《電力》〈送電〉[R02:問2]架空送電線路への落雷による影響やその対策に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★☆☆☆☆(易しい)

次の文章は,架空送電線路の雷害対策に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

架空送電線路の雷害対策として,送電線への\( \ \fbox {  (1)  } \ \)を防止するために架空地線を設置することが有効である。架空地線の条数を増やせば,\( \ \fbox {  (2)  } \ \)は小さくなり,遮へい効率は向上する。架空地線や鉄塔に雷撃が生じると,雷撃電流は鉄塔を通して大地に流れる。これによって鉄塔の\( \ \fbox {  (3)  } \ \)が上昇し,がいし連の絶縁耐力を超えると鉄塔から電力線に\( \ \fbox {  (4)  } \ \)が発生する。これを防止するためには,塔脚の接地抵抗を小さくする必要があり,棒状の接地電極を埋め込むが土壌の性質によっては\( \ \fbox {  (5)  } \ \)を設けたりする。

〔問2の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 電磁誘導電流     &(ロ)& 逆フラッシオーバ     &(ハ)& 抵抗 \\[ 5pt ] &(ニ)& 混触     &(ホ)& アーマロッド     &(ヘ)& 結合係数 \\[ 5pt ] &(ト)& 電流     &(チ)& 遮へい角      &(リ)& 電位 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 直撃雷     &(ル)& アークホーン     &(ヲ)& 正フラッシオーバ \\[ 5pt ] &(ワ)& インパルス     &(カ)& 埋設地線     &(ヨ)& 誘導雷 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

\( \ 3 \ \)種の頃から定番となっている,落雷対策に関する問題です。
非常に出題頻度が高く,二次試験の論説問題でも出題される可能性がある問題です。
かなりの受験生が完答してくると思うので,確実に理解するようにして下さい。

1.架空地線
<架空地線の役割>
架空地線は電線の上部、主に鉄塔の一番上に設ける裸電線で,以下のような役割があります。
①送電線への直撃雷を防止する。
②誘導雷(雷雲の電荷により反対の電荷が電線に現れ,落雷により雷雲の電荷がなくなるために電線で大きな電荷の移動が起こる現象)を軽減する。
③通信線への電磁誘導障害を軽減する。

<架空地線落雷時の対策>
架空地線や鉄塔に落雷した際の逆フラッシオーバに対する対策として,以下のような対策が取られます。
①埋設地線で鉄塔と大地の接地抵抗を小さくする。
②アークホーンでがいしの損傷を防止する。(逆フラッシオーバ自体の対策ではありません。)
③2回線送電線におけるがいしの連結個数に差をつけて,両回線同時事故を防ぐ。

【解答】

(1)解答:ヌ
題意より解答候補は,(イ)電磁誘導電流,(ニ)混触,(ヌ)直撃雷,(ヨ)誘導雷,等になると思います。
ワンポイント解説「1.架空地線」の通り,架空地線は直撃雷をはじめ,誘導雷や電磁誘導障害にも効果がありますが,防止の観点から見ると直撃雷が最も適切かと思います。

(2)解答:チ
題意より解答候補は,(イ)電磁誘導電流,(ハ)抵抗,(ヘ)結合係数,(ト)電流,(チ)遮へい角,(リ)電位,等になると思います。
図1に示すような架空地線を2本距離を離して配置すれば,遮へい角が小さくなるので,遮へい効率は上昇することになります。

(3)解答:リ
題意より解答候補は,(ハ)抵抗,(ト)電流,(リ)電位,等になると思います。
図1のように,架空地線に落雷すると,鉄塔の電位が上昇し,がいし連の絶縁耐力を超えると鉄塔から送電線側に電流が侵入してしまいます。

(4)解答:ロ
題意より解答候補は,(ロ)逆フラッシオーバ,(ニ)混触,(ヲ)正フラッシオーバ,になると思います。
鉄塔から送電線側に電流が侵入してしまうことを逆フラッシオーバといいます。がいしの絶縁耐力を超えて送電線から鉄塔に電流が流れることをフラッシオーバといいます。

(5)解答:カ
題意より解答候補は,(ホ)アーマロッド,(ル)アークホーン,(カ)埋設地線,になると思います。
ワンポイント解説「1.架空地線」の通り,鉄塔の塔脚に設置し電荷を大地に逃がす線を埋設地線といいます。アーマロッドは振動の吸収と電線の補強を行うもの,アークホーンは図1のようにがいしを保護するものです。



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