《機械》〈照明〉[H23:問4] 照度計の仕組みや特徴に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,照度計に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

測光量は,人間の明るさ感覚を加味した量すなわち\( \ \fbox {  (1)  } \ \)であるため,照度計の分光応答度特性は\( \ \fbox {  (2)  } \ \)に一致していなければならない。

照度計では,この特性を満足させるために,一般に光電素子の前面に補正フィルタを置くことによって,目標とする特性に近似させている。しかし,通常このフィルタを目標特性に完全に一致させることが困難であるので,\( \ \fbox {  (3)  } \ \)の異なる光源によっては,計量する照度値に誤差を生じる。この誤差を補正するには,光源ごとに定められる\( \ \fbox {  (4)  } \ \)を乗じる必要がある。

一方,複数の異なる種類の光源が使用されている場所の照度を測る場合には,\( \ \fbox {  (4)  } \ \)を一義的に定めることが困難であるので,このような場所での測定誤差を小さくするには,より\( \ \fbox {  (2)  } \ \)に近似した特性をもつ\( \ \mathrm {JIS \ C \ 1609-1(2006)} \ \)の\( \ \mathrm {AA} \ \)級以上のクラスの照度計を使用する必要がある。

また,正しく照度を測るには,照度計の斜め入射光特性が\( \ \fbox {  (5)  } \ \)に合っていること,入射光の量に対する表示値の直線性の良いことなども重要である。

〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 逆 \ 2 \ 乗の法則      &(ロ)& 放射強度   &(ハ)& 空間周波数特性 \\[ 5pt ] &(ニ)& 心理物理量   &(ホ)& 正弦法則   &(ヘ)& 色補正係数 \\[ 5pt ] &(ト)& 物理量   &(チ)& 照度換算係数       &(リ)& 透過率係数 \\[ 5pt ] &(ヌ)& かん体感度   &(ル)& 分光分布   &(ヲ)& 心理量 \\[ 5pt ] &(ワ)& 明順応特性   &(カ)& 余弦法則   &(ヨ)& 標準比視感度
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

照明の分野は回転機,変圧器,パワーエレクトロニクスのように毎年出題されるわけではありませんが,比較的出題頻度の高い分野です。
人間の光に対する感度は下図のように約\( \ 555 \ \mathrm {nm} \ \)を最大値として,波長によって異なる心理物理量であるため,照度計の感度と人間の感度には誤差が必ず発生します。
その補正は光源毎に異なる色補正係数で補正します。

【用語の解説】

(イ)逆\( \ 2 \ \)乗の法則
 光における逆\( \ 2 \ \)乗の法則は,光の照度が距離の反比例の\( \ 2 \ \)乗に比例する関係のことです。

(ロ)放射強度
 ランプの\( \ 1 \ \)ルクスあたりの照度を表す数値です。

(ハ)空間周波数特性
 色のコントラストの感度特性でフーリエ解析にて求めます。

(ニ)心理物理量
 人間の五感のように物理量とある程度相関のある感覚量です。 

(ホ)正弦法則,(カ)余弦法則
 斜めに入射する光の鉛直面の強度がその\( \ \cos \theta \ \)になることを入射角余弦法則と言います。

(ヘ)色補正係数
 照度計と人間の視感度には必ず分光分布の感度に誤差があるため,必要に応じ色補正係数を乗じます。

(ト)物理量
 質量や秒等定量的に測定可能な量です。

(チ)照度換算係数
 道路等の路面の輝度を照度に換算する係数で単位は\( \ \mathrm {lx/cd \cdot m^{2}} \ \)になります。

(リ)透過率係数
 ある物体に入射した光がどの程度通過するかを表す係数です。例えば赤色の下敷きであれば,赤色波長の光の透過率係数が高いことになります。

(ヌ)かん体感度
 よくわからない選択肢です。本問には関係ないと思います。

(ル)分光分布
 どの波長の光がどれくらいの割合で含まれているかを示すものです。自然光や白熱電球が蛍光灯やダイオードに比べ,比較的広い波長帯で分布しています。

(ヲ)心理量
 人間が五感で感じる量のことです。喜びや悲しみ等の感情もその一つとなります。定量化が難しい量です。

(ワ)明順応特性
 暗いところから明るいところに移動したとき,最初は見えないものが,徐々に見え始める特性をいいます。暗順応はその逆です。

(ヨ)標準比視感度
 人間の比視感度の平均で,上図の通りです。

【解答】

(1)解答:ニ
 題意より,解答候補は(ニ)心理物理量,(ト)物理量,(ヲ)心理量,になると思います。
 測光量は測定した物理量を人間の比視感度で補正するので,心理物理量になります。

(2)解答:ヨ
 題意より,解答候補は(ヌ)かん体感度,(ワ)明順応特性,(ヨ)標準比視感度,になると思います。
 標準比視感度という言葉を知っているかどうかとなります。

(3)解答:ル
 題意より,解答候補は(ハ)空間周波数特性,(ル)分光分布,(ワ)明順応特性,になると思います。
 明順応特性は照度とは明らかに異なります。文脈から本解答は色の濃淡ではなく,色の違いを論じているので,解答は分光分布となります。

(4)解答:ヘ
 題意より,解答候補は(ヘ)色補正係数,(チ)照度換算係数,(リ)透過率係数,になると思います。
 異なる光源では色の分光分布が異なるため,その色補正係数が異なります。そのため,照度を正確に求めるため,人間に近い特性を持つ照度計を採用します。照度計の階級は精密級照度計,\( \ \mathrm {AA} \ \)級照度計,\( \ \mathrm {A} \ \)級照度計,特殊型照度測定器の4つに分類されます。

(5)解答:カ
 題意より,解答候補が(イ)逆2乗の法則,(ホ)正弦法則,(カ)余弦法則,になると思います。
 斜め入射光に対する照度に関する法則は余弦法則です。



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