【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,再生可能エネルギーの一つである地熱エネルギーを利用した地熱発電に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
再生可能エネルギーを電気に変換する方法としては,太陽光発電,風力発電,水力発電,地熱発電,バイオマス発電などの発電方式が実用化されており,再生可能エネルギーの導入拡大によるエネルギーの安定供給の確保や地球温暖化対策の強化などを目的に,2012年7月から再生可能エネルギーの\( \ \fbox { (1) } \ \)がスタートした。
地熱発電は,地下から噴出する蒸気又は熱水を利用して汽力発電を行うもので,地下からの蒸気等を直接タービンに入れる場合と,\( \ \fbox { (2) } \ \)を通して発生させた蒸気をタービンに入れる場合とがある。後者は蒸気に含まれるガスや不純物によるタービン内の腐食対策として有効である。また,地熱資源の枯渇を防止するため,使用済蒸気の\( \ \fbox { (3) } \ \)も行われている。
2016年6月現在,アメリカ,フィリピン,インドネシアなどの諸国を中心に世界で約\( \ 1300 \ \)万\( \ \mathrm {kW} \ \)の地熱発電設備が稼働中であり,日本では約\( \ \fbox { (4) } \ \)万\( \ \mathrm {kW} \ \)の設備が稼働している。
地熱エネルギーに利用を一層推進するため,開発リスクの低減を目指した地熱貯留層の探査技術,掘削技術及び評価・管理技術の技術開発,未利用の温泉熱を利用する低温域での\( \ \fbox { (5) } \ \)発電システム開発,次世代の方式として超臨界地熱発電の熱抽出に関する実現可能性調査等が進められている。
〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 100 &(ロ)& ヒートポンプ &(ハ)& 熱交換器 \\[ 5pt ]
&(ニ)& 固定価格買取制度 &(ホ)& 減圧沸騰 &(ヘ)& 150 \\[ 5pt ]
&(ト)& バイナリー &(チ)& 地中還元 &(リ)& 余剰電力買取制度 \\[ 5pt ]
&(ヌ)& 50 &(ル)& \mathrm {CCS} &(ヲ)& シングルフラッシュ \\[ 5pt ]
&(ワ)& 出力制御ルール &(カ)& 燃焼器 &(ヨ)& トータルフロー \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
ややマイナーですが,再生可能エネルギーのうち,地熱発電に関する問題です。再生可能エネルギーに関する問題が近年増加傾向にありますので,一種の場合は太陽光や風力はもちろんのこと,燃料電池やバイオマス,廃棄物発電等も勉強しておいた方が良いかもしれません。
【用語の解説】
(ト)バイナリー
バイナリー発電は沸点の低い媒体と高温水を気水分離したものとを熱交換し,沸点の低い媒体で発生した蒸気でタービンを廻す方法です。
(ル)\(\mathrm {CCS}\)
排ガス中の二酸化炭素を回収して地下に貯蔵する技術で,地球温暖化対策の一つです。
(ヲ)シングルフラッシュ
地熱発電の湿り流体を蒸気と熱水に汽水分離して発電する方法です。気水分離せずに発電する方法をドライスチーム方式と呼びます。
【解答】
(1)解答:ニ
題意より,解答候補は(ニ)固定価格買取制度,(リ)余剰電力買取制度,(ワ)出力制御ルール,となると思います。2012年7月から再生可能エネルギーの買取に関する制度の名称は固定価格買取制度(FIT)です。
(2)解答:ハ
題意より,解答候補は(ハ)熱交換器,(カ)燃焼器,等になると思います。熱交換器を導入し,タービン側に汚れた蒸気が入らないようにする方法があります。違いは原子力のBWRとPWRのようなイメージで良いと思います。
(3)解答:チ
題意より,解答候補は(ホ)減圧沸騰,(チ)地中還元,(ヲ)シングルフラッシュ,等になると思います。地熱資源の枯渇を防止ために導入されているのは地中還元となります。
(4)解答:ヌ
題意より,解答候補は(イ)\( \ 100 \ \),(ヘ)\( \ 150 \ \),(ヌ)\( \ 50 \ \),になると思います。日本で導入されている地熱発電は約\( \ 50 \ \)万\( \ \mathrm {kW} \ \)で国土面積の小さい日本ではまだまだ導入量は少ないです。
(5)解答:ト
題意より,解答候補は(ロ)ヒートポンプ,(ト)バイナリー,(ヲ)シングルフラッシュ,(ヨ)トータルフロー,になると思います。未利用の温泉熱を利用する低温域の発電システムはバイナリー発電となります。