根号や円周率の計算について教えて下さい。

【質問】

電験の三相交流の計算で\(\sqrt {3}\)や\(\pi \)が良く出てくるのですが,どの程度正確に計算する必要があるのでしょうか。例えば,\(\displaystyle \frac {200}{\sqrt {3}}\)等の計算では電卓で\(\sqrt {3}\)を一回計算して,出てくる数値をメモして,\(200\)から割る必要がありますか。ある程度数値は覚えておいた方がよいですか。

【回答】

ご質問して頂いたやり方だと時間を大幅にロスしてしまうので,ある程度数値を記憶して有効数字までの計算をして下さい。
一次試験であれば有効数字3~4桁で大丈夫ですが,有効数字3桁であると,選択肢の数値と若干の誤差が出る可能性はあります。誤差が出てもほぼ正答は導き出せますが,万全を期すのであれば4桁の方が無難でしょう。これはご本人の性格次第であると思います。
二次試験(記述式)の場合は有効数字5桁で計算する必要があります。二次試験の場合は時間の制約もあるのである程度覚えておいたり,電卓のメモリー機能を使えるようにしておいた方がいいと思います。電験で覚えておいた方が良いもので思いつくものを列挙します。
\[
\begin{eqnarray}
\sqrt {2}&≒&1.41421356 &→& 1.4142 (ひとよひとよにひとみごろ)\\[ 5pt ] \sqrt {3}&≒&1.7320508 &→& 1.7321 (ひとなみにおごれや)\\[ 5pt ] \sqrt {5}&≒&2.2360679 &→& 2.2361 (ふじさんろくおーむなく)\\[ 5pt ] \pi &≒&3.14159265 &→& 3.1416 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

ご提示頂いた例で計算しますと,有効数字3桁では,
\[
\begin{eqnarray}
\frac {200}{\sqrt {3}}&≒&\frac {200}{1.73} \\[ 5pt ] &≒&115.6\cdots  → 116 \ \mathrm {[V]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。有効数字4桁では,
\[
\begin{eqnarray}
\frac {200}{\sqrt {3}}&≒&\frac {200}{1.732} \\[ 5pt ] &≒&115.4\cdots → 115 \ \mathrm {[V]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。有効数字5桁では,
\[
\begin{eqnarray}
\frac {200}{\sqrt {3}}&≒&\frac {200}{1.7321} \\[ 5pt ] &≒&115.46\cdots → 115 \ \mathrm {[V]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。

あと余裕があれば,力率の計算の際に以下の数値も覚えておくと時間短縮に繋がります。
\[
\begin{eqnarray}
\sqrt {1-0.95^{2}}&≒&0.31225\\[ 5pt ] \sqrt {1-0.9^{2}}&≒&0.43589\\[ 5pt ] \sqrt {1-0.85^{2}}&≒&0.52678\\[ 5pt ] \sqrt {1-0.8^{2}}&=&0.6\\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] 力率\(\cos \theta =0.95\)で有効電力\(P=200 \ \mathrm {[kW]}\)である時,無効電力\(Q \ \mathrm {[kvar]}\)を求めるには,
\[
\begin{eqnarray}
Q&=&P\tan \theta \\[ 5pt ] &=&P\frac {\sin \theta }{\cos \theta } \\[ 5pt ] &=&P\frac {\sqrt {1-\cos ^{2}\theta }}{\cos \theta } \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となり,
\[
\begin{eqnarray}
Q&=&P\frac {\sqrt {1-\cos ^{2}\theta }}{\cos \theta } \\[ 5pt ] &≒&200 \times \frac {\sqrt {1-0.95^{2} }}{0.95} \\[ 5pt ] &≒&200 \times \frac {\sqrt {1-0.9025 }}{0.95} \\[ 5pt ] &≒&200 \times \frac {\sqrt {0.0975 }}{0.95} \\[ 5pt ] &≒&200 \times \frac {0.31225}{0.95} \\[ 5pt ] &≒&65.737 → 65.7 \ \mathrm {[kvar]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] という計算が必要ですが,数値を記憶していれば,
\[
\begin{eqnarray}
Q&=&P\frac {\sqrt {1-\cos ^{2}\theta }}{\cos \theta } \\[ 5pt ] &≒&200 \times \frac {\sqrt {1-0.95^{2} }}{0.95} \\[ 5pt ] &≒&200 \times \frac {0.31225}{0.95} \\[ 5pt ] &≒&65.737 → 65.7 \ \mathrm {[kvar]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となり,計算時間の短縮に繋がります。



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