《電力・管理》〈変電〉[R02:問2]電力系統の保護リレーシステムの構成及びその特徴に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

保護リレーシステムは,電力系統の状態を把握する計器用変成器,そこから得られる情報をもとに事故を検出して事故除去指令を出す保護リレー,指令を受けて事故点を切り離す遮断器の,三つにより構成される。これらに関して,次の(1)~(3)のそれぞれに対し,\( \ 100 \ \)字程度で簡潔に述べよ。

(1) 計器用変成器の役割について説明し,計器用変成器のうち最も代表的なものを二つ挙げよ。また,計器用変成器の比誤差\( \ \varepsilon \ \mathrm {[%]} \ \)を,公称変成比\( \ K_{\mathrm {n}} \ \),真の変成比\( \ K \ \)を用いた式で表せ。

(2) 保護リレーが電力系統を的確に保護するために具備すべき条件のうち,信頼性について説明せよ。

(3) 一般に\( \ 77 \ \)又は\( \ 66 \ \mathrm {kV} \ \)系統に使用される遮断器の定格遮断時間を,サイクル数で答えよ。また,遮断器において保護リレーからの事故除去指令を受ける箇所の名称を答え,あわせて同箇所が持つ引外し自由(トリップフリー)の機能と目的について説明せよ。

【ワンポイント解説】

保護リレーシステムに関する問題です。
\( \ 1 \ \)種では出題の多い保護リレーシステムですが,\( \ 2 \ \)種でも取り扱うようになったかなぁという印象です。
ただ,本問に関しては設備を取り扱っている方だと常識的な内容が多いので,実務で取り扱っている方は満点近く取れた可能性があります。
(1)や(2)に関してはやや易しい部類の問題となるので,確実にここを得点できるかどうかが合否の分かれ目になるかと思います。特に(2)に関しては,ある程度解答の幅が広い問題なので,適切なことが記載されていれば加点してもらえると思います。

1.測定値の誤差率と補正率
ある値を測定するとき,真の値\( \ T \ \)と測定機器による測定値\( \ M \ \)には誤差\( \ \varepsilon \ \)があり,誤差率を\( \ %\varepsilon \ \)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
\varepsilon &=&M-T \\[ 5pt ] %\varepsilon &=&\frac {M-T}{T}\times 100 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。また,補正\( \ \alpha \ \)及び補正率を\( \ %\alpha \ \)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
\alpha &=&T-M \\[ 5pt ] %\alpha &=&\frac {T-M}{M}\times 100 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。

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【解答】

(1)計器用変成器の役割,代表的なもの,比誤差\( \ \varepsilon \ \mathrm {[%]} \ \)
(ポイント)
・計器用変成器は,高電圧や大電流を計測器や保護機器の動作に適した電圧もしくは電流に変成するものをいいます。
・計器用変成器は計器用変圧器\( \ \mathrm {VT} \ \)と変流器\( \ \mathrm {CT} \ \)が代表的です。
・比誤差はワンポイント解説「1.測定値の誤差率と補正率」の知識が必要です。

(試験センター解答)
・役割:計器用変成器は,保護リレーや計器を高圧回路から絶縁し,電流や電圧を適当な大きさに小さく変成して継電器や計器に与えること。
・最も代表的な変成器:\( \ \mathrm {CT} \ \)(変流器),\( \ \mathrm {VT} \ \)(計器用変圧器)。
・比誤差 は次式で表される。
\[
\begin{eqnarray}
\varepsilon &=&\frac {K_{\mathrm {n}}-K}{K}\times 100 \mathrm {[%]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

(2)保護リレーが電力系統を的確に保護するために具備すべき条件のうち,信頼性
(ポイント)
・保護継電器は,故障を速やかに検知して故障箇所のみを切り離すための制御信号を出す機器です。
・故障時に確実に動作することと,正常時に動作しないことが求められます。
・保護継電器自体もメンテナンスの頻度が少なく,信頼性が高いことが求められます。

(試験センター解答例)
・保護区間内部の事故に対してのみ正動作し,誤不動作をしないこと。
・保護区間外部の事故に対しては正不動作し,誤動作をしないこと。
・点検や自動監視を行うこと。
・故障率が低いこと。
・冗長化されていること。

(3)遮断器の定格遮断時間を,サイクル数,事故除去指令を受ける箇所の名称と引外し自由(トリップフリー)の機能と目的
(ポイント)
・やや専門性の強い内容ですが,\( \ 77 \ \)又は\( \ 66 \ \mathrm {kV} \ \)系統に使用される遮断器の定格遮断時間は\( \ 5 \ \)サイクル及び\( \ 3 \ \)サイクル,すなわち\( \ 0.05~0.1 \ \)秒程度です。
・トリップフリーとは,遮断器の安全性を確保するために,引外しコイルと投入コイルが同時に\( \ \mathrm {ON} \ \)したときに開放動作を優先する機能です。

(試験センター解答例)
・\( \ 5 \ \)サイクル及び\( \ 3 \ \)サイクル。
・引外しコイル。(トリップコイル,\( \ \mathrm {TC} \ \)も可)
・引外しコイルと投入コイルが同時に付勢されたとしても,投入動作と無関係に自由に引外される機能のこと。投入操作と事故が同時に発生した場合に開放を優先し,投入・開放を繰り返さないことにより遮断器の損傷・大事故を防ぐ目的で用いられる。



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