《機械》〈パワーエレクトロニクス〉[H19:問10]無停電電源装置の構成と用途に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

図は無停電電源装置の回路構成の一例を示す。常時は,交流電源から整流回路を通して得た直流電力を\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)と呼ばれる回路\( \ \mathrm {B} \ \)で交流に変換して負荷に供給するが,交流電源が停電あるいは電圧低下した場合には,\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)の回路\( \ \mathrm {D} \ \)から半導体スイッチ及び回路\( \ \mathrm {B} \ \)を介して交流電力を供給する方式である。主にコンピュータシステムや\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)などの電源に用いられる。

運転状態によって直流電圧が変動するので,回路\( \ \mathrm {B} \ \)は\( \ \mathrm {PWM} \ \)制御などの電圧制御機能を利用して,出力に\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)の交流を得ることが一般的である。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) &  インバータ       &  二次電池  &  放送・通信用機器  &  定電圧・定周波数    \\
\hline
(2) &  \mathrm {DC / DC} \ コンバータ  &  一次電池  &  家庭用空調機器   &  定電圧・定周波数    \\
\hline
(3) &  \mathrm {DC / DC} \ コンバータ  &  二次電池  &  放送・通信用機器  &  可変電圧・可変周波数  \\
\hline
(4) &  インバータ       &  二次電池  &  家庭用空調機器   &  定電圧・定周波数    \\
\hline
(5) &  インバータ       &  一次電池  &  放送・通信用機器  &  可変電圧・可変周波数  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

無停電電源装置に関する問題です。
工場等では当たり前のように設けられている装置ですので,プラント等の業務に携わっている方は馴染みのある内容かと思います。
電験での出題はあまり多くありませんが,内容自体はそれほど難解ではないため,是非本問で理解しておくようにしましょう。

1.無停電電源装置\( \ \mathrm {\left( UPS \right)} \ \)
無停電電源装置の基本構成を図1に示します。
無停電電源装置はあらかじめ蓄えておいた電力を停電時や瞬時電圧低下時等に即時供給する目的で設置される装置です。コンピュータ制御機器等は瞬間的にも電圧が低下すると悪影響を及ぼす可能性があるため,このような無停電電源装置が設けられます。
図1に示すように,蓄電池は直流で充電するため,通常運転時は整流装置とインバータを介して負荷に電力が供給するのと同時に蓄電池に電力を蓄え,停電時には蓄電池からインバータを介して負荷に電力を供給します。
一般に図1の方式は浮動充電方式と呼ばれ,整流装置のスケールが大きくなってしまうデメリットがあることから,ごく短時間の停電が許容される場合には通常時は蓄電池専用の充電器を設け,スイッチ切換で電力を供給するスイッチ切換方式と呼ばれる方式が採用されることもあります。

【解答】

解答:(1)
(ア)
ワンポイント解説「1.無停電電源装置\( \ \mathrm {\left( UPS \right)} \ \)」の通り,直流電力を交流電力にする回路\( \ \mathrm {B} \ \)はインバータとなります。

(イ)
ワンポイント解説「1.無停電電源装置\( \ \mathrm {\left( UPS \right)} \ \)」の通り,回路\( \ \mathrm {D} \ \)は蓄電池すなわち二次電池となります。一般に充電できない乾電池のような電池を一次電池,充放電を繰り返すことができる電池を二次電池といいます。

(ウ)
無停電電源装置はコンピュータシステムや放送・通信用機器などの電源に用いられます。家庭用空調機器は停電し停止してもまたスイッチオンすれば大きな問題は発生しないことは想像つくかと思います。

(エ)
交流出力の負荷に求められるのは定電圧・定周波数の電力なので,回路\( \ \mathrm {B} \ \)は\( \ \mathrm {PWM} \ \)制御などの電圧制御機能を有しています。