡故障と判定・検出する地絡電流の最小値は数百\( \ \mathrm {mA} \ \)程度です。この空欄は現場を経験されている方でないと厳しい内容かと思います。

(4)解答:ハ
題意より解答候補は,(ハ)\( \ \mathrm {DGR} \ \),(ヘ)\( \ \mathrm {OCGR} \ \),(カ)\( \ \mathrm {OVGR} \ \),になると思います。
ワンポイント解説「1.配電線路における一般的な保護協調」の通り,高圧配電系統における地絡保護には,零相電圧と零相電流の位相関係から事故点を判別する地絡方向継電器\( \ \left( \mathrm {DGR}\right) \ \)が使用されます。\( \ \mathrm {OCGR} \ \)は地絡過電流継電器,\( \ \mathrm {OVGR} \ \)は地絡過電圧継電器です。

(5)解答:ワ
題意より解答候補は,(ホ)微地絡,(ヲ)高抵抗地絡,(ワ)間欠アーク地絡,になると思います。
ワンポイント解説「2.間欠アーク地絡」の通り,非接地方式においては地絡電流が小さく,事故電流が零点に到達すると消弧して一旦絶縁が回復し,対地電圧が高くなったときに再点弧するサイクルを繰り返す現象を間欠アーク地絡といいます。



記事下のシェアタイトル