《機械》〈変圧器〉[H30:問5]変圧器の損失及び効率に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,変圧器の損失及び効率に関する記述である。文中の\(\fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

変圧器の全損失は無負荷損と負荷損の和で表される。無負荷損は変圧器の二次側を開放し,一次側に定格周波数,定格電圧を加えた無負荷試験において,一次側への入力電力を測定することにより得られる。無負荷損は\(\fbox {  (1)  }\)であると考えられる。\(\fbox {  (1)  }\)は磁界の交番により生じる損失であり,磁束密度が同一のとき,周波数にほぼ比例する\(\fbox {  (2)  }\)と周波数の\(2\)乗にほぼ比例する\(\fbox {  (3)  }\)とに分類される。

一方,負荷損は,二次側を短絡し,一次側に定格周波数の定格電流を流した短絡試験において,一次側への入力電力を測定することにより得られる。負荷損を測定したときの電圧は\(\fbox {  (4)  }\)とも呼ぶ。

変圧器の効率\(\eta \)は,二次出力\(P_{2}\)の一次入力\(P_{1}\)に対する比で表される。一次入力は二次出力と全損失\(P_{\mathrm {L}}\)の和で表されるから,全損失を測定又は算定すれば次式で効率が求められる。これを\(\fbox {  (5)  }\)効率という。
\[
\begin{eqnarray}
\eta &=& \frac {P_{2}}{P_{2}+P_{\mathrm {L}}}\times 100 \ \mathrm {[%]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

〔問5の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 標準   &(ロ)& 漂遊負荷損   &(ハ)& 定格電圧 \\[ 5pt ] &(ニ)& 銅損   &(ホ)& 鉄損   &(ヘ)& 規約 \\[ 5pt ] &(ト)& 理論   &(チ)& 基準   &(リ)& 誘電損 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 渦電流損    &(ル)& 風損   &(ヲ)& 機械損 \\[ 5pt ] &(ワ)& ヒステリシス損   &(カ)& インピーダンス電圧   &(ヨ)& 開放電圧 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

電験三種では無負荷損=鉄損と負荷損=銅損の組合せだけで良かったと思いますが,電験二種ではもう少し細かい区分けとその理解が必要となります。なぜ損失が発生するのか,どうして無負荷損と負荷損に分かれるのかまできちんと理解するようにしましょう。

1.変圧器の損失
1.無負荷損(鉄損)
1-1.ヒステリシス損\(W_{\mathrm {h}}\)
 交番磁界によって磁性体の磁区の向きが変化します。これに伴って発生するヒステリシス損と言い,以下の式で求められます。
\[
\begin{eqnarray}
W_{\mathrm {h}} &≒& K_{\mathrm {h}}fB_{\mathrm {m}}^{2} \\[ 5pt ] &=& K_{\mathrm {h}}^{\prime }\frac {V^{2}}{f} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] \[
\begin{eqnarray}
&&K_{\mathrm {h}},K_{\mathrm {h}}^{\prime }:比例定数, f:周波数 \\[ 5pt ] &&B_{\mathrm {m}}:最大磁束密度,V:電源電圧 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] したがって,\(B_{\mathrm {m}}\)一定の時\(W_{\mathrm {h}}\)は\(f\)に比例し,\(V\)一定の時\(W_{\mathrm {h}}\)は\(f\)に反比例します。

1-2.渦電流損\(W_{\mathrm {e}}\)
 鉄心内で交番磁界の磁束変化が起きると鉄心内に起電力が生じ渦電流が生じます。これに伴って発生する損失を渦電流損と言い,以下の式で求められます。
\[
\begin{eqnarray}
W_{\mathrm {e}} &≒& K_{\mathrm {e}}\left( tfB_{\mathrm {m}}\right) ^{2} \\[ 5pt ] &=& K_{\mathrm {e}}^{\prime }V^{2} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] \[
\begin{eqnarray}
&&K_{\mathrm {e}},K_{\mathrm {e}}^{\prime }:比例定数, f:周波数 \\[ 5pt ] &&B_{\mathrm {m}}:最大磁束密度,V:電源電圧,t:鉄板の厚さ \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] したがって,\(B_{\mathrm {m}}\)一定の時\(W_{\mathrm {h}}\)は\(f\)の\(2\)乗に比例し,\(V\)一定の時\(W_{\mathrm {h}}\)は\(f\)に関係なく一定となります。

2.負荷損
2-1.銅損\(W_{\mathrm {c}}\)
 変圧器の一次巻線及び二次巻線にて生じる抵抗損で,負荷の\(2\)乗に比例して増加します。

2-2.漂遊負荷損\(W_{\mathrm {e}}\)
 変圧器での漏れ磁束による損失で,銅損よりかなり小さい値のため,試験ではほぼ無視する場合が多いです。

【関連する「電気の神髄」記事】

  変圧器の無負荷損
  変圧器の負荷損
  変圧器の効率
 

【解答】

(1)解答:ホ
ワンポイント解説「1.変圧器の損失」の通り,無負荷損は鉄心で生じる鉄損のことを言います。

(2)解答:ワ
ワンポイント解説「1.変圧器の損失」の通り,磁束密度が同一のとき,周波数にほぼ比例するのはヒステリシス損となります。

(3)解答:ヌ
ワンポイント解説「1.変圧器の損失」の通り,磁束密度が同一のとき,周波数の\(2\)乗にほぼ比例するのは渦電流損となります。

(4)解答:カ
題意より,解答候補は(ハ)定格電圧,(カ)インピーダンス電圧,(ヨ)開放電圧になると思います。負荷損を測定したときの電圧は,一次側に定格電流を流した時の一次電圧なので,インピーダンス電圧と呼ばれます。

(5)解答:ヘ
題意より,解答候補は(イ)標準,(ヘ)規約,(ト)理論になると思います。問題の式により導出される効率は規約効率と言います。



記事下のシェアタイトル