【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,発光ダイオード\( \ \left( \mathrm {LED} \right) \ \)に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
発光ダイオード\( \ \left( \mathrm {LED} \right) \ \)は\( \ \fbox { (1) } \ \)による固体発光素子である。\( \ \mathrm {LED} \ \)は,他のダイオードと同様,\( \ \mathrm {p} \ \)形半導体と\( \ \mathrm {n} \ \)形半導体を接合させた構造をしている。この接合部に順方向の電流を流すことによって,接合部において電子と正孔の再結合が起こり,発光する。光の波長は電子と正孔のもつエネルギーの差が\( \ \fbox { (2) } \ \)。
\( \ \mathrm {LED} \ \)は基本的に単色光源であるので,\( \ \mathrm {LED} \ \)を使って照明用の白色光を得るにはいくつかの色の光を混ぜて人が白色と認識する光をつくる必要がある。その代表的な方法として,\( \ \fbox { (3) } \ \mathrm {LED} \ \)からの\( \ \fbox { (3) } \ \)光の一部を,\( \ \fbox { (4) } \ \)光を発生する蛍光体に照射し,そこから得られる\( \ \fbox { (4) } \ \)光に\( \ \mathrm {LED} \ \)からの\( \ \fbox { (3) } \ \)光が混ざることによって白色光を発生させる方法がある。このときの白色光のスペクトルの概略は\( \ \fbox { (5) } \ \)のようになる。
\( \ \mathrm {LED} \ \)を用いた白色照明ランプは,省エネ性に優れ,かつ寿命の長いランプとして,従来の白熱電球や蛍光ランプに替えて,普及が進みつつある。
〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 緑色 &(ロ)& 大きくても変わらない \\[ 5pt ]
&(ハ)& 黄色 &(ニ)& エレクトロルミネセンス \\[ 5pt ]
&(ホ)& 大きいほど短くなる &(ヘ)& 赤色 \\[ 5pt ]
&(ト)& 青色 &(チ)& 熱放射 \\[ 5pt ]
&(リ)& ホトルミネセンス &(ヌ)& 赤外 \\[ 5pt ]
&(ル)& 大きいほど長くなる &(ヲ)& 紫外 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
発光ダイオードと照明器具への活用に関する問題です。
電験3種平成25年機械科目問11に類題があるため,電験\( \ 3 \ \)種の過去問までカバーされている方であれば高得点を得られたのではないかと思います。
本問に出題されたように,\( \ 1 \ \)種対策として\( \ 2 \ \)種や\( \ 3 \ \)種の過去問を取り入れることも有効な対策の一つなので,ぜひ取り入れるようにして下さい。
1.\( \ \mathrm {LED} \ \)の発光原理
図1のように,\( \ \mathrm {pn} \ \)接合した半導体に順方向電圧をかけると,\( \ \mathrm {p} \ \)形半導体と\( \ \mathrm {n} \ \)形半導体の界面にて電子と正孔が再結合し発光します。
\( \ \mathrm {LED} \ \)の発光波長\( \ \lambda \ \mathrm {[nm]} \ \)は,禁制帯幅\( \ E_{\mathrm {g}} \ \mathrm {[eV]} \ \),プランクの定数\( \ h \ \mathrm {[eV\cdot s]} \ \),光速\( \ c \ \mathrm {[m/s]} \ \)であるとすると,
\[
\begin{eqnarray}
\lambda &=&\frac {hc}{E_{\mathrm {g}}}\times 10^{9}≒\frac {1240}{E_{\mathrm {g}}} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
で決まるため,発生する光は半導体の禁制帯幅により決まる単色光となります。
したがって,\( \ \mathrm {LED} \ \)を使って照明用の白色光を得るためには,青色\( \ \mathrm {LED} \ \)からの青色光の一部を黄色を発光する蛍光体に照射し,それらを混ざり合わせることで疑似の白色光を発光させます。
【解答】
(1)解答:ニ
題意より解答候補は,(ニ)エレクトロルミネセンス,(チ)熱放射,(リ)ホトルミネセンス,になると思います。
発光ダイオード\( \ \left( \mathrm {LED} \right) \ \)は半導体に電界をかけることで発光するエレクトロルミネセンスの原理を利用した固体発光素子です。熱放射は白熱電球,ホトルミネセンスは蛍光灯における現象です。
(2)解答:ホ
題意より解答候補は,(ロ)大きくても変わらない,(ホ)大きいほど短くなる,(ル)大きいほど長くなる,になると思います。
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {LED} \ \)の発光原理」の通り,\( \ \mathrm {LED} \ \)の発光波長はエネルギー差に反比例するため,エネルギーの差が大きいほど短くなります。
(3)解答:ト
題意より解答候補は,(イ)緑色,(ハ)黄色,(ヘ)赤色,(ト)青色,になると思います。
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {LED} \ \)の発光原理」の通り,白色光を得るために青色\( \ \mathrm {LED} \ \)を使用します。
(4)解答:ハ
題意より解答候補は,(イ)緑色,(ハ)黄色,(ヘ)赤色,(ト)青色,(ヌ)赤外,(ヲ)紫外,になると思います。
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {LED} \ \)の発光原理」の通り,青色\( \ \mathrm {LED} \ \)の青色の光の一部を,黄色光を発生する蛍光体に照射し,それらを混ぜることで白色光を発生させます。
(5)解答:カ
可視光は約\( \ 350~780 \ \mathrm {mm} \ \)の波長となっています。このうち青色と人が感じる波長は\( \ 450 \ \mathrm {mm} \ \)前後で黄色と感じるのは\( \ 550~600 \ \mathrm {mm} \ \)程度です。したがって,\( \ 450 \ \mathrm {mm} \ \)前後で強い光を発しており,\( \ 550~600 \ \mathrm {mm} \ \)前後で光を発している(カ)が正答となります。