《法規》〈電気施設管理〉[H28:問6] 電力系統の不平衡状態に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,電力系統の不平衡状態に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

系統内の三相電流が不平衡となる原因は,主に電気炉,溶接機,交流式電気鉄道等の大型三相不平衡負荷,送電線三相インピーダンスの不平衡,送電線の断線・\( \ \fbox {  (1)  } \ \)などである。大型三相不平衡負荷の内\( \ \fbox {  (2)  } \ \)は極めて単相負荷容量が大きく,「電気設備技術基準の解釈」では電圧不平衡率の制限値が規定されており,計算式により計算した値が,変電所の受電点において\( \ \fbox {  (3)  } \ \)%以下であることとされている。

系統の不平衡状態によって発電機の温度上昇や,電力系統の保護装置の誤動作などの障害が出る。このうち同期発電機においては,\( \ \fbox {  (4)  } \ \)相電流が生じ,各相の端子電圧や電機子電流が不平衡となる。不平衡状態では電機子電流の\( \ \fbox {  (4)  } \ \)相電流により,回転子に過電流が流れる。この電流は主に回転子軸の表面,くさびや保護環の間を流れ,この部分を通る渦電流によって過熱され,せん断破壊を起こすことがある。このため,同期機においては\( \ \fbox {  (4)  } \ \)相電流の制限値が設けられている。
このように系統の不平衡状態では電気機器にも悪影響を及ぼすことから,対策として単相負荷を入れ替えて各相バランスを図ったり,不平衡負荷に\( \ \fbox {  (5)  } \ \)の大きい上位系統から供給するなどの方策がとられている。

〔問6の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 逆   &(ロ)& 三相短絡   &(ハ)& 交流式電気鉄道 \\[ 5pt ] &(ニ)& 10   &(ホ)& 溶接機   &(ヘ)& 正 \\[ 5pt ] &(ト)& 遮断容量       &(チ)& 3   &(リ)& 短絡容量 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 地 絡   &(ル)& リアクトル容量       &(ヲ)& 零 \\[ 5pt ] &(ワ)& 5   &(カ)& 電気炉   &(ヨ)& 脱 調
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

三相不平衡状態になると,逆相電流が発電機に流れ,これにより逆回転の磁束が発生します。逆回転なので,回転子から見ると2倍の周波数の電流が回転子の表面近くに流れ,これにより,固定子表面の過熱等の悪影響が発生します。

【解答】

(1)解答:ヌ
題意より,解答候補は(ロ)三相短絡,(ヌ)地絡,(ヨ)脱調,となりますが,系統内で三相電流が不平衡となる要因で多いのは(ヌ)地絡となります。

(2)解答:ハ
題意より,解答候補は(ハ)交流式電気鉄道,(ホ)溶接機,(カ)電気炉,となりますが,最も負荷容量が大きいのは(ハ)交流式電気鉄道です。

(3)解答:チ
題意より,解答候補は(ニ)\( \ 10 \ \),(チ)\( \ 3 \ \),(ワ)\( \ 5 \ \),となります。電気設備技術基準の解釈第212条に「交流式電気鉄道の単相負荷による電圧不平衡率は、変電所の受電点において\( \ 3 \ \)%以下であること。」と規定されています。

(4)解答:イ
題意より,解答候補は(イ)逆,(ヘ)正,(ヲ)零,となりますが,ワンポイント解説の通り,三相不平衡状態になると,相電流が発電機に流れます。

(5)解答:リ
題意より,解答候補は(ト)遮断容量,(リ)短絡容量,(ル)リアクトル容量,となりますが,不平衡状態に対する対策として最も適切なのは(リ)短絡容量となります。



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