《電力》〈火力〉[R08:問1]火力発電所からの二酸化炭素排出抑制に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,火力発電所からの\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)排出に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

火力発電設備の熱効率を適正に維持することは,燃料消費量を低減し,\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)排出量の抑制につながるため,大変重要である。例えば,汽力発電のボイラを運転するときには,\( \ \fbox {  (1)  } \ \)を監視する必要がある。これは,\( \ \fbox {  (1)  } \ \)が大きくなると排ガス損失が増加するためである。また,復水器の\( \ \fbox {  (2)  } \ \)が下がると,蒸気タービンの熱落差が小さくなって熱効率が低下するため,適正な\( \ \fbox {  (2)  } \ \)に維持する必要がある。

超々臨界圧\( \ \fbox {  (3)  } \ \)が採用されていない石炭火力発電を段階的に廃止していくことも,\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)排出量の削減につながる。

\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)回収・貯留技術は,排出された\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)を分離回収したのち圧縮して,地下\( \ \fbox {  (4)  } \ \)の岩層に圧入して閉じ込めることで,大気中への\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)排出を抑えるものである。さらに,回収した\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)を有効活用することも含めた取り組みは\( \ \fbox {  (5)  } \ \)と呼ばれている。

〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 過剰空気率     &(ロ)& 出口給水流量     &(ハ)& タービン \\[ 5pt ] &(ニ)& ホットウェルレベル         &(ホ)& 約 \ 10 \sim 30 \ \mathrm {m}     &(ヘ)& ドラムレベル \\[ 5pt ] &(ト)& 炉内圧力     &(チ)& ボイラ     &(リ)& 真空度 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 約 \ 100 \sim 300 \ \mathrm {m}     &(ル)& \mathrm {MACC}     &(ヲ)& 約 \ 1 \ 000 \sim 3 \ 000 \ \mathrm {m} \\[ 5pt ] &(ワ)& \mathrm {IGCC}     &(カ)& \mathrm {CCUS}     &(ヨ)& 発電機 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

火力発電所からの\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)排出に対する取り組みに関する問題です。
日本では\( \ 2050 \ \)年までに温室効果ガスの排出量を全体として実質ゼロにするというカーボンニュートラルの宣言がなされ,二酸化炭素排出量の多い汽力発電の熱効率改善と\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)回収は重要な取り組みの一つとされています。今後も類題が出題されることも十分に想定されますので,必ず学習しておくようにして下さい。

1.汽力発電において効率に影響を及ぼす管理項目
①蒸気温度・蒸気圧力
蒸気温度や圧力が下がると,蒸気タービンの熱落差が減少し,効率が低下します。ただし,材料の耐熱性等を考慮し設計温度・設計圧力で運転することが重要です。

②過剰空気率
過剰空気率は燃料を完全燃焼するために必要な最低限の空気量(理論空気量)に対する実際に供給する空気量の割合で,\( \ 1 \ \)よりわずかに大きい状態が適正です。過剰空気率が大きすぎるとボイラの燃焼温度が下がり排ガス損失が増加し,小さすぎると不完全燃焼となり未燃分の損失が増加し,効率が低下します。

③排ガス温度
排ガス温度が高くなると煙突から排出するエネルギーが増加し効率が低下しますが,低すぎると空気予熱器等での低温部腐食が多くなるため,設計温度付近で排出することが重要です。

④復水器真空度
復水器の真空度が下がると,蒸気タービンでの熱落差が減少し,効率が低下しますが,設計圧力より高めると復水が過剰に冷却されるため,効率が低下する場合もあります。

2.\( \ \mathrm {CCS} \ \)および\( \ \mathrm {CCUS} \ \)技術
いずれも温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを実現するために\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)を回収する技術で,近年注目が高まっています。

①\( \ \mathrm {CCS \ \left( \ Carbon \ Dioxide \ Capture \ and \ Storage \ \right)} \ \)
火力発電所や工場から排出される\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)を分離回収し,地中深く(一般に\( \ 800 \ \mathrm {m} \ \)以上の貯留層)に封じ込める技術です。

②\( \ \mathrm {CCUS \ \left( \ Carbon \ Dioxide \ Capture, Utilization \ and \ Storage \ \right)} \ \)
\( \ \mathrm {CCS} \ \)に加え,回収した\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)を燃料,プラスチック等に有効利用する取り組みです。

【解答】

(1)解答:イ
題意より,解答候補は(イ)過剰空気率,(ロ)出口給水流量,(ニ)ホットウェルレベル,(ヘ)ドラムレベル,(ト)炉内圧力,(リ)真空度,になると思います。
ワンポイント解説「1.汽力発電において効率に影響を及ぼす管理項目」の通り,大きくなることで排ガス損失が増加するのは過剰空気率となります。

(2)解答:リ
題意より,解答候補は(イ)過剰空気率,(ロ)出口給水流量,(ニ)ホットウェルレベル,(ヘ)ドラムレベル,(ト)炉内圧力,(リ)真空度,になると思います。
ワンポイント解説「1.汽力発電において効率に影響を及ぼす管理項目」の通り,低下することで蒸気タービンの熱落差が小さくなって熱効率が低下するのは真空度となります。

(3)解答:チ
題意より,解答候補は(ハ)タービン,(チ)ボイラ,(ヨ)発電機,になると思います。
ワンポイント解説「1.汽力発電において効率に影響を及ぼす管理項目」の通り,蒸気圧力が高い方が熱効率が高まるため,超々臨界圧ボイラを採用されていない石炭火力発電を段階的に廃止していくことも\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)排出量の削減につながります。超々臨界圧タービンという用語もありますが,蒸気圧力による効率という意味で考えるとよりボイラの方が適切であると考えられます。

(4)解答:ヲ
題意より,解答候補は(ホ)約\( \ 10 \sim 30 \ \mathrm {m} \ \),(ヌ)約\( \ 100 \sim 300 \ \mathrm {m} \ \),(ヲ)約\( \ 1 \ 000 \sim 3 \ 000 \ \mathrm {m} \ \),になると思います。
ワンポイント解説「2.\( \ \mathrm {CCS} \ \)および\( \ \mathrm {CCUS} \ \)技術」の通り,排出された\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)を分離回収し貯留する層として適切なのは約\( \ 1 \ 000 \sim 3 \ 000 \ \mathrm {m} \ \)となります。

(5)解答:カ
題意より,解答候補は(ル)\( \ \mathrm {MACC} \ \),(ワ)\( \ \mathrm {IGCC} \ \),(カ)\( \ \mathrm {CCUS} \ \),になると思います。
ワンポイント解説「2.\( \ \mathrm {CCS} \ \)および\( \ \mathrm {CCUS} \ \)技術」の通り,回収した\( \ \mathrm {CO}_{2} \ \)を有効活用することも含めた取り組みは\( \ \mathrm {CCUS} \ \)と呼ばれます。\( \ \mathrm {MACC \ \left( \ More \ Advanced \ Combined \ Cycle \ \right)} \ \)は高効率の改良型コンバインドサイクル発電方式,\( \ \mathrm {IGCC \ \left( \ Integrated \ Coal \ Gasification \ Combined \ Cycle \ \right) } \ \)は石炭ガス化複合発電のことをいいます。



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