《電力》〈火力〉[R04:問1]大容量タービン発電機に使用する水素冷却方式に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,水素冷却発電機に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

大容量タービン発電機の冷却方式には,冷却媒体に水素ガスを用いる水素冷却が多く採用されている。

水素冷却発電機は,空気冷却発電機に対して次の特徴がある。
 ① \( \ \fbox {  (1)  } \ \)が減少することで,発電機効率が向上する。
 ② 水素は\( \ \fbox {  (2)  } \ \)が大きいので,冷却効果が向上する。
 ③ 水素は空気より絶縁物に対して不活性であり,\( \ \fbox {  (3)  } \ \)が高いために,絶縁物の劣化が少ない。

一方,水素と空気の混合ガスは引火,爆発の危険があるので,これを防ぐため水素純度を\( \ \fbox {  (4)  } \ \)以上に維持すること,固定子枠を耐爆構造としなければならないこと,軸貫通部の水素漏れを防止するために軸受の内側に\( \ \fbox {  (5)  } \ \)制御装置を設ける必要があることなど,取り扱いも慎重にしなければならない。

〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 85 \ \mathrm {%}     &(ロ)& コロナ発生電圧       &(ハ)& 風損 \\[ 5pt ] &(ニ)& 電圧変動率     &(ホ)& 銅損     &(ヘ)& 75 \ \mathrm {%} \\[ 5pt ] &(ト)& ガス     &(チ)& 熱伝導率     &(リ)& 潜熱 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 90 \ \mathrm {%}     &(ル)& 冷却水     &(ヲ)& 鉄損 \\[ 5pt ] &(ワ)& 絶縁抵抗     &(カ)& 密封油     &(ヨ)& 膨張率 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

水素冷却発電機の特徴に関する問題です。
この問題のうち,できれば間違えたくないのは(1),(2),(5)で,(3)と(4)は火力専門の方で設備を扱っている方でないと少し厳しいかなという問題です。
したがって,この問題の場合は5つのうち3つの空欄を正答できれば十分合格圏内と言えるでしょう。

1.水素ガスの特徴
・水素は空気より密度が小さいため風損が少なく,効率が\( \ 0.5~1.0 \ \mathrm {%} \ \)程度上昇します。
・水素は空気より熱伝導率が高いため冷却効果が高く,発電機を小型化できます。
・水素は空気より不活性であり,コロナ発生電圧が高いため,コイルの絶縁寿命が長くなります。
・空気との混合で爆発範囲が\( \ 4~75 \ \mathrm {%} \ \)ととても大きいので,水素濃度監視に注意を要します。一般的には運転中の水素純度が\( \ 90 \ \mathrm {%} \ \)を下回った場合には警報が発信し,これ以上下回らないように維持されています。

【解答】

(1)解答:ハ
題意より解答候補は,(ハ)風損,(ホ)銅損,(ヲ)鉄損,になると思います。
ワンポイント解説「1.水素ガスの特徴」の通り,水素冷却発電機は風損が少ないという特徴があります。

(2)解答:チ
題意より解答候補は,(ニ)電圧変動率,(チ)熱伝導率,(ヨ)膨張率,になると思います。
ワンポイント解説「1.水素ガスの特徴」の通り,水素は空気より冷却効果が高い,すなわち熱伝導率が大きいので,冷却効果が向上します。

(3)解答:ロ
題意より解答候補は,(ロ)コロナ発生電圧,(リ)潜熱,(ワ)絶縁抵抗,になると思います。
ワンポイント解説「1.水素ガスの特徴」の通り,水素はコロナ発生電圧が高いという特徴があります。

(4)解答:ヌ
題意より解答候補は,(イ)\( \ 85 \ \mathrm {%} \ \),(ヘ)\( \ 75 \ \mathrm {%} \ \),(ヌ)\( \ 90 \ \mathrm {%} \ \),になると思います。
ワンポイント解説「1.水素ガスの特徴」の通り,爆発しないためには原理上水素純度は\( \ 75 \ \mathrm {%} \ \)以上あれば良いですが,運転管理上は\( \ 90 \ \mathrm {%} \ \)とするのが一般的となります。

(5)解答:カ
題意より解答候補は,(ト)ガス,(ル)冷却水,(カ)密封油,になると思います。
水素ガスが軸貫通部より漏れることを防ぐために,軸封部に常に潤滑油を供給し,密封油制御装置を設けます。



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