《機械》〈照明〉[H27:問6]光源の”明るさ”に対応する専門的概念に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

次の文章は,”明るさ”に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

日常用語の”明るさ”は,非常に多様な意味をもち,文脈において対応する専門的概念が相当に異なっている。事柄を正しく表すためには,用語を正しく使う必要がある。

光によって生じる”明るさ”は,学術的には「ある面から発している光の強弱の見え方の基礎になる視感覚の属性」と定義され,主として関連する\( \ \fbox {  (1)  } \ \)は\( \ \fbox {  (2)  } \ \)である。すなわち,視対象における光の状態をいうのではなく,人が感じる効果(感覚量)を指している。

ある面の\( \ \fbox {  (2)  } \ \)は,その面のある方向への光度をその見かけの面積で割った値で与えられる。その絶対値が一定であっても,”明るさ”は,目の順応状態,周囲との対比などの視覚条件によって異なってくる。

視覚条件が一定な状態において,面から発するある方向への光度が同じ値である場合には,面の見かけの面積が大きいときと比較して,小さいときには\( \ \fbox {  (3)  } \ \)感じられる。また,どの方向から見ても面の\( \ \fbox {  (2)  } \ \)が等しく一様に見える面を\( \ \fbox {  (4)  } \ \)という。薄曇りの空がその代表例である。このような面は,その面の法線方向の光度\( \ I_{\mathrm {n}} \ \)に対して\( \ \theta \ \)方向の光度\( \ I (\theta ) \ \)は,
\[
I (\theta ) = I_{\mathrm {n}}\cdot \cos \theta
\] の関係があり,これを\( \ \fbox {  (5)  } \ \)の余弦法則という。

〔問6の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 照 度     &(ロ)& 均等拡散面      &(ハ)& 完全反射面 \\[ 5pt ] &(ニ)& 明るく     &(ホ)& 光束発散度     &(ヘ)& 物理量 \\[ 5pt ] &(ト)& ウィーン     &(チ)& 放射量     &(リ)& 変わらず同じに \\[ 5pt ] &(ヌ)& プランク     &(ル)& 暗 く     &(ヲ)& 正反射面 \\[ 5pt ] &(ワ)& ランベルト     &(カ)& 輝 度     &(ヨ)& 測光量 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

三種では逆二乗の法則を使用したような計算問題が多かったと思いますが,二種になると計算問題ではなく,内容を理解しているかを問う問題が出題されます。したがって,問題をたくさんこなせば解けてしまう三種の問題よりも難しいかもしれません。

【用語の解説】

(イ)照度
 光によって照らされた面の明るさを言い,単位は\( \ \mathrm {lx} \ \)(ルクス)を用います。光束(光の量)を照射面積で割ったものです。
(ロ)均等拡散面
 どの方向にも輝度の等しい光を出す面。どの方向から見ても明るさが等しい面。
(ハ)完全反射面
 入射した光が吸収・透過されずに完全に反射する面。
(ホ)光束発散度
 光源から発する単位面積あたりの光の量で,単位は\( \ \mathrm {lm/m^{2}} \ \)を用います。光束を光源の面積で割ったものになります。
(ト)ウィーン
 ウィーンの変位則と呼ばれ,ある完全放射体(黒体)の分光放射発散度が最大となる波長が絶対温度に反比例するという法則です。
(ヌ)プランク
 プランクの法則と呼ばれ,ある完全放射体(黒体)の波長の分布と温度の関係を示した法則です。
(ヲ)正反射面
 ある面の入射角と反射角が等しい面。
(ワ)ランベルト
 ある光源の法線方向の光度\( \ I_{\mathrm {n}} \ \)と\( \ \theta \ \)方向の光度\( \ I (\theta ) \ \)との関係が,\( \ I (\theta )=I_{\mathrm {n}}\cos \theta \ \)となる法則。
(カ)輝度
 ある方向から見た物体のまぶしさを表す指標で,単位は\( \ \mathrm {cd/m^{2}} \ \)を用います。光度をみかけの面積で割ったものとなります。

【解答】

(1)解答:ヨ
題意より,解答候補は(ヘ)物理量,(チ)放射量,(ヨ)測光量,となりますが,光の強弱の見え方は物理量や放射量のような絶対的なものではなく,測光量に近いものとなります。

(2)解答:カ
題意より,解答候補は(イ)照度,(ホ)光束発散度,(カ)輝度,となります。一つ目の空欄で感覚量となっているところと二つ目の空欄で光度をみかけの面積で割ったものとなっているので,解答は輝度となります。

(3)解答:ニ
題意より,解答候補は(ニ)明るく,(リ)変わらず同じに,(ル)暗く,となりますが,輝度は光度をみかけの面積で割ったものであり,みかけの面積が小さいときは輝度は大きくなります。

(4)解答:ロ
題意より,解答候補は(ロ)均等拡散面,(ハ)完全反射面,(ヲ)正反射面,となりますが,どの方向から見ても輝度が等しく一様に見える面を均等拡散面と言います。

(5)解答:ワ
題意より,解答候補は(ト)ウィーン,(ヌ)プランク,(ワ)ランベルト,となりますが,問題文の関係はランベルトの余弦法則と言います。



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