《電力》〈送電〉[H19:問3]架空送電線に設置するアークホーンに関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,架空送電線のアークホーンに関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる語句を解答群の中から選び,その記号をマークシートに記入しなさい。

架空送電線路では,腕金で電線を支持するために懸垂がいし連や長幹がいしを用いるが,一般に,このがいし連の\( \ \fbox {  (1)  } \ \)にアークホーンが設置されている。アークホーンを設置する主な目的は,落雷事故などにより絶縁破壊が生じ,支流アーク放電が続いた場合に,放電路が\( \ \fbox {  (2)  } \ \)を通らないようにすることである。この他にアークホーンを設置すると以下のような効果が得られる。

① 個々のがいしの電圧分担を\( \ \fbox {  (3)  } \ \)することができる。

② アークホーンの\( \ \fbox {  (4)  } \ \)を変えることによって送電線の絶縁を系統全体から見て適切な強度とする。また,\( \ \fbox {  (5)  } \ \)の低減効果を併せて期待する場合には,シールドリングを設置することがある。

〔問3の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 最小化       &(ロ)& 両 端     &(ハ)& 下端(電線側) \\[ 5pt ] &(ニ)& 間 隔     &(ホ)& 上端(腕金側)       &(ヘ)& がいしの表面 \\[ 5pt ] &(ト)& 均等化     &(チ)& がいしの内部     &(リ)& 直 径 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 大気中     &(ル)& コロナ放電     &(ヲ)& アーク放電 \\[ 5pt ] &(ワ)& 最大化     &(カ)& 抵 抗     &(ヨ)& グロー放電 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

架空送電線に設置するアークホーンに関する問題です。
少し後半の空欄は発展的な内容もありますが,アークホーン自体は雷過電圧の対策として\( \ 3 \ \)種でも学習する内容なので,高得点を目指したい問題です。

1.アークホーン
アークホーンは,図1に示すように,がいし連に並行して取り付け直撃雷等の過電圧を放電させる際にがいしを損傷させることがないように設けるギャップのことをいいます。
がいしは通常送電線を絶縁するために設けられますが,過電圧発生の際は発変電所等への侵入を防止するためにフラッシオーバを許容させる設計を行います。その際にがいし連の表面を通過してしまうとがいしが損傷してしまうおそれがあるため,適切な間隔のアークホーンを設け,アーク放電を意図的に発生させがいしを保護します。
また,複数の碍子を直列に接続すると,各碍子に加わる電圧が碍子周囲の電界分布等によって不均一になるため,アークホーンを設けることで個々のがいしの電圧分担を均等化させる役割もあります。

【解答】

(1)解答:ロ
題意より,解答候補は(ロ)両端,(ハ)下端(電線側),(ホ)上端(腕金側),になると思います。
ワンポイント解説「1.アークホーン」の通り,アークホーンはがいし連の両端に設置されます。

(2)解答:ヘ
題意より,解答候補は(ヘ)がいしの表面,(チ)がいしの内部,(ヌ)大気中,になると思います。
ワンポイント解説「1.アークホーン」の通り,アークホーンの設置目的は,落雷事故などにより絶縁破壊が生じ,支流アーク放電が続いた場合に,放電路ががいしの表面を通らないようにするためとなります。

(3)解答:ト
題意より,解答候補は(イ)最小化,(ト)均等化,(ワ)最大化,になると思います。
ワンポイント解説「1.アークホーン」の通り,アークホーンを設置することで個々のがいしの電圧分担を均等化することができます。

(4)解答:ニ
題意より,解答候補は(ニ)間隔,(リ)直径,(カ)抵抗,になると思います。
ワンポイント解説「1.アークホーン」の通り,アークホーンは間隔を変えることによって送電線の絶縁強度を調整することが可能です。

(5)解答:ル
題意より,解答候補は(ル)コロナ放電,(ヲ)アーク放電,(ヨ)グロー放電,になると思います。
超高圧系統の場合には,電線の表面から生じる電界が空気の絶縁耐力を超えコロナ放電という放電が発生する可能性があるため,アークホーンにシールドリングを設置して表面の電界を均一にしコロナ放電の低減を期待することがあります。



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