《電力》〈水力〉[R01:問1]水力発電所で使用するペルトン水車に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,ペルトン水車に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

ペルトン水車はノズルから流出するジェットをランナに作用させるものである。ランナはジェットを受ける\( \ \fbox {  (1)  } \ \)とその取付部である\( \ \fbox {  (2)  } \ \)とからなる。ノズルは水圧管につながり,これによって水の圧力水頭を速度水頭に変え,この水をジェットとして\( \ \fbox {  (1)  } \ \)に作用させる。ノズルでは,負荷に応じて使用水量を調整するため,ノズル内に\( \ \fbox {  (3)  } \ \)を設け,これを動かしてジェットの断面積を変える。水車の負荷が急激に減少したときは,\( \ \fbox {  (4)  } \ \)で\( \ \fbox {  (1)  } \ \)にあたるジェットをそらせておいて,徐々に\( \ \fbox {  (3)  } \ \)を閉じ,水圧管内の水圧上昇をできるだけ抑える。

水車を停止する場合,回転の逆方向から\( \ \fbox {  (1)  } \ \)の背面に少量の噴射水をあててブレーキ作用させる\( \ \fbox {  (5)  } \ \)を備えている。

〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& ディスク     &(ロ)& ケーシング     &(ハ)& ガイドベーン \\[ 5pt ] &(ニ)& スルース弁     &(ホ)& ジェットブレーキ     &(ヘ)& ドラム \\[ 5pt ] &(ト)& 制圧機     &(チ)& バケット      &(リ)& ピッチサークル \\[ 5pt ] &(ヌ)& ガバナ     &(ル)& ニードル弁     &(ヲ)& ノズルブレーキ \\[ 5pt ] &(ワ)& デフレクタ     &(カ)& ロータリ弁     &(ヨ)& ドラムブレーキ \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

ペルトン水車の構造に関する知識を問う問題です。各部の名称や非常停止時の動作等3種の頃より若干内容に深堀りがあると思いますので理解しておくようにしましょう。

1.ペルトン水車
 ペルトン水車は下図に示すように主にノズル,ニードル,ランナ等から構成され,ノズルから水を噴射し,ランナを回転させます。水量は主にニードルで調整します。水車の分類としては衝動水車となります。


出典:長野県HP

【用語の解説】

(イ)ディスク
ペルトン水車で実際に回転する場所でワンポイント解説「1.ペルトン水車」の図の通り円盤に見えるのでディスクと呼ばれます。ランナとも呼ばれ,水力発電ではこちらの方がポピュラーな呼び名と言えると思います。

(ロ)ケーシング
フランシス水車等の反動水車において,ガイドベーンに水を導くための水路を呼びます。

(ハ)ガイドベーン
反動水車で,流量を調整する案内羽根をガイドベーンと呼びます。

(ニ)スルース弁
一般的な仕切弁のことをスルース弁と呼びます。

(ホ)ジェットブレーキ
ペルトン水車等の衝動水車に設置されているブレーキで,回転方向と反対方向に水を噴射し水車を減速させます。

(ヘ)ドラム
汽力発電所のドラム式ボイラに設置されている物で,水と蒸気を分離させたり,給水に含まれるシリカを除去させる等の役割を果たします。

(ト)制圧機
事故等により,一気に入口の流入量を減少させると,水圧管内の圧力が一気に上昇します。制圧機は圧力が異常上昇しないように抑える役割があります。

(チ)バケット
ペルトン水車等の衝動水車でノズルから噴射された水を受ける場所となります。

(リ)ピッチサークル
自動車タイヤのボルトのように円形にボルトを付けていく際,どの程度の直径にするかを決めます。その時の直径をピッチサークルと呼びます。

(ヌ)ガバナ
火力発電でタービンの入口蒸気の流入量をコントロールする弁で,ガバナでコントロールすることをガバナフリー運転と呼びます。

(ル)ニードル弁
ペルトン水車の水の流入量を調整する弁です。

(ヲ)ノズルブレーキ
あまり聞いたことがない用語ですが,ジェットブレーキの誤答を誘う選択肢であると思います。

(ワ)デフレクタ
負荷遮断時,水量をニードル弁で急変させることが難しいため,水車回転数を異常上昇させないように,ランナから流入する水の方向を変えるためにデフレクタというものを設置します。

(カ)ロータリ弁
\( \ 90 \ ° \ \)回転させることで全開全閉をできる弁で,回転する部材がボールの形をしているので,ボール弁とも呼ばれます。

(ヨ)ドラムブレーキ
自動車等で採用されているブレーキの一種で,ディスクブレーキと比較されることが多いです。

【解答】

(1)解答:チ
題意より解答候補は,(イ)ディスク,(ロ)ケーシング,(ヘ)ドラム,(チ)バケット,(ワ)デフレクタ等になると思います。ジェットを受ける場所はバケットと呼ばれます。

(2)解答:イ
題意より解答候補は,(イ)ディスク,(ロ)ケーシング,(ヘ)ドラム,(チ)バケット,(リ)ピッチサークル,(ワ)デフレクタ等になると思います。バケットの取付部はディスクと呼ばれます。

(3)解答:ル
題意より解答候補は,(ニ)スルース弁,(ル)ニードル弁,(カ)ロータリ弁になると思います。水量を調整する弁はニードル弁と呼びます。

(4)解答:ワ
題意より解答候補は,(イ)ディスク,(ロ)ケーシング,(ハ)ガイドベーン,(ヘ)ドラム,(チ)バケット,(ワ)デフレクタ等になると思います。水車の負荷が急激に減少したときにジェットをそらせる機器をデフレクタと呼びます。

(5)解答:ホ
題意より解答候補は,(ホ)ジェットブレーキ,(ヲ)ノズルブレーキ,(ヨ)ドラムブレーキになると思います。回転の逆方向からバケットの背面に少量の噴射水をあててブレーキ作用させる装置をジェットブレーキと呼びます。



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