《電力》〈配電〉[H20:問4]都市部等で利用される地中配電線路に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,地中配電線路に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切な語句を解答群の中から選び,その記号をマークシートに記入しなさい。

地中配電系統は,過密都市部など\( \ \fbox {  (1)  } \ \)を要請される地域に適用されることが多い。その系統構成はケーブルの事故復旧に長時間を要することから,分岐系統であっても末端を他系統と連系したり,あるいは特に重要な部分の系統を\( \ \fbox {  (2)  } \ \)化する方式となっている。そのため,ケーブル系統のどこで事故が発生しても切り替えにより,早期に停電が解消できる。

現在,地中配電線路に用いられるケーブルは\( \ \fbox {  (3)  } \ \)が主流であり,このケーブルは絶縁層に架橋ポリエチレンを用いており耐熱性や作業性に優れている一方,\( \ \fbox {  (4)  } \ \)という絶縁劣化現象があることが昭和\( \ 40 \ \)年代中頃から明らかになり,様々な研究が行われた。現在では,定期的に劣化診断を行うなど運用面での対応とともに,\( \ \fbox {  (4)  } \ \)を抑えるために絶縁層内の\( \ \fbox {  (5)  } \ \)や不純物を低減し,絶縁層と半導電層との界面を滑らかにするなど,製造過程でも対応を行っている。

〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 含水率     &(ロ)&  \ \mathrm {OF} \ ケーブル       &(ハ)& 水 素 \\[ 5pt ] &(ニ)& 系統裕度     &(ホ)& 二 重     &(ヘ)& 閉ループ \\[ 5pt ] &(ト)& 孔 食     &(チ)& 脆(ぜい)性     &(リ)& 経済性 \\[ 5pt ] &(ヌ)& \ \mathrm {BN} \ ケーブル       &(ル)& 水トリー       &(ヲ)&  \ \mathrm {CVT} \ ケーブル \\[ 5pt ] &(ワ)& 高信頼度     &(カ)& 応力腐食割れ     &(ヨ)& 安 定 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

都市部等に利用される地中配電系統に関する問題です。
地中配電の架空配電に対する比較や使用されるケーブルとその特徴等電験でも頻出の内容となっています。
配点も高い問題なので,このような問題で高得点が取得できるように準備しておきましょう。

1.地中送電の特徴
【長所】
 ・自然災害による影響や他接触物による外部事故が少ない。
 ・都市の景観が保たれる。
 ・露出充電部が少ないので,感電や火災の危険性が低い。
 ・通信線への誘導障害が少ない。

【短所】
 ・工期が長くなり,建設費も高くなる。
 ・事故箇所の特定が難しく,事故復旧に時間がかかる。
 ・放熱性が低いため,導体の太さが同じ場合,送電容量が小さくなる。
 ・ケーブルの場合静電容量が数十倍となり,充電電流が大きい。

2.\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルの特徴
\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルの特徴のうち,\( \ \mathrm {OF} \ \)ケーブルと比較した特徴は以下の通りとなります。

①絶縁体に架橋ポリエチレンを使用し,\( \ \mathrm {OF} \ \)ケーブルのように絶縁油を使用しないため,給油設備を必要とせず,火災のリスクも少ない。

②連続使用時の最高許容温度が\( \ 90 \ \)℃と高いので,許容電流が大きくなり,送電容量が大きくなる。

③誘電正接\( \ \mathrm {tan} \delta \ \)(誘電正接)や比誘電率が小さいため誘電体損失や充電電流が小さくなる。

④絶縁体自体を薄くでき軽量であるため,取り回しが良い。

⑤耐薬品性,耐摩耗性,耐衝撃性に優れる。

⑥水分が含まれると突起部等の電界集中部に水分が集まり凝集し,水トリーと呼ばれる樹枝状に絶縁劣化する現象が発生する。

【解答】

(1)解答:ワ
題意より解答候補は,(ニ)系統裕度,(チ)脆(ぜい)性,(リ)経済性,(ワ)高信頼度,等になると思います。
ワンポイント解説「1.地中送電の特徴」の通り,地中配電は外部事故の発生が少なく信頼度が高いため,高信頼度が要請される地域に適用されやすいです。

(2)解答:ホ
題意より解答候補は,(ホ)二重,(ヘ)閉ループ,(ヨ)安定,等になると思います。
地中配電系統においては,高信頼度が求められる地域に設置することから,二重化する方式が取られることも多いです。その後の文章の「事故が発生しても切り替えにより」がヒントとなっています。

(3)解答:ヲ
題意より解答候補は,(ロ)\( \ \mathrm {OF} \ \)ケーブル,(ヌ)\( \ \mathrm {BN} \ \)ケーブル,(ヲ)\( \ \mathrm {CVT} \ \)ケーブル,になると思います。
現在,地中配電線路に用いられるケーブルはワンポイント解説「2.\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルの特徴」の観点等から\( \ \mathrm {CVT} \ \)ケーブルが主流となっています。

(4)解答:ル
題意より解答候補は,(ト)孔食,(ル)水トリー,(カ)応力腐食割れ,になると思います。
ワンポイント解説「2.\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルの特徴」の通り,\( \ \mathrm {CVT} \ \)ケーブルでは水トリーという絶縁劣化現象が生じる可能性があります。

(5)解答:イ
題意より解答候補は,(イ)含水率,(ハ)水素,等になると思います。
ワンポイント解説「2.\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルの特徴」の通り,水トリーを抑えるためには絶縁層内の含水率を低減させる必要があります。



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