《電力・管理》〈配電〉[H30:問4]地中配電系統に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

地中配電系統の特徴に関して,次の問に答えよ。

(1) 架空配電系統と比較したとき、地中配電系統のメリットとデメリットをそれぞれ二つずつ述べよ。

(2) 地中配電系統の供給方式のうち本線予備線方式(常用予備切換方式ともいう)とスポットネットワーク方式について,常時供給している配電線路内に事故が生じた際の需要設備側の応動(操作又は自動切り換え,保護装置)を含め,それぞれ概要を述べよ。

【ワンポイント解説】

(1)が易しめの問題,(2)が標準的な問題です。ある程度の部分点が取れそうな問題なのであまり点数差がつかないかもしれません。どちらも一次試験,二次試験問わず頻出の内容となりますので,よく理解するようにしましょう。

1.本線予備線方式
図1のように,異なる配電線に2回線接続し,一方を常用,もう一方を予備とする方式です。配電線の事故時等には予備側に切り換えが必要ですが,一旦停電させる必要があります。

2.スポットネットワーク方式
スポットネットワーク方式は図2のような系統で構成され,図を見れば明らかなように,設備の構成が複雑で,信頼度が高くなります。以下のような特徴があります。
①信頼性が高い
②常時稼働率を高めることができる
③ネットワーク母線に高信頼度が求められる。
④プロテクタ遮断器でやや複雑なインタロック回路を構成する必要がある。 等

【解答】

(1)地中送電系統のメリットとデメリットをそれぞれ二つずつ
(ポイント)
・地上と地下の違いを頭の中でイメージすれば比較的メリットデメリットが出てくると思います。
・解答以外にもメリットとして,同一ルートに多条布設が可能や,通信線への誘導障害がない等があります。
・解答以外のデメリットとしては,工期が長いや静電容量が大きいため充電電流が大きくなる等があります。

(試験センター解答例)
(メリット)
都市の美観が向上する。
同一ルートにケーブルを多数条施設可能なため,都市部など高需要密度地域への供給が可能となる。
暴風雨,雷,火災などの災害に対して信頼性が向上する。
設備の安全性が向上する。 など

(デメリット)
建設費が高額
新設や増設など需要変動への即応が困難
事故復旧・改修に時間がかかる。 など

(2)本線予備線方式(常用予備切換方式ともいう)とスポットネットワーク方式についての概要
(ポイント)
・ワンポイント解説の通りです。

(試験センター解答)
本線予備線方式は,\(2\)回線の異なる配電線に接続し,停電時に常用予備切換をする方式である。通常あらかじめ定められた常用線から受電しているが,配電系統が事故停止した場合,需要家構内事故でないこと,及び予備線に電圧があることを条件に,受電用遮断器又は断路器を手動又は自動で切り換える。そのとき一定時間の停電を伴う欠点があるが,スポットネットワーク方式より簡単な設備構造となる。
スポットネットワーク方式は,一般的に\( \ 20 \ \mathrm {kV} \ \)級電源変電所から \(3\)回線の配電線から受電する方式であり,都市部の高層ビルや大工場等の大容量で高信頼度が求められる地域に適用される。このスポットネットワーク方式は受電用遮断器を省略し,変圧器の二次側にネットワークプロテクタを設置し,各種事故に対して事故区間を適確に切り離し,負荷には無停電で供給を行うことができる。したがって保護装置が複雑で建設費が高くなる一方,一次側配電線又は変圧器が事故停止しても,設備容量を常時供給する容量の\(1.5\)倍で設計しておけば残った設備により無停電で供給できるので,供給信頼性が高い。



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