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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
次の文章は,再生可能エネルギー電源に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。
太陽光発電は,自然エネルギー源である太陽光のエネルギーを太陽電池によって電力に変換するものである。住宅用\( \ \fbox { (1) } \ \)太陽光発電モジュールの変換効率の最高値は\( \ 20 \ % \ \)程度(2014年)である。また,その設備利用率は,夜間は発電できず,また曇りや雨では出力は低下するので,我が国では平均すると\( \ \fbox { (2) } \ % \ \)程度である。
一方,風力発電は,風力によって風車をとおして発電機を回し電力を発生するものである。風のエネルギーは,風速の\( \ \fbox { (3) } \ \)乗に比例し,定格出力までは風力発電の出力もほぼ風速の\( \ \fbox { (3) } \ \)乗に比例した出力が得られる。我が国の風力発電の設備利用率は,風況によっても異なるが陸上風力の平均は\( \ 20 \ % \ \)程度である。
太陽光発電や風力発電は,自然条件によってその出力が変動するが,広い地域にわたってその出力を合計すれば,\( \ \fbox { (4) } \ \)によって,変動周期の短い成分は小さくなる。
これに対し,地熱発電では,地中に貯留されている\( \ \fbox { (5) } \ \)を用いるので,自然条件による大きな出力の変動はみられない。このため,設備利用率は太陽光発電や風力発電に比べ高くなる。
〔問6の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 熱水や蒸気 &(ロ)& 色素増感 &(ハ)& 20~30 \\[ 5pt ]
&(ニ)& 微分効果 &(ホ)& ならし効果(平滑化効果) &(ヘ)& 5~10 \\[ 5pt ]
&(ト)& 2 &(チ)& メタンハイドレート &(リ)& 4 \\[ 5pt ]
&(ヌ)& 積分効果 &(ル)& マグマ &(ヲ)& 10~15 \\[ 5pt ]
&(ワ)& 3 &(カ)& 結晶シリコン &(ヨ)& 薄膜シリコン
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
各新エネルギー発電の概要に関する問題です。近年の再生可能エネルギーの普及に伴い,かなりの頻度で出題される傾向にありますので,電験の参考書にプラスして別の本を購入しても良いかもしれません。
1.風力発電の出力と風速の関係
風速を\( \ v \ \mathrm {m/s} \ \),空気の密度を\( \ \rho \ \mathrm {kg/m^{3}} \ \),風車の受風面積を\( \ A \ \mathrm {m^{2}} \ \)とすると,単位時間あたりに通過する空気の質量\( \ m \ \mathrm {kg} \ \)は,
\[
m=\rho A v
\]
となるから,単位時間あたりの風のエネルギー\( \ P \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
P&=&\frac {1}{2}mv^{2} \\[ 5pt ]
&=&\frac {1}{2}\rho A v^{3} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となり,風力発電の出力は風速の3乗に比例します。
【解答】
(1)解答:カ
題意より,解答候補は(カ)結晶シリコン,(ヨ)薄膜シリコン,になると思います。太陽光発電では据付面積やコストメリット等により単結晶シリコンもしくは多結晶シリコンを使い分けますが,いずれにしても結晶シリコンを使用します。
(2)解答:ヲ
題意より,解答候補は(ハ)20~30,(ヘ)5~10,(ヲ)10~15,になると思います。設備利用率は晴天率や日射量等により決まり,場所によっては20%を超える場所もあるかもしれませんが,全体としては10~15%程度となっています。
(3)解答:ワ
ワンポイント解説「1.風力発電の出力と風速の関係」の通り,風のエネルギーは風速の3乗に比例します。
(4)解答:ホ
題意より,解答候補は(ニ)微分効果,(ホ)ならし効果(平滑化効果),(ヌ)積分効果,になると思いますが,広い地域にわたってその出力を合計すれば,全体の変動周期は小さくなることをならし効果(平滑化効果)と言います。
(5)解答:イ
題意より,解答候補は(イ)熱水や蒸気,(チ)メタンハイドレート,(ル)マグマ,になると思いますが,地熱発電は熱水や蒸気により発電するものです。メタンハイドレートは海底にある次世代燃料の候補の一つです。