《機械》〈同期機〉[R08:問1]同期発電機に適用される冷却方式に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,タービンなどの高速回転の原動機で駆動される\( \ 2 \ \)極又は\( \ 4 \ \)極の大容量同期発電機に適用される冷却方式に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

\( \ 200 \ \mathrm {MW} \ \)級以下の発電機では,回転速度の低い発電機や電動機などと同様に主に空気冷却方式が適用される。\( \ 200 \ \mathrm {MW} \ \)級以上では,発電機の大型化の抑制や効率向上などのために水素冷却方式が適用され,さらに高い出力の発電機になると水冷却方式が適用されることが多い。

空気冷却方式の発電機は,水素冷却や水冷却方式と比べて必要な補機は少ないが,\( \ \fbox {  (1)  } \ \)が大きく効率は低い。また,\( \ \fbox {  (1)  } \ \)が大きいために全損失中の\( \ \fbox {  (2)  } \ \)の割合が高くなり,部分負荷における効率は最大出力時から大きく低下する。

水素冷却方式の発電機は,一次冷媒として水素ガスを機内に封入しており,空気冷却方式と比べて発電機は小型化し,また,冷媒の特性から\( \ \fbox {  (1)  } \ \)が大幅に減少して効率は高くなる。しかし,水素漏洩を防ぐ\( \ \fbox {  (3)  } \ \)構造や,ガス供給装置及び\( \ \fbox {  (4)  } \ \)などの補機が必要となり,機器コストや保守コストは増加する。

水冷却方式の発電機は,回転子巻線や鉄心の冷却に水素を使用することに加えて固定子巻線の素線を直接冷却するために\( \ \fbox {  (5)  } \ \)を一次冷媒として使用しており,水素冷却方式に比べて発電機本体を小型化できるが,補機としてガス供給装置と\( \ \fbox {  (4)  } \ \)に加えて固定子冷却水装置が必要になる。また,発電機内部でも固定子巻線の構造の複雑化や機内の冷却水通水構造の追加などが必要となり,発電機本体がより小型化しても水素冷却方式の発電機より機器コストが低減するわけではない。近年では水素冷却方式が適用される出力が増大しており,水冷却方式の適用はより高い出力領域にシフトしている。

〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 回転子銅損        &(ロ)& 本質安全防爆     &(ハ)& 円筒外被 \\[ 5pt ] &(ニ)& 風損     &(ホ)& 軸受損     &(ヘ)& 工業用水 \\[ 5pt ] &(ト)& 固定損     &(チ)& アルカリイオン水        &(リ)& 負荷損 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 軸シール     &(ル)& 鉄損     &(ヲ)& 水素発生装置 \\[ 5pt ] &(ワ)& 密封油装置     &(カ)& 長尺ボンベ     &(ヨ)& 純水 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

大容量のタービン発電機に採用される水素冷却方式と水冷却方式に関する問題です。
電力科目や電力管理科目で出題されることが多い内容ですが,令和8年度は機械科目として出題されました。電力科目や電力管理科目で類題が何度か出題されていますので,過去問をしっかりと学習されていれば完答も目指せた問題かと思います。

1.水素冷却方式の特徴
一般に発電機容量が大きくなればなるほど,空気冷却方式ではなく水素冷却方式が採用されます。水素冷却方式は空気冷却方式と比べ以下の特徴があります。
・水素は空気より密度が小さいため風損が少なく,効率が\( \ 0.5~1.0 \ \mathrm {%} \ \)程度上昇する
・水素は空気より熱伝導率が高いため冷却効果が高く,発電機を小型化できる
・水素は空気より不活性であり,コロナ発生電圧が高いため,コイルの絶縁寿命が長くなる
・空気との混合で大気圧での爆発範囲が\( \ 4\sim 75 \ \mathrm {%} \ \)ととても大きいので,水素濃度監視に注意を要する
 (一般的には運転中の水素純度が\( \ 90 \ \mathrm {%} \ \)を下回った場合には警報が発信し,これ以上下回らないように維持されています。)
・爆発の危険性があるため,発電機の固定子枠を耐爆構造とする必要がある
・軸受部(軸貫通部)からの水素漏れを防止するために軸シール構造とし密封油制御装置を設ける必要がある

2.水冷却方式の特徴
発電機容量の増加に伴い空気冷却方式→水素冷却方式→水冷却方式と採用される例が多いです。

水冷却方式では液体である純水を供給するため,熱容量,熱伝達率が大きく冷却効果が高いですが,水質を保つための水処理設備,水を供給するためのポンプや配管等の設備が必要となり,構造は複雑となります。したがって,水冷却方式を採用する場合には,水の導電率,温度,圧力に注意して運転する必要があります。

\( \ 300 \ \mathrm {MV\cdot A} \ \)を超える発電機から固定子の冷却に水が採用され始め,\( \ 1 \ 500 \ \mathrm {MV\cdot A} \ \)級以上になると回転子にも採用される例があります。

3.同期機の損失
一般的な同期機の損失は図1の通りです。すべて丸暗記をする必要はありませんが,分類をなんとなく理解しておくようにして下さい。その他,測定困難な損失も一部ありますが,把握しておくのは下図の内容で十分かと思います。

【解答】

(1)解答:ニ
題意より,解答候補は(イ)回転子銅損,(ニ)風損,(ホ)軸受損,(ト)固定損,(リ)負荷損,(ル)鉄損,になると思います。
ワンポイント解説「1.水素冷却方式の特徴」の通り,空気冷却方式の発電機は,水素冷却や水冷却方式と比べて風損が大きいという特徴があります。

(2)解答:ト
題意より,解答候補は(イ)回転子銅損,(ニ)風損,(ホ)軸受損,(ト)固定損,(リ)負荷損,(ル)鉄損,になると思います。
ワンポイント解説「3.同期機の損失」の通り,風損は発電機出力により変化するものではないため固定損に分類されます。

(3)解答:ヌ
題意より,解答候補は(ロ)本質安全防爆,(ハ)円筒外被 ,(ヌ)軸シール,になると思います。
ワンポイント解説「1.水素冷却方式の特徴」の通り,水素冷却方式は水素漏洩を防ぐ軸シール構造とする必要があります。

(4)解答:ワ
題意より,解答候補は(ヲ)水素発生装置,(ワ)密封油装置,(カ)長尺ボンベ,になると思います。
ワンポイント解説「1.水素冷却方式の特徴」の通り,水素冷却方式で必要となるのは密封油装置となります。

(5)解答:ヨ
題意より,解答候補は(ヘ)工業用水,(チ)アルカリイオン水,(ヨ)純水,になると思います。
ワンポイント解説「2.水冷却方式の特徴」の通り,水冷却方式で採用される一次冷媒は純水となります。



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