《機械》〈パワーエレクトロニクス〉[H27:問2]単相半波整流回路とその交流電源に使われる変圧器に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

次の文章は,単相半波整流回路とその交流電源に使われる変圧器に関する記述である。文中の\(\fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

図1に示すように還流ダイオード\({\mathrm {D}}_{\mathrm {F}}\)をもつ単相半波整流回路があり,その回路には交流電源から単相変圧器を介して電力が供給されている。変圧器は,巻数比が\(1:1\)で巻線抵抗,漏れインダクタンスなどは無視でき,その鉄心の磁化特性は,飽和及びヒステリシスを無視して,直線で近似できるものとする。このとき,交流電源電圧\(v_{1}\)に対して変圧器二次電流\(i_{12}\)が流れ,直流電流\(i_{2}\)は\(i_{2}=I_{\mathrm {d}}\)一定とみなせるとすると,\(i_{12}\)の波形は図2に示す波形\(\fbox {  (1)  }\)となる。

変圧器には交流電源から交流励磁電流\(i_{0}\)が流れ,その波高値が\(\displaystyle I_{\mathrm {0p}}=\frac {I_{\mathrm {d}}}{4}\)であったとする。このとき,この交流励磁電流\(i_{0}\)の位相は,電源電圧に対して\(\fbox {  (2)  }\)である。

ここで,変圧器一次側の交流回路において,定常状態では電流1サイクルの平均値は\(\fbox {  (3)  }\)でなければならない。これは\(\fbox {  (4)  }\)条件と呼ばれる。二次電流\(i_{12}\)の平均値は\(\displaystyle \frac {I_{\mathrm {d}}}{2}\)であるので,その電流を流すために変圧器には直流偏磁の電流が流れる。

以上から,変圧器の一次電流\(i_{11}\)は,二次電流\(i_{12}\)のアンペアターンを打ち消す電流と,交流励磁電流と,直流偏磁の電流との和の電流となるので,その波形は図2に示す波形\(\fbox {  (5)  }\)となる。

実際の変圧器では,直流偏磁の電流が飽和領域にあるのが普通であり,大きな励磁電流が必要となってしまう。このような望ましくない変圧器の使い方を避けるために,電力変換器の入力電流には直流分が含まれないようにしなければならない。

〔問2の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 1   &(ロ)& 0   &(ハ)& 変圧器 \\[ 5pt ] &(ニ)& 90°進み   &(ホ)& 90°遅れ   &(ヘ)& 4 \\[ 5pt ] &(ト)& 6  &(チ)& 3    &(リ)& 同 じ \\[ 5pt ] &(ヌ)& 交 流   &(ル)& 直 流   &(ヲ)& 2 \\[ 5pt ] &(ワ)& 励磁電流相当    &(カ)& 5   &(ヨ)& 励磁電流相当以上で定格電流以下
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

半波整流回路では正の電圧は整流しますが,負の電圧は整流しないという特性があります。図1に示す回路では以下の動作になります。

1.半波整流回路の動作
図1-1に示すように,一次電圧\(v_{1}\)が正の時,二次電圧\(v_{2}\)にも正の電圧がかかるため,ダイオード\(\mathrm {D}\)が導通し,電流は図1-1に示すように流れます。一方,一次電圧\(v_{1}\)が負の時,二次電圧\(v_{2}\)にも負の電圧がかかるため,ダイオード\(\mathrm {D}\)は導通しません。また,リアクトルに蓄えられたエネルギーが放出しダイオード\(\mathrm {D_{F}}\)が導通して,電流は図1-2に示すように流れます。リアクトル\(L\)が十分に大きい時,出力電流\(i_{2}\)はほぼ一定となります。

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【解答】

(1)解答:イ
ワンポイント解説「1.半波整流回路の動作」の通り,\(i_{12}\)は\(v_{1} > 0\)の時正の電流が流れ,\(v_{1} < 0\)の時電流が流れません。よって,条件を満たす波形は\(1\)となります。

(2)解答:ホ
変圧器の交流励磁電流\(i_{0}\)はコンダクタンス分とサセプタンス分がありますが,変圧器はコイルに近いのでほとんどがサセプタンス分となります。よって,電流は電圧より90°遅れとなります。

(3)解答:ロ
(4)解答:ヌ
変圧器の一次電流は,正弦波であれば,平均値は\(0\)となります。これを交流条件と言います。

(5)解答:ヘ
二次電流\(i_{12}\)のアンペアターンを打ち消す電流と,交流励磁電流と,直流偏磁の電流とその和となる\(i_{11}\)の波形を示すと図3のようになります。
よって解答は(ヘ)となります。



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