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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
次の文章は,風力発電に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる語句又は数値を解答群の中から選び,その記号をマークシートに記入しなさい。
風力発電に用いられる風車のエネルギー変換効率(軸出力エネルギーと風車ロータを通過する空気エネルギーの比)は\( \ \fbox { (1) } \ \)と呼ばれ,理論的には\( \ \fbox { (2) } \ \)(ベッツの限界値)であるが,実際には最適設計されたプロペラ形風車で最大\( \ 0.45 \ \)程度の値となる。一般に風力発電システムの運転では有効な出力が得られる力ットイン風速,定格風速,強風を避けるために停止するカットアウト風速が設定されている。力ットイン風速はおおよそ\( \ 2 \sim 4 \ \mathrm {[m / s]} \ \)であり,カットアウト風速は\( \ 25 \ \mathrm {[m / s]} \ \)前後が多い。
風力エネルギーは不規則かつ間欠的であることから,風力発電システムの\( \ \fbox { (3) } \ \)は,特殊な場合を除き\( \ 20 \sim 30 \ \mathrm {[%]} \ \)台の値となる。また,風力エネルギーの変動はそのまま発電機出力の変動となるため,接続される送電系統の短絡容量が小さい場合には\( \ \fbox { (4) } \ \)が大きくなるおそれがあり,その対策が必要となる。ウインドファームでは数多くの風力発電機を集合設置しており,出力変動の平滑化が期待されているが,\( \ \fbox { (5) } \ \)変動に対しては平滑化が困難なため,さまざまな対策が検討されている。
〔問5の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 0.593 &(ロ)& 0.612 &(ハ)& 電圧変動 \\[ 5pt ]
&(ニ)& 信頼性 &(ホ)& 長周期 &(ヘ)& 誘導障害 \\[ 5pt ]
&(ト)& 設備利用率 &(チ)& 成績係数 &(リ)& ランダム \\[ 5pt ]
&(ヌ)& パワー係数 &(ル)& 短周期 &(ヲ)& 利用可能率 \\[ 5pt ]
&(ワ)& 変換係数 &(カ)& 高調波 &(ヨ)& 0.625 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
風力発電における風車のエネルギーと出力変動に関する問題です。
風力発電は風速により発電電力が大きく変化するため,比較的安定的な強風が吹く場所が理想となります。
本問は\( \ 3 \ \)種の頃よりもやや高度な内容となっていますので,ここで風車の内容を理解するようにしましょう。
1.風車によって風から取り出せるエネルギー
単位時間当たりの風のエネルギー(≒出力)\( \ P \ \mathrm {[W]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
P &=&\frac {1}{2}\rho Av^{3} \ \mathrm {[W]}\\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
で求められ,このうち,風車が風から取り出せるエネルギーの割合を出力係数(パワー係数)\( \ C_{\mathrm {p}} \ \)といい,これを考慮すると風力発電の出力は,
\[
\begin{eqnarray}
P &=&\frac {1}{2}C_{\mathrm {p}}\rho Av^{3} \ \mathrm {[W]}\\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となります。\( \ C_{\mathrm {p}} \ \)の理論上の最大値はベッツの限界値と呼ばれ\( \ \displaystyle \frac {16}{27}≒0.593 \ \)であり,実際には\( \ 3 \ \)枚羽根のプロペラ形風車で最大\( \ 0.45 \ \)程度となります。
2.風力発電所の出力変化の電圧変動の関係
\( \ {\dot V}_{\mathrm {r}} \ \)を基準とした単線図とベクトル図を図2と図3に示します。\( \ \delta \ \)は相差角,\( \ \theta \ \)は力率角となります。
図3において,\( \ \delta \ \)が十分に小さいとすれば,
\[
\begin{eqnarray}
V_{\mathrm {r}} &≃&V_{\mathrm {s}}+RI\cos \left( \theta -\delta \right) +XI\sin \left( \theta -\delta \right) \\[ 5pt ]
&≃&V_{\mathrm {s}}+RI\cos \theta +XI\sin \theta \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となり,\( \ P=V_{\mathrm {r}}I\cos \theta \ \)及び\( \ Q=V_{\mathrm {r}}I\sin \theta \ \)より,
\[
\begin{eqnarray}
V_{\mathrm {r}} &=&V_{\mathrm {s}}+R\cdot \frac {P}{V_{\mathrm {r}}}+X\cdot \frac {Q}{V_{\mathrm {r}}} \\[ 5pt ]
V_{\mathrm {r}}^{2} &=&V_{\mathrm {s}}V_{\mathrm {r}}+RP+XQ \\[ 5pt ]
V_{\mathrm {r}}^{2}- V_{\mathrm {s}}V_{\mathrm {r}}-\left( RP+XQ\right) &=&0 \\[ 5pt ]
V_{\mathrm {r}}&=&\frac {V_{\mathrm {s}}±\sqrt {V_{\mathrm {s}}^{2}+4\left( RP+XQ\right) }}{2} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となります。\( \ V_{\mathrm {s}}=1.0 \ \mathrm {[p.u.]} \ \)を代入すると,
\[
\begin{eqnarray}
V_{\mathrm {r}}&=&\frac {1.0±\sqrt {1.0+4\left( RP+XQ\right) }}{2} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となり,二項定理より\( \ \sqrt {1+4\left( RP+XQ\right) } ≒ 1+2\left( RP+XQ\right) \ \)となるので,
\[
\begin{eqnarray}
V_{\mathrm {r}}&≒&\frac {1.0±\left\{ 1.0+2\left( RP+XQ\right) \right\} }{2} \\[ 5pt ]
&≒&1.0+RP+XQ,-RP-XQ \left( 不適\right) \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となります。したがって,接続される母線の短絡容量が小さい(≒インピーダンスが大きい)場合には出力変動により電圧変動が大きくなることがわかります。


【解答】
(1)解答:ヌ
題意より,解答候補は(チ)成績係数,(ヌ)パワー係数,(ワ)変換係数,になると思います。
ワンポイント解説「1.風車によって風から取り出せるエネルギー」の通り,風車のエネルギー変換効率(軸出力エネルギーと風車ロータを通過する空気エネルギーの比)はパワー係数と呼ばれます。
(2)解答:イ
題意より,解答候補は(イ)\( \ 0.593 \ \),(ロ)\( \ 0.612 \ \),(ヨ)\( \ 0.625 \ \),になると思います。
ワンポイント解説「1.風車によって風から取り出せるエネルギー」の通り,パワー係数の最大値は\( \ 0.593 \ \)となります。
(3)解答:ト
題意より,解答候補は(ニ)信頼性,(ト)設備利用率,(ヲ)利用可能率,になると思います。
問題文の通り,風力エネルギーは不規則かつ間欠的であることから,風力発電システムの設備利用率(定格出力で総期間運転した際の発電電力量に対する実際の発電電力量)は\( \ 20 \sim 30 \ \mathrm {[%]} \ \)程度となります。
(4)解答:ハ
題意より,解答候補は(ハ)電圧変動,(ヘ)誘導障害,(カ)高調波,になると思います。
ワンポイント解説「2.風力発電所の出力変化の電圧変動の関係」の通り,接続される送電系統の短絡容量が小さい場合には電圧変動が大きくなるおそれがあります。
(5)解答:ホ
題意より,解答候補は(ホ)長周期,(リ)ランダム,(ル)短周期,になると思います。
複数の風力発電機を集合設置したウインドファームでは風速変化の時間差を利用して短周期の出力変動の平準化をすることが可能となりますが,長周期の出力変動では平準化することが困難となります。





【令和8年度版2種一次試験】








愛知県出身 愛称たけちゃん
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