《法規》〈電気設備技術基準〉[R01:問6]分散型電源の高圧配電線との連系に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

次の文章は,分散型電源の高圧配電線との連系に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

太陽光発電,風力発電等の発電設備等の系統連系において,電力品質を確保するための技術要件が明らかにされている。一般的には,発電設備等の一設置者当たりの電力容量(連系する発電設備等の出力容量と受電電力の容量のいずれか大きい方)が原則として\( \ \fbox {  (1)  } \ \mathrm {kW} \ \)未満であり,以下に示す技術要件を満たす場合には,高圧配電線と連系することができる。
\[
\begin{array}{|l|l|}
\hline
1.力率 & 原則 \ 85 \ %以上とするとともに,系統側から見て \ \fbox {  (2)  } \ 力 \\
& 率とならないようにする。 \\
\hline
2.自動負荷   & 発電設備等の脱落時等に連系された配電線路や配電用変圧 \\
 制限 & 器等が過負荷となるおそれがあるときは,設置者において自動 \\
& 的に負荷を制限する対策を行う。 \\
\hline
3.逆潮流の & 当該発電設備等を連系する配電用変電所の \ \fbox {  (3)  } \ におい \\
 制限 & て,原則として逆向きの潮流が生じないようにする。 \\
\hline
4.電圧変動 & \mathrm {a} 発電設備等の脱落等又は発電設備等からの逆潮流により \\
&  \ \fbox {  (4)  } \ の電圧が適正値を逸脱するおそれがあるときは,設 \\
&  置者において,それぞれ自動的に負荷を制限する対策又は自 \\
&  動的に電圧を調整する対策を行う。 \\
& \mathrm {b} 瞬時電圧変動対策を行う。 \\
\hline
5.不要解列 & \mathrm {a} 連系された系統以外の事故時には解列されないと同時に, \\
 の防止 & 連系された系統から解列される場合には,自動再閉路時間よ \\
&  り短く,かつ単独運転か否かを判別できる適切な時限で行わ \\
&  れるものとする。 \\
& \mathrm {b} 系統の事故による広範囲の瞬時電圧低下や瞬時的な \\
&  \ \fbox {  (5)  } \ の変化があっても運転を継続するものとする。 \\
\hline
6.連絡体制 & 系統側電気事業者の営業所等と発電設備等設置者の技術員 \\
& 駐在箇所等との間には,保安通信用電話設備を設置するものと \\
& する。 \\
\hline
\end{array}
\]

〔問6の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 1 \ 000     &(ロ)& 進み     &(ハ)& 送電端 \\[ 5pt ] &(ニ)& 2 \ 000     &(ホ)& 周波数     &(ヘ)& 電力需給 \\[ 5pt ] &(ト)& フィーダー遮断器     &(チ)& 保護装置     &(リ)& 500 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 重負荷時     &(ル)& バンク     &(ヲ)& 低圧需要家 \\[ 5pt ] &(ワ)& 遅れ     &(カ)& 潮流     &(ヨ)& 異常な \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドラインからの出題です。分散型電源の内容は毎年出題されるようになりましたが,2種になるとまともに電気設備技術基準の解釈からの抜出し問題は出題してくれないようです。ある意味常識的な内容もあるので,電力や法規の知識を駆使してある程度解けるようにしましょう。

【解答】

(1)解答:ニ
電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン 第1章 総則 4.連系の区分 (2)高圧配電線との連系 に規定されている通り,\( \ 2000 \ \mathrm {[kW]} \ \)となります。

(2)解答:ロ
電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン 第2章 連系に必要な技術要件 第3節 高圧配電線との連系 1.力率 に規定されている通り,進み力率となります。

(3)解答:ル
電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン 第2章 連系に必要な技術要件 第3節 高圧配電線との連系 3.逆潮流の制限 に規定されている通り,バンクとなります。

(4)解答:ヲ
電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン 第2章 連系に必要な技術要件 第3節 高圧配電線との連系 4.電圧変動・出力変動 に規定されている通り,低圧需要家となります。

(5)解答:ホ
電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン 第2章 連系に必要な技術要件 第3節 高圧配電線との連系 5.不要解列の防止 に規定されている通り,周波数となります。

<電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン(抜粋)>
第1章 総則
4.連系の区分
(1)低圧配電線との連系
発電設備等の一設置者当たりの電力容量が原則として50kW未満の発電設備等は、第2章第1節及び第2節に定める技術要件を満たす場合には、低圧配電線と連系することができる。ただし、同期発電機・誘導発電機・二次励磁制御巻線形誘導発電機を用いた発電設備の連系(逆変換装置を介した連系を除く。)は、原則として逆潮流がない場合に限る。

(2)高圧配電線との連系
発電設備等の一設置者当たりの電力容量が原則として(1)2,000kW未満の発電設備等は、第2章第1節及び第3節に定める技術要件を満たす場合には、高圧配電線と連系することができる。

(3)スポットネットワーク配電線との連系
発電設備等の一設置者当たりの電力容量が原則として10,000kW未満の発電設備等は、第2章第1節及び第4節に定める技術要件を満たす場合には、スポットネットワーク配電線とスポットネットワーク受電方式により連系することができる。

(4)特別高圧電線路との連系
第2章第1節及び第5節に定める技術要件を満たす場合には、発電設備等を特別高圧電線路((3)に定めるスポットネットワーク配電線を除く。)と連6系することができる。ただし、35kV以下の特別高圧電線路のうち配電線扱いの電線路と連系する場合に限り、高圧配電線との連系に係る技術要件に準拠することができる。また、この場合、連系できる発電設備等の一設置者当たりの電力容量は原則として10,000kW未満とする。

第2章 連系に必要な技術要件
第3節 高圧配電線との連系
1.力率
高圧配電線との連系のうち、逆潮流がない場合の受電点の力率は、標準的な力率に準拠して85%以上とし、かつ系統側からみて(2)進み力率とはならないこととする。逆潮流がある場合の受電点の力率は、低圧配電線との連系の場合と同様に取り扱う。

2.自動負荷制限
発電設備等の脱落時等に連系された配電線路や配電用変圧器等が過負荷となるおそれがあるときは、発電設備等設置者において自動的に負荷を制限する対策を行うものとする。

3.逆潮流の制限
配電用変電所におけるバンク単位で逆潮流が発生すると、系統運用者において系統側の電圧管理面での問題が生ずるおそれがあることから逆潮流のある発電設備等の設置によって、当該発電設備等を連系する配電用変電所の(3)バンクにおいて、原則として逆潮流が生じないようにすることが必要である。ただし、当該発電設備等の設置によって、当該バンクに逆潮流が生じる場合は、系統側の電圧管理面で問題が生じないよう、当該発電設備等を連系する配電用変電所に設置されている電圧調整装置が逆潮流に対応できるような措置を講じることや、配電線に電圧調整装置を設置するなどの対策を行うものとする。

4.電圧変動・出力変動
(1)常時電圧変動対策
発電設備等を一般配電線に連系する場合においては、電気事業法第26条及び同法施行規則第38条の規定により、(4)低圧需要家の電圧を標準電圧100Vに対しては101±6V、標準電圧200Vに対しては202±20V以内に維持する必要がある。しかし、発電設備等が連系された場合には、解列による電圧低下等により系統側の電圧が適正値を維持できなくなる場合も考えられる。また、逆潮流有りの発電設備等が連系された場合には、系統側の電圧が上昇し適正値を維持できない場合も考えられる。電圧変動の程度は、負荷の状況、系統構成、系統運用、発電設備等の設置点や出力等により異なるため、個別に検討することが適切であるが、需要家への電気の安定供給を維持していくため、電圧変動対策が必要な場合には、以下に示す電圧変動対策のための装置を発電設備等設置者が設置するものとし、これにより対応できない場合には、配電線新設による負荷分割等の配電線増強を行うか、又は専用線による連系を行う。

① 一般配電線との連系であって、発電設備等の脱落等により(4)低圧需要家の電圧が適正値(101±6V、202±20V)を逸脱するおそれがあるときは、発電設備等設置者において自動的に負荷を制限する対策を行うものとする。

② 発電設備等からの逆潮流により(4)低圧需要家の電圧が適正値(101±6V、202±20V)を逸脱するおそれがあるときは、発電設備等設置者において自動的に電圧を調整する対策を行うものとする。

(2)瞬時電圧変動対策
発電設備等の連系時の検討においては、低圧の場合と同様、発電設備等の並解列時の瞬時電圧低下は常時電圧の10%以内とし、瞬時電圧低下対策を適用する時間は2秒程度までとすることが適当であることを前提として、以下のような対策を行うものとする。

① 同期発電機を用いる場合には、制動巻線付きのもの(制動巻線を有しているものと同等以上の乱調防止効果を有する制動巻線付きでない同期発電機を含む。)とするとともに自動同期検定装置を設置するものとし、二次励磁制御巻線形誘導発電機を用いる場合には、自動同期検定機能を有するものを用いるものとする。また、誘導発電機を用いる場合であって、並列時の瞬時電圧低下により系統の電圧が常時電圧から10%を超えて逸脱するおそれがあるときは、発電設備等設置者において限流リアクトル等を設置するものとする。なお、これにより対応できない場合には、同期発電機を用いる等の対策を行うものとする。

② 自励式の逆変換装置を用いる場合には、その構成(変圧器、フィルタ等)や並列方法によっては変圧器の励磁突入電流が流れ、また、系統と逆変換装置出力が同期していないと、並列時に大きな突入電流が流れる。したがって、この場合には、自動的に同期が取れる機能を有するものを用いるものとする。また、他励式の逆変換装置を用いる場合であっては、逆変換装置自身に突入電流を抑制する機能がない。したがって、並列時の瞬時電圧低下により系統の電圧が常時電圧から10%を超えて逸脱するおそれがあるときは、発電設備等設置者において限流リアクトル等を設置するものとする。なお、これにより対応できない場合には、自励式の逆変換装置を用いるものとする。

③ 再生可能エネルギー発電設備等を連系する場合であって、出力変動や頻繁な並解列による電圧変動(フリッカ等)により他者に影響を及ぼすおそれがあるときは、発電設備等設置者において電圧変動の抑制や並解列の頻度を低減する対策を行うものとする。なお、これにより対応できない場合には、配電線の増強等を行うか、一般配電線との連系を専用線による連系とするものとする。

(3)出力変動対策
再生可能エネルギー発電設備等を連系する場合であって、 出力変動により他者に影響を及ぼすおそれがあるときは、一般送配電事業者からの求めに応じ、発電設備等設置者において出力変化率制限機能の具備等の対策を行うものとする。

5.不要解列の防止
(1)保護協調
連系された系統以外の短絡事故等により系統側で瞬時電圧低下等が生ずることがあるが、連系された系統以外の事故時には、発電設備等は解列されないようにするとともに、連系された系統から発電設備等が解列される場合には、逆電力リレー、不足電力リレー等による解列を自動再閉路時間より短い時限、かつ、過渡的な電力変動による当該発電設備等の不要な遮断を回避できる時限で行うものとする。ここで、「不要な遮断を回避できる時限」とは、発電設備等を継続的に安定運転させるため、単独運転時の逆潮流と単独運転以外の一時的な逆潮流(構内の急激な負荷変動や連系された系統の電圧・周波数の変動によって起きる一時的な逆潮流)を判別できる時限のことをいう。

(2)事故時運転継続
発電設備等が、系統の事故による広範囲の瞬時電圧低下や瞬時的な(5)周波数の変化等により一斉に停止又は解列すると、系統全体の電圧や周波数の維持に大きな影響を与える可能性があるため、そのような場合にも発電設備等は運転を継続するものとする。

6.連絡体制
発電設備等設置者の構内事故及び系統側の事故等により、連系用遮断器が動作した場合等には、一般送配電事業者と発電設備等設置者との間で迅速かつ的確な情報連絡を行い、速やかに必要な措置を講ずることが必要である。このため、系統側電気事業者の営業所等と発電設備等設置者の技術員駐在箇所等との間には、保安通信用電話設備を設置するものとする。ただし、保安通信用電話設備は次のうちのいずれかを用いることができる。

① 専用保安通信用電話設備

② 電気通信事業者の専用回線電話

③ 次の条件を全て満たす場合においては、一般加入電話又は携帯電話等

ア.発電設備等設置者側の交換機を介さず直接技術員との通話が可能な方式(交換機を介する代表番号方式ではなく、直接技術員駐在箇所へつながる単番方式)とし、発電設備等の保守監視場所に常時設置されているものとすること。

イ.話中の場合に割り込みが可能な方式(キャッチホン等)とすること。

ウ.停電時においても通話可能なものであること。

エ.災害時等において当該電気事業者と連絡が取れない場合には、当該電気事業者との連絡が取れるまでの間発電設備等の解列又は運転を停止するよう、保安規程上明記されていること。



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