《電力・管理》〈水力〉[R07:問1]水力発電所の水車・発電機の劣化診断技術に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★★★(難しい)

水力発電所の水車・発電機の劣化診断技術に関して,次の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に適当な語句を入れよ。

設備の機能を維持し,安定した運転を確保するためには,設備の状態把握や計画的な点検・修理を実施していく必要がある。水力発電所は一品一様の設計であることから,効果的な設備保全を行ううえで,点検時などに設備の劣化度合いを把握するための設備診断は重要であり,水質を含めた河川の状況や機器の\( \ \fbox {  (1)  } \ \)を踏まえて評価することが求められる。

水車の設備診断としては,\( \ \fbox {  (2)  } \ \)探傷検査\( \ \left( \mathrm {MT} \right) \ \),浸透探傷検査\( \ \left( \mathrm {PT} \right) \ \),\( \ \fbox {  (3)  } \ \)探傷検査\( \ \left( \mathrm {UT} \right) \ \)などの\( \ \fbox {  (4)  } \ \)検査がある。これらは,表面の欠陥をはじめとして,金属内部の欠陥について,欠陥の有無,欠陥がある場合は欠陥の\( \ \fbox {  (5)  } \ \)等を検査するものであり,従来から広く用いられてきた。特に欠陥の\( \ \fbox {  (5)  } \ \)が認められる場合には,検査間隔を短くするなどし,修理や取り換えの判断を行っている。

水車発電機の固定子巻線は経年使用すると絶縁性能が低下していくが,以下が主な原因として考えられる。
① (運転中の温度上昇による)熱的な劣化
② \( \ \fbox {  (6)  } \ \)(始動停止の繰り返し)による機械的な劣化
③ (サージ等による)\( \ \fbox {  (7)  } \ \)的な劣化
④ (吸湿・汚損などの)環境的な劣化

また,絶縁性能を確認する試験として,絶縁抵抗測定や誘電正接試験が代表的だが,それ以外に定期的に実施する一般的な試験として,以下が挙げられる。
Ⅰ 直流試験(直流電流試験又は直流吸収試験)は,巻線に直流電圧を印加し,\( \ \fbox {  (8)  } \ \)を測定することでコイル表面の汚損や吸湿の程度を調べる。\( \ \fbox {  (8)  } \ \)は漏れ電流の時間的増加の度合いを示し,この値が高いほど絶縁の状態が良いことを意味している。
Ⅱ 交流電流試験は,巻線に交流電圧を印加し,印加された電圧に対して流れる電流を測定し,電流値が急増する電圧や増加率を解析することで,コイル表面の汚損や吸湿の程度を調べる。
Ⅲ \( \ \fbox {  (9)  } \ \)試験は,交流電圧を印加し,発生するコロナ放電の電荷量を測定することで,絶縁部の\( \ \fbox {  (10)  } \ \),吸湿の程度を調べる。

【ワンポイント解説】

水車発電機の劣化診断技術である非破壊試験に関する問題です。
機械的非破壊試験は電験\( \ 1 \ \)種では出題されることもありましたが,\( \ 2 \ \)種での出題はあまり見たことがないので,受験生にとっては非常に厳しい問題であったかと思います。
このような問題を見た際には慌てずにほとんどの受験生はわからないという気持ちを持って臨むと良いでしょう。

1.機械的非破壊試験
水車においてランナ,主軸,ケーシング,ガイドベーン等の曲がり部やフランジ付け根部等,形状の変化が大きい場所や応力の大きい場所,溶接部等で,分解せずに内部の欠陥について,欠陥の有無とその進展度合いを診断します。発電機においては回転子の診断に用います。
以下のような非破壊試験があります。
磁粉探傷試験\( \ \left( \mathrm {MT} \right) \):磁場のある場所において磁粉が割れのある場所に集まる特性を利用し診断します。
浸透探傷試験\( \ \left( \mathrm {PT} \right) \):表面のきずに浸透する蛍光の液体を用いて診断します。
超音波探傷試験\( \ \left( \mathrm {UT} \right) \):超音波を内部に送り,反射波の波形で内部の欠陥を診断します。
放射線透過試験\( \ \left( \mathrm {RT} \right) \):\( \ \mathrm {X} \ \)線やガンマ線等の放射線を透過させ,内部の欠陥を撮影することで診断します。

2.電気的非破壊試験
発電機の固定子巻線においては,起動停止,負荷変化等のヒートサイクル,振動,サージ,吸湿・汚損,等の様々な機械的,熱的,電気的,環境的要因により複合的に絶縁性能が劣化していきます。
絶縁性能を確認する試験として,以下の非破壊試験があります。
1-1.直流試験
①絶縁抵抗測定
絶縁抵抗計を用いて電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗を測定します。定期点検時のみでなく日常保守点検の一環として用いる場合も多く,絶縁抵抗測定のみで診断を確定することは基本的にありません。

②直流電流試験
直流電流試験は,直流電圧を絶縁物に印加し,その時間特性を見て絶縁の劣化を判断します。絶縁体の絶縁抵抗は充電電流の増加が伴う値なので,印加電圧時間が長ければ長いほど上昇していき,その特性を利用して,成極指数と呼ばれる\( \ 10 \ \)分間値/\( \ 1 \ \)分間値を用いて判断します。成極指数は高ければ高いほど良いですが,\( \ 1.5 \ \)以上ならば良,それ以下だと注意と判断します。

1-2.交流試験
①誘電正接試験
絶縁物に交流電圧を印加すると,劣化がなければほぼ\( \ \displaystyle \frac {\pi }{2} \ \mathrm {[rad]} \ \)だけ進んだ電流となりますが,絶縁劣化してくると抵抗分が増えます。すなわち等価回路で描くと図1のようになり,そのベクトル図は図2のようになります。この\( \ \displaystyle \frac {I_{\mathrm {R}}}{I_{\mathrm {C}}} \ \)の比が誘電正接\( \ \tan \delta \ \)と呼ばれ,絶縁劣化すると誘電正接の値が上昇していきます。

②交流電流試験
絶縁物に交流電圧を印加すると,一般的にはオームの法則により電圧と電流は比例しますが,印加電圧をさらに大きくするとコロナが発生し,電流値が非直線的に急上昇する点が発生します。その急増した点の電圧や変換率等を見て絶縁劣化度合いを判断します。

③部分放電試験
絶縁体の中のボイドの発生を診断する試験で,ボイドがある場合にはボイド部の方が誘電率が小さいため電界が集中し,電圧を大きくしていくとボイド部が先に放電します。したがってその特性を利用し,最大放電電荷量から部分放電を検出し,絶縁部の劣化状態を判定しようとする試験となります。

【解答】

\( \ (1) \ \):運転状況(運転時間,状態など)

\( \ (2) \ \):磁粉

\( \ (3) \ \):超音波

\( \ (4) \ \):非破壊

\( \ (5) \ \):進展性(進行性など)

\( \ (6) \ \):ヒートサイクル

\( \ (7) \ \):電気(課電)

\( \ (8) \ \):成極指数\( \ \left( \mathrm {P.I} \right) \ \)

\( \ (9) \ \):部分放電(コロナ)

\( \ (10) \ \):隙間(空隙,ボイドなど)



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