《電力》〈変電〉[H18:問6]変電所のがいしの塩害対策に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,変電所のがいし(がい管なども含む。)の塩害対策に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる語句を解答群の中から選び,その記号をマークシートに記入しなさい。

塩分ががいし表面に付着すると,霧や小雨により湿潤して溶解し,導電性があがり,がいし表面の\( \ \fbox {  (1)  } \ \)が増加する。これにより,がいし表面が乾燥して部分放電が発生したり,さらに,フラッシオーバに移行して事故にいたる懸念があることから,塩害対策を行っている。

塩害対策としては,隠ぺい化などもあるが,屋外変電所では汚損マップやパイロットがいしによる実測等をもとに,がいしの\( \ \fbox {  (2)  } \ \)を決定し,これとは別に耐塩対策設計の重要な項目であるがいしの\( \ \fbox {  (3)  } \ \)の目標値を決定しておく。これらとがいし表面の\( \ \fbox {  (4)  } \ \)を考慮して,使用するがいしを選定することになる。このほか,がいしを洗浄するのも対策の一つであるが,この場合,洗浄水の圧力や洗浄水の\( \ \fbox {  (5)  } \ \)とがいし洗浄耐電圧の関係をよく把握しておく必要がある。

〔問6の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 降雨量     &(ロ)& 漏れ距離       &(ハ)& 電位傾度 \\[ 5pt ] &(ニ)& 透明度     &(ホ)& 換算係数     &(ヘ)& 塩分付着密度 \\[ 5pt ] &(ト)& 耐電圧     &(チ)& 漏れ電流     &(リ)& 暴露期間 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 絶 縁     &(ル)& 抵抗率     &(ヲ)& 累積頻度 \\[ 5pt ] &(ワ)& 平均直径       &(カ)& \mathrm {pH} \ 値     &(ヨ)& 試験方法 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

変電所のがいしに発生する塩害とその対策に関する問題です。
塩害の概要と対策の考え方を深堀りした内容となっていて,知識があっても選択肢が絞りにくい問題です。一つ一つの空欄について,解答群のどの用語が当てはまるかよく考えて解いていくようにして下さい。

1.塩害発生のメカニズム
下図が塩害のイメージ図となります。
海岸付近では,日常的に海水に含まれる塩分が風により屋外変電所まで運ばれ,がいし表面に付着しますが,通常は降雨等による雨洗効果等で碍子表面の塩分は除去され,がいしの絶縁は保たれます。
しかしながら,台風や季節風等の強風が継続的に続くとがいしの汚損は一気に進行し,さらに霧や小雨等によりがいし表面が湿潤状態になると,がいし表面の絶縁が確保できず,漏れ電流が流れ,その漏れ電流の発熱により乾燥し,その部分に放電現象が発生します。
アークやフラッシオーバが発生したり,可聴雑音や電波障害等が発生することがあります。

2.塩害対策の考え方と方法
変電所の塩害対策は,以下に示す方法があります。一線地絡時の健全相電圧上昇に耐えることを基本に,がいし表面の漏れ距離と塩分付着密度を考慮して決められ,設計汚損量までは絶縁強化で対策し,それ以上はがいし洗浄による対策を施します。がいし洗浄においては洗浄水の圧力や洗浄水の抵抗率とがいしの耐電圧の関係をよく把握しておく必要があります。重汚損地区では,屋内化や\( \ \mathrm {GIS} \ \)など隠ぺい化の対策が採られることもあります。

①密閉化,隠ぺい化
 そもそもがいしに付着しない様,屋内化や\( \ \mathrm {GIS} \ \)などにより隠ぺい化することが一番ですが,現実的にすべてのがいしを密閉化することは困難です。

②がいし洗浄
 定期的もしくは観測しながらがいしを洗い流すことでがいしに付着した塩分を取り除く方法です。


出典:日本ガイシ株式会社 HP
https://www.ngk.co.jp/product/search-business/insulator/

③絶縁強化
 耐塩がいしや長幹がいしを使用して,絶縁強度を高くする方法です。

④はっ水性物質の塗布
 シリコンコンパウンドを塗布することで,がいしに塩分や水分をつきにくくする方法です。\( \ 0.5 \sim 2 \ \)年程度で塗りなおしが必要となるため,場所が限定されます。

【解答】

(1)解答:チ
題意より,解答候補は(ハ)電位傾度,(チ)漏れ電流,等になると思います。
ワンポイント解説「1.塩害発生のメカニズム」の通り,塩分ががいし表面に付着すると霧や小雨により湿潤して溶解し,導電性があがり,がいし表面の漏れ電流が増加します。

(2)解答:ヘ
題意より,解答候補は(ヘ)塩分付着密度,(リ)暴露期間,(ヲ)累積頻度,(ワ)平均直径,(ヨ)試験方法,等になると思います。
ワンポイント解説「1.塩害発生のメカニズム」及び「2.塩害対策の考え方と方法」の通り,塩害対策としては,屋外変電所では汚損マップやパイロットがいしによる実測等をもとに,がいしの塩分付着密度を決定します。

(3)解答:ト
題意より,解答候補は(ロ)漏れ距離,(ハ)電位傾度,(ト)耐電圧,等になると思います。
ワンポイント解説「1.塩害発生のメカニズム」及び「2.塩害対策の考え方と方法」の通り,一線地絡時の健全相電圧上昇に耐えることを基本に,耐塩対策設計の重要な項目であるがいしの耐電圧の目標値を決定します。

(4)解答:ロ
題意より,解答候補は(イ)降雨量,(ロ)漏れ距離,(ハ)電位傾度,(チ)漏れ電流,(リ)暴露期間,等になると思います。
ワンポイント解説「2.塩害対策の考え方と方法」の通り,使用するがいしを選定に考慮するのはがいし表面の漏れ距離となります。

(5)解答:ル
題意より,解答候補は(ニ)透明度,(ホ)換算係数,(ル)抵抗率,(カ)\( \ \mathrm {pH} \ \)値,等になると思います。
ワンポイント解説「2.塩害対策の考え方と方法」の通り,がいし洗浄においては,洗浄水の圧力や洗浄水の抵抗率とがいし洗浄耐電圧の関係をよく把握しておく必要があります。



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