《電力・管理》〈電気施設管理〉[H26:問6]電気工作物の保全に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

電気工作物の保全について,次の問に答えよ。

(1) 電気工作物の保全について,技術的見地からその必要性(目的)について述べよ。

(2) 保全方式は,事後保全(CM:Corrective Maintenance)と予防保全(PM:Preventive Maintenance)に大別される。

a.事後保全方式について説明せよ。

b.予防保全方式のうち,定期保全方式について説明せよ。

c.予防保全方式のうち,予知保全(状態監視保全)方式を採用する利点(メリット)を二つ述べよ。

【ワンポイント解説】

この論説問題は何かしら書けば部分点を取得できると思います。わかる範囲で記載するようにすれば,計算問題より解答時間もかからないので選択して良い問題であると思います。

【解答】

(1)電気工作物の保全について,技術的見地からその必要性(目的)
(ポイント)
・電気事業法の第1条や第39条等の条文を理解しているかを問うような問題であると思います。条文をよく理解しておくようにしましょう。

<電気事業法第1条>
この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによつて、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによつて、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする。

<電気事業法第39条>

事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。

2 前項の主務省令は、次に掲げるところによらなければならない。

一 事業用電気工作物は、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること。

二 事業用電気工作物は、他の電気的設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えないようにすること。

三 事業用電気工作物の損壊により一般送配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。

四 事業用電気工作物が一般送配電事業の用に供される場合にあつては、その事業用電気工作物の損壊によりその一般送配電事業に係る電気の供給に著しい支障を生じないようにすること。

(試験センター解答例)
電気工作物の故障等の発生により,公共の安全や電力の安定供給等が脅かされるので,常に法令で定める技術基準に適合するよう,その性能等を維持すると共に,事故の未然防止を図ることが必要であり,それが保全の目的となる。

(2)a.事後保全方式について説明
(ポイント)
・比較的重要度が低い設備等で行われる方法で,部品が簡単に手に入るものや故障により電気供給に支障がないものに採用される方式です。

(試験センター解答例)
故障停止又は著しい性能低下に至ってから修理を行う保全方式であり,通常事後保全と緊急保全とに管理上,分類できる。

(2)b.予防保全方式のうち,定期保全方式について説明
(ポイント)
・重要な設備について壊れる前に部品交換を行ったり,点検を行ったりします。
・電力会社では定期点検として,何年か一度に一定期間設備を停止して,部品交換や補修を行います。

(試験センター解答例)
従来の経験又は,その電気工作物の特性から一定期間の周期を定めて点検を行い,定期的に分解・清掃又は部品交換や補修を行い,突発事故を未然に防ぐ保全方式をいう。

(2)c.予防保全方式のうち,予知保全(状態監視保全)方式を採用する利点(メリット)を二つ
(ポイント)
・運転状態を監視をしながら保全を行うので,そのメリットを想像して解答すれば概ね二つ程度は思い浮かぶと思います。

(試験センター解答例)
① 機器・設備の劣化状態等を把握できるので,無駄な交換が不要となり,保全費用を低減できる。
② 機器・設備の異常兆候の早期発見や予測などが可能であり,機器の故障やシステム停止を未然に防止できる。
③ 機器の劣化による機能低下を検知することができ,システムの機能及び性能の低下を防止できる。



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