【問題】
【難易度】★★★★☆(やや難しい)
次の文章は,\( \ \mathrm {PC} \ \)周辺の無線ネットワークに関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
携帯型の\( \ \mathrm {PC} \ \)では,無線技術を利用したネットワーク通信が多く用いられている。
無線\( \ \mathrm {LAN} \ \)としては,\( \ \mathrm {OSI} \ \)参照モデルの\( \ \fbox { (1) } \ \)とデータリンク層の一部を定義した \( \ \mathrm {IEEE} \ 802.11 \ \)関連規格に対応した各種機器が普及しており,ネットワーク上の無線アクセスポイントなどとして用いられている。
無線\( \ \mathrm {LAN} \ \)の使用周波数としては,\( \ \fbox { (2) } \ \)付近と\( \ 5 \ \mathrm {GHz} \ \)付近などが使われている。周波数が\( \ \fbox { (3) } \ \)方が,電波の到達距離で有利となるが伝送速度は小さくなる。
\( \ \fbox { (2) } \ \)付近は水分子のマイクロ波加熱に適切な周波数で,\( \ \fbox { (4) } \ \)として通信以外にも利用できる周波数帯域となっており,無線\( \ \mathrm {LAN} \ \)の利用には注意を要する場合がある。
\( \ \fbox { (5) } \ \)機器は,無線\( \ \mathrm {LAN} \ \)と同じ\( \ \fbox { (2) } \ \)付近を利用するが,周波数チャンネルを決められたパターンに従って高速に切り替える\( \ \fbox { (6) } \ \)方式により無線\( \ \mathrm {LAN} \ \)との共存を実現している。
〔問7の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& マルチパス &(ロ)& \mathrm {IEEE1394} &(ハ)& \mathrm {0.4GHz} \\[ 5pt ]
&(ニ)& \mathrm {1.9GHz} &(ホ)& \mathrm {2.4GHz} &(ヘ)& 高い \\[ 5pt ]
&(ト)& \mathrm {Bluetooth} &(チ)& \mathrm {AM} \ バンド &(リ)& セッション層 \\[ 5pt ]
&(ヌ)& トランスポート層 &(ル)& \mathrm {ISM} \ バンド &(ヲ)& 低い \\[ 5pt ]
&(ワ)& \mathrm {USB} &(カ)& 周波数ホッピング &(ヨ)& 物理層 \\[ 5pt ]
&(タ)& 直接拡散 &(レ)& \mathrm {HF} \ バンド && \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
無線ネットワーク技術に関する問題です。
専門的な情報系の勉強をされている方以外は少し厳しい問題であったかと思います。
出題されても選択問題となりますので,絶対ではありませんが,配点も高いので勉強しておくのも良いかと思います。
1.\( \ \mathrm {OSI} \ \)参照モデル
\( \ 1984 \ \)年に制定された,それまでメーカによりバラバラであったコンピュータ通信の基本的な動作をモデル化したものです。以下の7層に分類されます。
2.無線\( \ \mathrm {LAN} \ \)の規格
無線\( \ \mathrm {LAN} \ \)は\( \ \mathrm {IEEE} \ 802.11 \ \)で規定されており,物理層と\( \ \mathrm {MAC} \ \)層(データリンク層の一つ)の仕様について定めています。そのうち,周波数帯においては\( \ 2.4 \ \mathrm {GHz} \ \)帯と\( \ 5 \ \mathrm {GHz} \ \)帯について規定されています。(一部\( \ 60 \ \mathrm {GHz} \ \)帯もありますが,ここでは割愛します。)
一般に周波数が高くなるほど伝送速度が速くなり,到達距離は短くなります。
3.\( \ \mathrm {ISM} \ \)バンド
\( \ \mathrm {Industrial, Scientific \ and \ Medical} \ \)バンドの略で,その名の通り電気通信以外の産業,科学,医療等の分野で割り当てられている周波数帯です。日本では\( \ 2.4 \ \mathrm {GHz} \ \)帯,\( \ 5.7 \ \mathrm {GHz} \ \)帯,\( \ 920 \ \mathrm {MHz} \ \)帯が割り当てられ,\( \ 2.4 \ \mathrm {GHz} \ \)帯は無線\( \ \mathrm {LAN} \ \),\( \ \mathrm {Bluetooth} \ \),電子レンジなど幅広い分野に,\( \ 5.7 \ \mathrm {GHz} \ \)帯は家庭内無線,アマチュア無線,各種レーダー等に,\( \ 920 \ \mathrm {MHz} \ \)帯は\( \ \mathrm {IoT} \ \)でのデータ通信等に,利用されています。
\( \ 2.4 \ \mathrm {GHz} \ \)帯は特に幅広い分野で利用されていることから,混線が発生しやすく,スペクトラム拡散方式,周波数ホッピング方式という共存技術が利用されています。
【解答】
(1)解答:ヨ
題意より解答候補は,(リ)セッション層,(ヌ)トランスポート層,(ヨ)物理層,になると思います。
ワンポイント解説「2.無線\( \ \mathrm {LAN} \ \)の規格」の通り,無線\( \ \mathrm {LAN} \ \)としては,\( \ \mathrm {OSI} \ \)参照モデルの物理層とデータリンク層の一部(\( \ \mathrm {MAC} \ \)層)を定義した \( \ \mathrm {IEEE} \ 802.11 \ \)関連規格に対応した各種機器が普及しています。
(2)解答:ホ
題意より解答候補は,(ハ)\( \ \mathrm {0.4GHz} \ \),(ニ)\( \ \mathrm {1.9GHz} \ \),(ホ)\( \ \mathrm {2.4GHz} \ \),になると思います。
ワンポイント解説「2.無線\( \ \mathrm {LAN} \ \)の規格」の通り,無線\( \ \mathrm {LAN} \ \)の使用周波数は,\( \ \mathrm {2.4GHz} \ \)付近と\( \ 5 \ \mathrm {GHz} \ \)付近があります。
(3)解答:ヲ
題意より解答候補は,(ヘ)高い,(ヲ)低い,になると思います。
ワンポイント解説「2.無線\( \ \mathrm {LAN} \ \)の規格」の通り,無線\( \ \mathrm {LAN} \ \)の使用周波数が低い方が電波の到達距離で有利ですが伝送速度は小さくなります。
(4)解答:ル
題意より解答候補は,(チ)\( \ \mathrm {AM} \ \)バンド,(ル)\( \ \mathrm {ISM} \ \)バンド,(レ)\( \ \mathrm {HF} \ \)バンド,になると思います。
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {ISM} \ \)バンド」の通り,\( \ 2.4 \ \mathrm {GHz} \ \)付近は\( \ \mathrm {ISM} \ \)バンドとして,産業,科学,医療等にも利用できる周波数帯となります。\( \ \mathrm {AM} \ \)バンドは恐らくラジオの\( \ \mathrm {AM} \ \)の周波数帯のことを指しているかと思います。また,\( \ \mathrm {HF} \ \)バンドは\( \ \mathrm {High \ Frequency} \ \)の略でアマチュア無線等にも割り当てられる周波数帯です。
(5)解答:ト
題意より解答候補は,(イ)マルチパス,(ト)\( \ \mathrm {Bluetooth} \ \),(ワ)\( \ \mathrm {USB} \ \),になると思います。
ワンポイント解説「3.\( \ \mathrm {ISM} \ \)バンド」の通り,\( \ 2.4 \ \mathrm {GHz} \ \)付近を利用するのは\( \ \mathrm {Bluetooth} \ \)機器となります。マルチパスは建物や壁等で反射して複数伝播してしまう状態で周波数帯とは無関係,\( \ \mathrm {USB} \ \)は周辺機器との接続部に関する内容で周波数帯とは無関係,となります。
(6)解答:カ
題意より解答候補は,(イ)マルチパス,(カ)周波数ホッピング,(タ)直接拡散,になると思います。
ワンポイント解説「3.\( \ \mathrm {ISM} \ \)バンド」の通り,無線\( \ \mathrm {LAN} \ \)としては周波数ホッピング方式という周波数チャンネルを決められたパターンに従って高速に切り替える方式があります。